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猫池罵詈雑言雑記帳
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 昨日、オウム真理教の名前を出したので、ちょこっとだけ平田容疑者出頭事件について触れてみたい。
 マスコミは連日にわたりこぞってオウムネタをひっくり返しているが、出頭の背景や真意がどうだとか、今後の展開などといったことについてはここではどうでもいい。

 じつは、出頭の速報をみて真っ先に思い浮かんだのが見沢知廉氏の『囚人狂時代』であった。出頭と逮捕にあたり、およそくだらないやりとりがあったのではないかと不謹慎にも想像してしまったのである。見沢氏は生前、右翼活動をするなかで“スパイ粛清事件”(ようは殺人)を起こし、12年に及ぶ受刑者生活をすごした人物。つぎに引用するのは、見沢氏が自首する場面として描かれたくだりである。

 俺は一人で、やけに白々とした明るい交番の中に入っていった。若い巡査が顔を上げた。
「はい、どうしたの?」
「出頭してきました」
(中略)
「ああ、そう。何をしたのかな?」
「殺人事件、みたいなもんですか」
「ふうん……君、いくつ?」
「は?」
(中略)
「だから、僕はスパイ粛清事件で全国指名手配になってる見沢でして……」
「うん、うん、そうなの。へぇ……学校はどこ?」
 もう帰ろうかと思った。アホくさい。しかし、帰っても事態は収拾しないのだ。俺は語気を強めて言った。
「あんたじゃ話にならない。上司を呼んでくれ」
 年輩の巡査がおっとり刀で(中略)県警本部に俺のことを問い合わせているらしい。(中略)眠そうだった目が、急に緊張した光を帯び始めた。
「本当だ、間違いなく本人だ。見沢……さん、だ」
──前掲書(新潮文庫版10〜13ページ)

 長い引用をあえてしたが、伝えられるところによれば、平田容疑者にさいしてもどうも実際にこんなセンスのやりとりだったらしいというのだから驚くというかウレシくなってしまった。ぁあ、やっぱそんなもんかと。

 しかし、オレ個人としては、こうした警察の対応を過剰に糾弾すべきものではないという気がしないでもない。
 新聞などでは緊張感がないだのといった論調で叩かれているし、それはそのとおりである。とりわけ今回は“世紀の大事件”として騒ぎになった事件の、それも長年の指名手配被疑者である。本人が出頭してこうなのだから、協力を呼び掛けられている一般市民が通報したところで結果などたかが知れていよう。これじゃマニュアルサラリーマンとなんら変わらんと思う。
 以前、目の前で当て逃げ(交差点で乗用車がピザ配達のバイクに激突、そのまま走り去ったが、転倒させられた側もなぜかその場で通報せずに走り去ってしまったという事故。その後に現場検証がやられた気配もなかったので、そのままになったのであろう)事故があったので、市民に協力を呼びかけている千葉県警に110番通報したことがある。ところが、事故のことよりもこちらの住所だの名前だの電話番号だのをひたすら訊きたがり、「そんなことよりも事故のほうはいいんですか?」と立腹半分に訴えると、当人たちから連絡なければどうでもいいですとの返答だったので、バカバカしくなってその場で電話を切った(もちろんこちらの個人情報など教えるワケもない)。そんなだから、以後はたとえ目の前で殺人があっても、こちらが被害者でなければ一切通報などするまいと固く誓ったのであるが……。

 そんなだから、ああいう対応もさもありなんという認識だったワケだ。しかし、逆に警察が過度の緊張にある社会というのはどうなのだろうと考えてみた。断っておくが、挙げた例はそんな緊張とは種類もレベルも異なるシロモノではあるけれど、ここで平田対応に対し過大なリアクションを起こすことは、逆に危険な状況をもたらすリスクと裏腹なのではないかと思ったのである。言い換えると、警察が過度の緊張下にある社会とはどのようなものなのかと想像してみたのである。白川勝彦氏や藤原新也氏らが、渋谷警察署の行き過ぎともとれる不審者尋問の実態をリポートしているが(かつて警察の幹部にあった白川氏もまたその犠牲者。リンクは省略)、過度の緊張とはそれがさらに増大するような社会をさす。
 ただ単に道を歩いているだけなのに、警察官によって一方的に“不審者”として認定され、警察側だけの事情によりヘタをすれば無実の拘留をされる。ささいな違反(たとえば道路交通法上のミスなど)でさっさと連行される。あるいは大英(イギリス)のように、微罪を口実にDNAの採取をされある種のリストに加えられるような社会。突飛かつ筋違いな見方かもしれないが、平田事件のミスから、わが国の警察や社会がそこまでに緊張にさらされていないという捉え方だってできるのではないかと思ったわけだ。

 以前、交通取り締まりの警察官に、飲酒および酒気帯び運転の検挙について質問したことがある。わが家の地域だけではないが、ちょっと小田舎にいけば、駐車場つきの飲み屋はそこここにあり、飲み屋で一杯やろうといっても、徒歩や公共交通機関ではどうにもならないという環境がいくらでもある。もちろん、帰りは運転代行を使えばいいだけの話ではあるにせよ、実態はどうなのかという場面にいくらでも遭遇しているから、そのあたりにいて千葉県警でどう考えているのかを訊ねてみたのである。
 すると、その年輩の警察官はこちらの質問の意図をきちんと理解したうえで、こう答えてくれた。
「そういう問題はあります。飲酒したひとが運転しないように事前に直接指導することも大切だと思います。でも、飲み屋にいちいち警察官が顔を出(巡回)したりするような世の中というのもどうなのでしょうか?」
 だいぶ前のことなので記憶もあやふやだが、おおよそこうした内容だった。この警察官は、警察の過度の緊張とその危険性をきちんと把握しているのである。さきに110番の件でサジを投げさせられた千葉県警だが、このときはこういう常識的警察官もいるのだなと見直すことになったものだ。

 しかし、それにしても限度というものはある。たとえば、日ごろからテロがどうのなどと税金を使って喧伝しているけれど、これがこのていたらくでは、どこまでお題目どおりに考え訓練されているのかと思う。また、平田容疑者の出頭時の足取りが各所の「防犯カメラ」とやらに映っていたのがどうのと報道されているが、これじゃどこが「防犯」だかさっぱりわからんではないか(あんなものは実態どおりに監視カメラと呼べばいいだけの話)……。
 とはいえ、権力の発動という点でみるとき、ある種のゆるさは責められるだけのものではないということかもしれない。ミスはミスとして質す(正す)必要はあるとしても、期待以上のリアクションは危険である。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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