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猫池罵詈雑言雑記帳
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 ここ数日、「青春18きっぷ」を使って南東北を回ってきた。取材目的が目的なだけに汽車に乗ってばかりのいささか味気に乏しい道中ではあったが、やはりローカルどん行の旅はいいと思った。というのは、2〜3の路線では窓の開けられる旧式(国鉄型)の気動車が活躍中で、ひさびさに窓を開け放ったままゴトゴトという列車ならではのわだちの感触を味わうことができたからだ。列車が過度に急ぐことなく、適度なのんびりさを漂わせていたのもいい。夏でも秋でもない晴れ渡った陽気のなか、窓からは収穫間ぢかの田畑のにおいが飛び込んでくる。……いい旅路であった。

 という具合に、汽車に乗っているときはいいのだけど、夜はいかんせん手持ち無沙汰になりがちだ。今回は日程の都合上、温泉地での宿泊ができなくて市街地泊まりだった。ひとりで飲み歩いてもいいけれど、いまひとつ新鮮味にかけているように思われたので、夕食後は軽く飲みながらおとなしくテレビ鑑賞である。偶然にして「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(NHKBS2)をみられて面白かったが、タマにテレビ番組につきあっているとそれなりに興味を惹く部分にも出くわす。
「オヤの暴力を受けて育てられた子どもは、自分も暴力を使っていいと思い込んでしまう」
 半分「ぼけー」っとしてみていたので正確な引用ではないが、たまたまつけた民放のバラエティー系番組でそんなくだりがあった。  


 これは、イングランド人女性のカウンセラーを紹介したミニドキュメント中に語られた言葉で、アメリカ合州国のある家庭からの依頼を受けて問題解決にあたったというストーリーであった。
 なんでも、子どもたちがオヤの言うことを聞かないばかりか、なにかというとモノを壊したり八つ当たりをしたりと、とにかく手がつけられない状態だったらしい。で、依頼を受けたカウンセラー(とくに名称があったようだが、それほど真面目にみていたわけでもないので失念した。しかし要はカウンセラーであろう)は家庭に潜り込んで問題の根源を見極めようとするのだが、まず目撃したのがわが子を力でねじ伏せる父親の姿であったという。たしかに子どもは強烈だった。なにしろ来訪者(カウンセラー)に向かっていきなツバを吐きかけたというのだからさぞや驚いたに違いないけれど、カウンセラーにとってはその後のオヤの対応のほうにむしろ問題を見い出したというのである。そこで件の引用、「オヤの暴力を受けて育てられた子どもは、自分も暴力を使っていいと思い込んでしまう」部分が語られるわけである。
 ドキュメントは、1週間の寝泊まりのうちにその家庭が持つ本当の問題、夫婦間の不和を悟ったカウンセラーが問題解決に体当たり、いちおうの解決をみたところまでが紹介されていた。まぁ、斜に構えた見方をすれば、番組が日本で放映されたころにはどうなっているのか……という気がしないでもないけれど、それはそれとして「なるほど」と思わせられるところはあった。
 引用部分はそのひとつである。育てられた環境が強く影響することはむかしから指摘されてきたことだし、暴力的に育てられた子どもが、やがてオヤになったさいに、わが子への暴力を再現するという話は中学だか高校のころに習った記憶がある。もちろん、杓子定規にすべてがあてはまるなどということはないのではないかと思うけれど、ここで注目すべきは子どもがオヤをみて育つということであろう。

 ちょっと話がそれるが、先だって取材にお邪魔したある研究者によれば、一流のサッカー選手には兄を持つ次男(以降)が多いそうである。これは次男のほうが運動能力が優れているという意味ではなく、兄の姿をみたりその遊びやスポーツを本当に幼いころからまねて育つというところがミソらしい。すなわち、サッカーであれば兄がボールを蹴って遊ぶのを弟がマネをする。そこでたとえ“ごっこ”的なサッカーであったとしても、兄と一緒にボールを追うことになれば、年長者に混ざってプレーをすることにもつながってくる。子どものころの年長差というのは、たとえ半年ていどであっても大きいといわれるし、それが1年でも2年でも差が大きくなればなおさらであろう。そういうなかでほんの幼少のころからサッカーに接し続けてきたことがのちのちに大きく影響するというのである。
 もちろんサッカー(やスポーツ)だけではないだろう。ちょっとした生活習慣にも関連してくるような気もするし、遊び全般にだって兄や姉の影響を受けるケースは非常に多いのではないだろうか。いや、きょうだいだけではなく、そこには育てているオヤからの影響がさらに大きいかもしれない。なにが言いたいかといえば、子どもというのは人生の先輩からさまざまに影響を受けながら育つというごく常識についてなのである。

 さきほどのテレビ番組では、両親間の不和が子どもに不安を与え、それが問題行動につながっていたと推論していた。したがって、さしあたり仲をより戻したあとはだいぶ落ち着いたらしい。長期的にどうなるのかまでは紹介されていなかったし、わからない。だが、子どもが育つ環境ということについてはそれなりに伝えられていたのではないだろうかと思う。
 そこで「オヤの暴力」をさまざまに置き換えてみたらどうだろう?

・道ばたに平気でゴミを捨てる──捨てるのが常識になっちゃうだろうにゃぁ。クルマでの「ポイ棄て」なんかも同じ。
・交通ルール(やマナー)を守らず乱暴な運転をする──わが地元では、みたところ主婦系の女性にこういうのが多い。コンビニ駐車場を使った赤信号のショートカットやちょっとした信号無視などはむしろ常識に近い。なぜかはわからないけれども。
・ものごとの順番を守らない──行列の割り込みなぞは非常にみっともないと思うのだが、そうではないオヤが子どもに教えてしまうようでもある。
・なにかというと他人に責任を押しつける──当人にとっては「仕事上でのこと」と思っているようなことでも、そんなことが家庭内に漏れていることはあるのではないか?
・他者に対する思いやりがない──店などでそこの従業員に対してやたら横柄な態度をみせるおとなをよくみかけるが、ああいうのは子どもの目にはどう映ってるのかな?

 まだまだいくらでも出せそうだが、ひとつ加えておくと、かつて「取引先からは贈り物をもらうのが当然」という態度をとっていた某社平社員(当時)に会ったことがある。まぁ、別段悪い人物でもなかったけれど、あれこれ話をしてゆくと、父親が某省の役人であり、業者やらなにやらがしょっちゅう自宅に出入りしては中元や歳暮などがドサっと届けられていたのを幼いころから“常識”とみて育ってきたようであった。そういうときの父親の相手に対する態度がどうだったのかはわからないけれど、おおよその想像はできるというものだ(笑)。

 ……というのは家庭や地域的な小さなコミュニティーを舞台にしたものだが、社会的に目を拡げれば状況はさらに悲惨になってくる。
「オレかアイツか?」で大見得を切って臨んだ選挙で大敗したにも関わらず、さらに相次ぐ不祥事にあってその任命責任者であるにも関わらず、いつまでも政権にしがみつき居直りを続けるおぼっちゃん首相はどうか。ときに数千万円にも及ぶ“不正経理”を単なるミスとして片づけてしまおうとする政治家や閣僚はどうか。財政難なハズなのに豪華海外旅行を続ける知事(かつて中央アフリカに独裁を敷いたボカサのようですにゃぁ。こんどから“ボカサ団子”と呼ぼう)はどうか。「格差、格差」といちおうは問題視されながらもちっとも改めようとしない政治と財界はどうか。他国の侵略戦争に加担し、いいように使われている自国の姿はどうか。
 本質的犯罪というのは、巨大になればなるほど合法的であるものだが、こういう社会をみせられながら育つ子どもたちこそその“犯罪”の犠牲者であろう。

 なんでも、「武道は日本の伝統や文化を知るために役立つ」として、中学校の保健体育の授業の中で、武道とダンスを男女とも必修とする案を中央教育審議会の専門部会がまとめたらしい。この報を目にしたとき、なにかうさん臭いニオイを感じたものだが、「日本の伝統や文化を知るために役立つ」という“規定”に違和感を覚えたものであろう。また、同時に礼儀作法を身につけさせる狙いもあるらしいのだが、それはそれとしてずべてを否定するつもりはないものの、これをもって昨年12月に改定された教育基本法の教育目標に掲げられている「伝統と文化の重視」につなげるというあたりが短絡的に思えるのである。

 かいつまんで記せば、武道は武道でいいのだ。学校で武道を学び体験することも大いにいい。だが、そこに「日本の伝統や文化を知るために役立つ」だとか「伝統と文化の重視」というお題目をつけることのどこに意味があるというのだろう。礼儀作法だって武道だからどうのという問題ではない(逆に、武道をやっているからきちんとしているという証拠はない)。こんなとってつけたような理由で履修を強制させる前に、もっとなすべきことがあるのではないかというのが今日の話でありMASITA。

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