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猫池罵詈雑言雑記帳
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 29日、米軍横田基地(東京都)の周辺住民およそ5900人が国に対して米軍機による騒音被害の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決があった。96年以降、夜間・早朝の飛行差し止めと損害賠償を求めて提訴してきた裁判は、すでに飛行差し止めについて訴えを退けており、事実上の住民敗訴の結果となった。
 堀籠幸男裁判長が言い渡した判決は、国におよそ31億5000万円の損害賠償を命じた二審判決から2億円余りを減額するというもの。すなわち、争点のひとつとなって注目されていた二審が「将来分」の損害として算入した部分についてを破棄した内容であり、明らかに後退したといっていいだろう。



 軍用かどうかに関わらず、飛行場周辺の騒音のすさまじさについては、そこに暮らしていなくても多少の経験と常識さえ持ち合わせていればだれにでもわかる。個人的に立川市に暮らしていたことがあって、通常は飛行コースではなかったようだが、それでも猛烈な爆音を浴びたことはしばしばあった。もちろん旅客機のそれとは異なる軍用機特有といってもいい鋭い爆音である。また、2〜3年前に成田空港の近所にある釣り堀(ルアー釣り用)に立ち寄ったさいは、ひっきりなしに着陸(着陸コースのほぼ直下だったようである)する航空機の爆音で、しばしば同行した友人との会話が途切れたものだ。
「(成田に限らず)利用する機会のある空港だけれど、周辺で暮らすひとの苦労や不快感はどのようなものなのだろう……」
 と思ったものである。成田などは好むと好まざるとに関わらず“利用せざるをえない”ケースを持つ施設だが、そんなときに他人のことを少しは慮ってみてもいいのではないか、もちろんそれでどうなるというわけではないにせよ、感じたままを記せばそうなる。
 しかしそんな人間としての感覚というのは、わが国の司法や行政は持ち合わせていないのだろうか? こうした国や行政の姿勢を問う訴訟をみるにつけ、たいていはそう思わざるをえない。しかし、今回の判決にあたっては5人中2人の裁判官が反対意見を示しており、行政側としてもその事実を無視するわけにはいかないだろう(*注)。

 ところで、今回の判決についてを伝えていた「首都圏ネットワーク」(NHK総合・関東ローカル)は、テレビの“報道”番組としてはきちんとした内容に思えた。ひとつは提訴した側の住民について、現地に赴いての取材に相当の時間を割いていたことである。裁判所前での「不当判決」ノボリを示す原告と怒りを表明する記者会見というこうした裁判ニュースにありがちな“定食”に留まることなく、住宅密集地のすぐ真上を飛びまわる米軍機の威容をカメラにとらえ、住民の声を現地でもって拾っていた。テレビの音さえ聞こえないレベルの、鉄道のガード下に匹敵するという騒音が、昼夜を問わず文字どおり24時間いつでもやってくるという実態は、当然のことながら現地の実況がなくては伝えるには不十分であろう。実際問題として、音量と数値化すれば鉄道レベルなのかもしれないけれど、音質からいえばまったく異質の恐怖感を煽られかねないジェット音。それはけっしてテレビで伝わりきるものではないが、ややもすれば“定食”のサイドメニューとして「判決を評価する」という国側のお決まりのコメントだけをタレ流すだけで片づけてしまいがちなテレビニュースにあって、まったくの十分とはいえないまでも評価できる内容だったのではないだろうか。

 同時に評価したいのは、横田基地問題と石原都政とをきちんと関連づけた点であろう。あの団子のおとっつぁんは横田基地の軍民共用空港化を目指しているが、これが石原都政にとって「最大の懸案」であるということを議会で弁説するおとっつぁんの映像とともに映し出してみせたのだ。最大。さ・い・だ・い……。東京オリンピックやら築地市場移転問題やら圏央道やらオートバイレースやら博打場建設やら教育現場統制やら団子のおとっつぁん下で進められていることは多数あるけれど、そうしたもろもろをさておいて「最大」なのだそうである。知らなかった。
 すなわち、こうした都政が進むなか、夜間・早朝の飛行差し止めどころか、「結審後は賠償額などをあらかじめ明確に認定できない」という判決を受け、住民はこれからどうしたらいいのかということについて番組は触れていたのである。また、いわゆる米軍再編とやらのなかにあって、こんごの横田基地は指令部が置かれ、かつ自衛隊兼用になるなどますます強化される方向にある。まさに四面楚歌の状態といっていいのではないだろうか。番組では、さしあたり自衛隊機の常駐はないとされているものの、将来的にはわからないといった点もきちんと触れており、今回の判決がいかに不当なものであったかを伝えていたように思った。

 個人的に、この「首都圏ネットワーク」には以前から注目しており、オレが視聴する数少ないテレビ番組でもある。NHKには好きになれないところが多数あるけれど(まぁ民放も同じですがね)、若干の期待をしてもいいのは、まだこうした報道番組を日常的につくりうる部分があるといったところに対してではないだろうか。


*注:
 こうした司法の判断はどうあれ、国民の権利として立法府および行政にどのような人物を送り込むのか、さまざまな問題を解決するひとつの方法として、そんなことを再考してみてもいい。
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