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猫池罵詈雑言雑記帳
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 サッカーくじの廃止が具体性を帯びてきたという。「スポーツ振興くじtoto」。いうまでもなく文部科学省が管轄する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」とやらが胴元を握る博打である。報道によれば、現時点での廃止はありえないという情勢だとはいえ、俎上に挙げられることの意味は大きい。
 この小博打の存廃については以前から取り沙汰されてきていたが、タテマエのスポーツ振興(助成金配布)が果たせないばかりか、赤字続きとあっていよいよかばい切れなくなってきたというところであろうか。なにしろ初年度こそ642億円を売り上げたものの、翌年度からは下降の一途をたどり、昨年度(01年)は134億円(初年度比20.8%)というジリ貧ぶり(*注)。昨年度末における累積赤字は264億円にのぼるというのだから、むしろ遅すぎた議論といっていい(コトの本質はそんなところではないが)。


 くじそのものは、それまでおもに税金があてられていたスポーツ施設等に対する助成の財源を委譲するという表向きで導入されたが、その管轄が教育を担当する文部科学省であることや、射幸心を煽ったそのカネを流用することの是非などから、導入の段階ですでに批判にさらされてきた面があったいわくつきの集金システムである。しかも肝心の助成額は02年度(初年度の売り上げが原資)に57億円を捻出したものの売り上げに比例して下がり続け、本年度はわずか8000万円。これで助成対象は全国にある。この中小規模の企業における営業マンひとりあたりの年間売上予算(業種にもよるが)にも満たないカネで、いったいぜんたいマトモな事業をしているといえるのだろうか? しかも3年目以降は事業そのものが赤字続きであり、引き取り手のなかった当選金(時効金)を助成に回しているという自転車操業ぶりだというのだ。

「野放図なまま赤字がたまれば、国民の負担で償却しなければいけなくなる。運営がこのままでいいのかどうか、厳しく(事務当局に)検討させている」(伊吹文部科学相・当時。07年3月4日「読売新聞」)
 という声もあったなか、じつはすでに同センターの借金返済に税金があてられていることが明らかになっている。
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-11-15/2006111501_02_0.html

 06年11月15日づけの「しんぶん赤旗」によれば、発足当初から05年度まで業務委託をしていたりそな銀行との契約打切りにさいして、未払金の216億円を同銀行に返済したが、そのタネ銭となったのがみずほ銀行からの借金190億円と内部資金の26億円であったというのだ。ようは借金返済のために借金を重ねたのであった。しかも、このみずほ銀行に対する担保にはスポーツ振興基金があてられているといい、これには国から支出されたカネ、税金が含まれている。伊吹氏が言う「国民の負担」というのがなにをさすのかはともかく、すでに博打とは関係のない国民のカネが使われていたのである。いかに「将来的に返済するもの」だとしてもだ。

 こうした“劣勢”を挽回する狙いだろう、同センターは最高当選金額を6億円にアップした「BIG」などを売り出し、射幸心をさらに煽ることで今年度の売り上げは一挙に500億円を超える見通しだという。
 12月6日づけの「東京新聞」(朝刊「こちら特報部」)がこれらの件について触れ、「今年度は百億円前後の黒字となる見通しで、かなりの額を助成金や赤字返済に充てられる」(同センター・両角晶仁部長)という談話を掲載している。しかし、このことは表向きはスポーツ振興を謳いながらも、その基盤となるべき基金がきわめて脆弱な集金・分配システムに依拠させられていることを明らかにしているといえないだろうか。

 ちなみに、サッカーくじのテラ銭はおよそ50%だという。つまりは1口300円のBIGを買ったところで、およそ150円がすでに抜かれているのだ。そんなベラボウなゼニ(場代)をカスリ取る胴元なんて、どんな悪辣な博徒にもいますまい。にも関わらずの大赤字。いったいぜんたい、どういうセンスの持ち主によって運営されてきたのであろうか、そんなものを野放しにしている日本という国がさっぱり理解できない。
「東京新聞」の同記事には「totoがなくなると、各地域のスポーツ団体の育成など日本のスポーツ環境整備に支障が出る可能性がある」とし、「それに代わる財源を検討しなければ、廃止論議は説得力を欠くだろう」という川西正志氏(鹿屋体育大教授)の談話を紹介している。
 わからん。totoの下において、すでに支障が出ているということはないのか? 年間たったの8000万円ぽっちしか助成できないシステムである。たしかに長い目でみれば正常に機能する可能性がないとまではいわないが、現状で200億を超える借金と50%ものテラ銭をカスリとっていながら、この体たらくを異常とみられないようであれば、とんなフシ穴のオメメといえよう。200億のマイナスに対して8000万円である。簡単な算数であろう。そして財源。なんの役に立っているのかわからんような戦闘機1機ぶんでも回せば必要なぶんが確保できそうなことぐらいは、たいていの常識人ならわかっている。単純なことである。

 目下は、おもに赤字問題等で俎上に挙げられている形のtotoだが、こういうのはもっと原則に立ち返って考えればいい。すなわち、スポーツ振興の財源を博打によっていいのか悪いのか? その胴元を文部科学省という教育を司るハズの国の機関が運営することはいいのか悪いのか? あれはプロサッカーにタダ乗りした寄生博打とはいえないのか? そのうえで、かくのごとき売り上げとその目的であるハズの助成の実態は正常といえるのかいえないのかということである。
 オレはなにも博打全般が悪いとまではいわないし、厳密には違法とされてしまう雀荘などのささやかなお遊びぐらいまったくもって構わないではないかと思うクチだ。サッカーでいえば、スタンドかなにかで客同士が小金を賭けるぐらいはいいじゃないかとも、思う。だが、そんな庶民の遊びがオカミの胸先三寸にあるなかで、巨大な利権とその赤字が野放しにされていることの矛盾はどうか。しかしこれが法治国家というものなのであろう。だが、totoを維持するということは、合法化すればどんな“悪行”もまかり通るというその一例にもなるに違いない。赤字赤字といいいながらモウケているヤツはきっといる。



*注:
 さきごろJRのブルートレイン廃止の報道が一部であった。なんでもJR発足の87年を100とすると、05年には21%まで利用が落ち込んでいたというのだが、サッカーくじの下落のスピードはそれどころじゃありませんにゃぁ。

 オマケとしてこんな記事も。
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-06/2007040611_01_0.html
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