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猫池罵詈雑言雑記帳
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 年金問題。年金不備問題の解決を事実上放棄した日本政府である。
 くしくも町村信孝官房長官件が述べたように、政府・与党が選挙対策の一環として解決をはかる旨をぶちあげたまではよかったが、公約として挙げた期限である来年3月から前倒しする形で放棄するとは、なんともあっさりとしたものである。報道によれば、およそ2割にあたる945万件前後の処理が放棄されるとみられるというのだが、これは国家的詐欺事件(故意とか失策の問題ではなく詐欺は詐欺として成立しうる)であり、国益とやらを真っ向から損失させるバカげた実態だといっていい。
「作業はエンドレスでできないこともある」と舛添要一厚生労働相と言い訳をぶったようだが、こんなものはできるもできないもなく、「でもやるんだよ!」なのである。コトはちっとも複雑でもなんでもないのだ。
 白川勝彦氏が言及するとおり、この問題の権利者は年金加入者=国民の側にある。したがって、いやしくも民主国家を標榜するのであれば全面解決しか着地点はありえず、そのためになにをなすべきなのかを考えてゆけば、そのやり方の指針もできてくるハズなのだ。ところがこの体たらくとは、この国の為政者たちは、いったいどこを向いて日々の生業をしているというのだろう。いうまでもないことだが、政権がなにかといえば利用したがる民間や市場ではこんな言い訳にもならない言い訳はよもや通用しますまい。


 で、夕方のひととき、珍しく民放のテレビニュースをみてみたら、あるチャンネルでこの問題について追求していた。あの逃亡首相やとうの舛添氏、町村氏らによる公の場での発言(言質)を収録した映像を編集したものを流し、それなりに参考になる内容ではあった。国会における長妻昭衆院議員(民主・比例東京)による舛添氏への追求場面なども映し出され、視聴者のなかにはちょっとばかり溜飲を下げたムキもありそうだ。前後して街角でのインタビューもはさまれ、一般市民から国に対する不満やら疑念やらが語られてもいたので、まぁ、「おかしいではないか!」と当然の怒りを代弁するふうなつくりを意識したのであろう。そんなニュースショウであった。

 だが、番組をみていて非常に不愉快な気分になった。スタジオにいるキャスターやらコメンテイターやらが、「裏切り」だの「失望」だのといった旨の発言を繰り返していたのだが、では彼らは当初からきちんとした姿勢でもって報道をしてきたのかという疑念が浮かぶ。いまは矢面に立たされているけれど、そんな舛添氏のタイコ持ちよろしく持ち上げて、必要以上に露出させ、無辜な国民を結果としてあざむくための手助けをしてきたのが彼らマスメディアではないのか? いまごろになって手のひらを返したように批判の言葉を浴びせているのは、それが「面白いから」であり、「溜飲が下がるから」であり、「視聴率につながるから」といったていどのことではないのか……。したがって、その場で溜飲を下げておしまいになりかねないのである。毎度のことなのではあるが。
 そんな番組だから、この問題に対する本質的な部分に触れようもなく、たとえば先にリンクした白川氏がきわめて簡潔に記したていどのことすら言及しようがないのだ。単なるムードである。



■ブタは食べられて感謝する?
 ところで、舛添氏といえばC型肝炎薬害問題でも窮地に立たされているが、この問題にさいしても、日本という国家が被害者である国民の側に顔を向けていないことがあらためて浮き彫りになっている。HIV薬害問題に並ぶ国家的大事件からの責任逃れにつながりかねない状況だが、このことはいま被害を受けていなくとも、先々に同種の被害者になりうる可能性をだれもが持っていることになるだろう。それどころか、繰り返されると考えるほうが自然かもしれない。そして、現在のような国であるかぎり、われわれのだれもが救済されることはほとんどなく、事実上の泣き寝入りを強いられるかもしれないのである。年金問題といい、薬害問題といい、この国には国民に対する思いやりのカケラもないのであろうか。

 さて、在日米軍に対する喜捨=「思いやり予算」というのも、ときおりメディアに登場しては大衆の大方に忘れ去られている国家的ムダ遣いのひとつである。
 報道によれば、来年3月で期限切れとなる「思いやり予算」について、日本側の負担をほぼ現状どおりとする旨で合意する方向にあるという。その額1409億円。カネがないないいいながらドブに棄てるカネはあるようである。
 日本側は額について削減を求め、光熱水費のうちおよそ2億5000万円(約250億円中)については削減が合意する可能性もあるという。しかし、それ以外についてはアメリカ合州国側の強い意向により現状維持をみている。日本側がどれだけの熱意を持って交渉にあたったのかはわからないが、基地を置いたうえでその経費まで持たせるという例はさすがのアメリカ合州国にもほかにはなく、わが国政府の傀儡ぶりは世界史上でも希有な例といってもいいだろう。おそろくべき家畜国家である。
 で、だれがつけたのかはわからないが、この通称「思いやり予算」。思いやりというのは、施す側が主体であることはいうまでもないけれど、これを施される側が現状維持を強く要求するとは。施される側にとっては思いやりもクソもなく、家畜どもから受取る当然の喜捨という感覚なのであろう。オレには恫喝にしか思えないのだがね。

 しかし、それよりもなにも問題とすべきは施す側である。ひとことでいえば、
「思いやるなら自国民を思いやれ!」
 だ。総選挙が近いというもっぱらの評判だ。怒りを結果にしなくてなんになる?



*おまけ:
(本業の)マンガ家を辞めてタレントだけにしたいよと嘆くのはマンガ家の蛭子能収氏である(「電氣菩薩」根本敬著・径書房〜ほか参照)。ページあたりなんぼにもならない(らしい)本業よりも「楽に稼げる」(らしい)タレント業のほうがいいということらしい。まぁ、実態はいろいろだとは思うが、蛭子氏はとにかくとして本業はどこへやらという“いつのまにかタレント”は案外多い。オレは日常的にテレビをみるという習慣がないため、世間からみれば意外な有名人を知らない例もママあるのだけれど、タマタマみたテレビのニュースショウが騒いでいたおかげで、どこだかの知事選に出るらしい弁護士(兼タレント)の顔をはじめて拝む機会を持った。経緯やご本人の真意などここではどうでもいい。こぞっておおごとのように“報道”合戦を繰り広げる一部メディアと、そんなタレ流しを娯楽にさせられる側が気の毒に思うだけだ。そのノリなら、某占い師を首相に推挙したいがね、オレは(笑)。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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