17日、イラクにおける航空自衛隊の空輸活動に対して違憲との判決が下った。
これは、愛知県などの住民ら1122人が起こしていたいわゆる「自衛隊イラク派兵差止訴訟」(原告・池住義憲氏ほか)の控訴審判決であり、名古屋高裁において青山邦夫裁判長(3月末日退官のため高田健一裁判長が代読)が判決を下している。同時に起こされていた派兵差し止めと慰謝料請求の訴えに関しては棄却(国側勝訴)のため、本件についても国側は上告できず、したがって今回の違憲判決が確定することはほぼ間違いない。
これは、愛知県などの住民ら1122人が起こしていたいわゆる「自衛隊イラク派兵差止訴訟」(原告・池住義憲氏ほか)の控訴審判決であり、名古屋高裁において青山邦夫裁判長(3月末日退官のため高田健一裁判長が代読)が判決を下している。同時に起こされていた派兵差し止めと慰謝料請求の訴えに関しては棄却(国側勝訴)のため、本件についても国側は上告できず、したがって今回の違憲判決が確定することはほぼ間違いない。
判決では、現在のイラクが「国際的な武力紛争が行われている」と認められ、現在も進行中である航空自衛隊の武装兵員空輸活動については、「他国による武力行使と一体化した行動」としたうえで「武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる」と断じている。
イラクが戦争の舞台であることは国際的な常識に鑑みるまでもなく否定できない事実である。たとえ直に「ドンパチ」を演じていないとしても、実戦部隊に対する後方支援をしているということが戦争に加担しているということも否定できない事実だ。かつて、あのコイズミスネオが「どこが戦闘地域か訊かれてもわからない」だの「自衛隊の派遣されるところが非戦闘地域」だのを詭弁を弄していたけれど、いかにも空疎に聞こえてくるであろう。
判決を受けて、自衛隊イラク派兵差止訴訟の会と同弁護団は「日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確にとらえ、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決である」と評価した。これが「あたりまえの判決」ではなく「画期的」とされるあたりにこの国に充満しているウミのようなものを感じないではいられないが、そんなわが国の司法の場においてこうした判決がありうるのだという事実には心強いものがあることも否定できないだろう。
いうまでもなく、憲法とは法治国家の根幹をなすきめごとである。刑法や民法が国民らの権利の行使や制限、あるいはもめごとなどに対してその判断を導くきめごとであるのに対し、憲法が定めているのは国のあり方であり、国家の“暴走”をおしとどめるためのブレーキなのである。したがって、たとえば基本的人権は国家によっても守られなければならないし、3権の分立も国家によって保障されなければならないし、戦力の放棄も国家が実践しなければならないのである。憲法とはそういうものである。
国民側に課せられているきまりとして刑法や民法にたとえてみよう。わかりやすいところで人殺しや泥棒を実行すれば検挙され、法に則って処罰される。もちろん法云々を差し置いてもしてはならないことではあるけれど、法律ではやってはならないと明記されていることを「だからどうした」といわんがごとく違反することはとうてい許されることではない。やってはならないことだし、やれば処罰される。これが法治国家というものであろう。今回の判決というのは、この「法」に照らし合わせたうえでの実態はどうなのかということを判断したものであり、あらためその違法が明らかにされたということなのである。三権のひとつである司法によって。
ところが、……といおうか予想どおりに「そんなきまりなどクソ喰らえ!」といわんばかりなのがわが国ニッポンなのであった。
「どう判断されようと、特措法の内容が変わらない限り、任務に変更はない」(自衛隊幹部)
ここでいう「特措法」がどうであろうと、憲法より下位にあるきまりごとである点を否定することはできない。たとえ“宗主国”であるアメリカ合州国がどうしようと、たとえその実態がどうであろうと独立国家である日本に対し、その憲法を無視した要求ができないことも国際的な常識である。それなのに、この患部もとい幹部とやらは「そんなものは無視してよろしい」といわんがばかりなのである。再度言い換えれば、刑法では殺人も窃盗も禁じられかつ摘発されれば罰せられるけれど、「どう判断されようと」構わないといわんがごとしだ(こんなのがまかり通るのであれば、無差別殺人ですら正当化されうる)。
実際問題として、こんな幹部ていどの小物の戯れ言はさておいても、国としては憲法判断に対して速やかな行動をしなければならないハズなのだが、そんなあるべき動きがまったくといっていいほど伝わってこないのはどうしたことか? ここが大問題のひとつでもあるのだ。三権のうち、司法がおざなり(正確には都合に左右されいいように使われる)にされているこの実態。「恥を知れ!」とはこういうことを指すのではなかろうか。
で、これまた予想どおりといいますか、ケッサクなのが毎度おなじみYさんの“社説”であった。
※http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080417-OYT1T00786.htm
さすが外しませんねぇ(笑)。個人的にはいかに立場が異なる意見であったとしても冷笑をもって臨むような態度はとりたくないのだが、ここまで支離滅裂な「新聞」のそれも「社説」なんぞにぶつかるとどうしても例外たりうるというものだ。
まず「わざわざ傍論で「違憲」との見解を加える必要があったのだろうか」(以下、赤字部分はリンク記事から)としているけれど、憲法解釈が「わざわざ」の「傍論」であるのかどうか? 「空港は、治安が保たれ、民間機も発着しており、「戦闘地域」とはほど遠い。空港が「戦闘地域」になれば、空自は活動を中止する」っていうけれどさぁ、民間機も発着していればどうして戦闘地域とほど遠いというのだろうか? そもそもが近代以降の戦争というのは、目の前で銃剣を交えることなしになしうるという点で、たとえドンパチの舞台に立っていなくとも戦闘に参加できるということをこの新聞はご存じないのだろうか? そしてとりわけケッサクなのが「イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動について、人道復興支援などを「非戦闘地域」で行うよう定めている」であろう。「行うように定めている」からそこが「非戦闘地域」っていわれてもねぇ。イヌの檻に入れられているんだから、ヤギでもネコでもこれはイヌ(『豪定本・ディープコリア』ブルースインターアクションズ参照)というのと一緒だ。
まぁ、同紙の慌てぶりが微笑ましくもあるのだが、「空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい」だのと憲法を踏みにじるような物言いはすべきではない。これがいかに「改憲」側に立つ「偏った」新聞であっても同じことである(たしか同社は「公平」に「偏向しない」報道を社是としているハズなのだが・苦笑)。
しかし、こんな論にもならない論がまかり通っているのも事実であり、だからこそ今回のような判決がでると「画期的」と評されるのだともいえる。お口直しではないが、同じ「社説」として同日の「東京新聞」をリンクしておく。
※http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008041802004496.html
イラクが戦争の舞台であることは国際的な常識に鑑みるまでもなく否定できない事実である。たとえ直に「ドンパチ」を演じていないとしても、実戦部隊に対する後方支援をしているということが戦争に加担しているということも否定できない事実だ。かつて、あのコイズミスネオが「どこが戦闘地域か訊かれてもわからない」だの「自衛隊の派遣されるところが非戦闘地域」だのを詭弁を弄していたけれど、いかにも空疎に聞こえてくるであろう。
判決を受けて、自衛隊イラク派兵差止訴訟の会と同弁護団は「日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確にとらえ、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決である」と評価した。これが「あたりまえの判決」ではなく「画期的」とされるあたりにこの国に充満しているウミのようなものを感じないではいられないが、そんなわが国の司法の場においてこうした判決がありうるのだという事実には心強いものがあることも否定できないだろう。
いうまでもなく、憲法とは法治国家の根幹をなすきめごとである。刑法や民法が国民らの権利の行使や制限、あるいはもめごとなどに対してその判断を導くきめごとであるのに対し、憲法が定めているのは国のあり方であり、国家の“暴走”をおしとどめるためのブレーキなのである。したがって、たとえば基本的人権は国家によっても守られなければならないし、3権の分立も国家によって保障されなければならないし、戦力の放棄も国家が実践しなければならないのである。憲法とはそういうものである。
国民側に課せられているきまりとして刑法や民法にたとえてみよう。わかりやすいところで人殺しや泥棒を実行すれば検挙され、法に則って処罰される。もちろん法云々を差し置いてもしてはならないことではあるけれど、法律ではやってはならないと明記されていることを「だからどうした」といわんがごとく違反することはとうてい許されることではない。やってはならないことだし、やれば処罰される。これが法治国家というものであろう。今回の判決というのは、この「法」に照らし合わせたうえでの実態はどうなのかということを判断したものであり、あらためその違法が明らかにされたということなのである。三権のひとつである司法によって。
ところが、……といおうか予想どおりに「そんなきまりなどクソ喰らえ!」といわんばかりなのがわが国ニッポンなのであった。
「どう判断されようと、特措法の内容が変わらない限り、任務に変更はない」(自衛隊幹部)
ここでいう「特措法」がどうであろうと、憲法より下位にあるきまりごとである点を否定することはできない。たとえ“宗主国”であるアメリカ合州国がどうしようと、たとえその実態がどうであろうと独立国家である日本に対し、その憲法を無視した要求ができないことも国際的な常識である。それなのに、この患部もとい幹部とやらは「そんなものは無視してよろしい」といわんがばかりなのである。再度言い換えれば、刑法では殺人も窃盗も禁じられかつ摘発されれば罰せられるけれど、「どう判断されようと」構わないといわんがごとしだ(こんなのがまかり通るのであれば、無差別殺人ですら正当化されうる)。
実際問題として、こんな幹部ていどの小物の戯れ言はさておいても、国としては憲法判断に対して速やかな行動をしなければならないハズなのだが、そんなあるべき動きがまったくといっていいほど伝わってこないのはどうしたことか? ここが大問題のひとつでもあるのだ。三権のうち、司法がおざなり(正確には都合に左右されいいように使われる)にされているこの実態。「恥を知れ!」とはこういうことを指すのではなかろうか。
で、これまた予想どおりといいますか、ケッサクなのが毎度おなじみYさんの“社説”であった。
※http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080417-OYT1T00786.htm
さすが外しませんねぇ(笑)。個人的にはいかに立場が異なる意見であったとしても冷笑をもって臨むような態度はとりたくないのだが、ここまで支離滅裂な「新聞」のそれも「社説」なんぞにぶつかるとどうしても例外たりうるというものだ。
まず「わざわざ傍論で「違憲」との見解を加える必要があったのだろうか」(以下、赤字部分はリンク記事から)としているけれど、憲法解釈が「わざわざ」の「傍論」であるのかどうか? 「空港は、治安が保たれ、民間機も発着しており、「戦闘地域」とはほど遠い。空港が「戦闘地域」になれば、空自は活動を中止する」っていうけれどさぁ、民間機も発着していればどうして戦闘地域とほど遠いというのだろうか? そもそもが近代以降の戦争というのは、目の前で銃剣を交えることなしになしうるという点で、たとえドンパチの舞台に立っていなくとも戦闘に参加できるということをこの新聞はご存じないのだろうか? そしてとりわけケッサクなのが「イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動について、人道復興支援などを「非戦闘地域」で行うよう定めている」であろう。「行うように定めている」からそこが「非戦闘地域」っていわれてもねぇ。イヌの檻に入れられているんだから、ヤギでもネコでもこれはイヌ(『豪定本・ディープコリア』ブルースインターアクションズ参照)というのと一緒だ。
まぁ、同紙の慌てぶりが微笑ましくもあるのだが、「空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい」だのと憲法を踏みにじるような物言いはすべきではない。これがいかに「改憲」側に立つ「偏った」新聞であっても同じことである(たしか同社は「公平」に「偏向しない」報道を社是としているハズなのだが・苦笑)。
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