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猫池罵詈雑言雑記帳
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 目下、テレビニュースの“人気題材”として注目されているのが、元厚生事務次官宅襲撃事件をめぐる事件であろう。数ある殺人事件のひとつとしても無気味な事件であるばかりでなく、連続して災禍に遭ったのがともに厚生労働省の関係者であり、テロを示唆する見方も早くからなされている。はたしてどういう背景を持つ事件なのかをここで推論しても意味はないので、事件そのものについての言及は控えたい。気になったのは、事件をめぐる報道である。わが家でとっている「東京新聞」22日の1面はまさにこの事件の捜査状況を伝える続報であったし、テレビではたとえばNHKニュースのトップにこの事件が居座っていたりもする。たしかに社会的関心を集めうる事件ではあろう。だが、“識者”を標榜する語り手があれこれ推論を述べてみたり、たまさか犯行が宅配便業者を装ってなされたらしいということで宅配便受取りのレクチャーまでしかつめらしく流しているのをみるにつけ、「どうもおかしいぞ」と思ってしまった。

 と、そんなことを考えていたら、白川勝彦氏も同じような所感を抱いていたらしく、氏のサイトで以下のように触れていた(「国会同意人事とマスコミ」)。

 午前7時のNHKニュースを見た。各国のニュース番組ではヒラリー・クリントンがオバマ政権の国務長官に就任することが濃厚となったと大きく報じられていたが、NHKニュースは一言も触れていなかった。中国の暴動のことも触れていなかった。NHKニュースは元厚生事務次官宅襲撃事件のことを事細かく報じていた。宅配便の受け取り方を“専門家”まで登場させて国民に注意してくれていた。セレブの奥さま方は、さっそく実行するであろう。今日から宅配便の配達員は、ずいぶんと苦労することになるであろう。ここまでやられると、今回の事件に胡散臭さを感じざるを得なくなる・・・。(青字部分:リンク記事から引用。以下、同)

 まぁ、事件そのものが“胡散臭い”かとうかはとにかくとしても、一連の報道のバランス、番組構成の手段については“胡散臭い”感じもしてくる。

 ものごとを報道するにあたって、続報は大切なことである。たとえ途中経過(ただし、そのほとんどは捜査にあたっている警察による発表を報告するだけのものであろう)であったとしても、伝えることに意味がないとはいわない。ましてやテロの可能性すら指摘されていることもあり、一般市民に対して関心を喚起することも必要ではあろう。だが、一方では流し棄てられるように忘れ去られてゆくできごとのほうが多いのではないか? そちらのほうが問題だ。
 たとえば、渋谷警察署が“公務執行妨害”を自作自演した(テロの)可能性が高いといわれる「麻生邸見学ツアー事件」を警察発表モノでなしに報道した例はネットを除けばごく限られ、かつ続報はほとんどない。また、いちおうは続報が流されている「自衛隊幹部論文事件」にしても、たとえばNHKテレビニュースなどは公式発表モノの範疇を超えた続報などいまのところ皆無といっていい。こちらの事件では件の懸賞論文の出版記念会発起人に森喜朗、安倍晋三両氏をはじめとする首相経験者ら数十名の国会議員が名を列ねているというとんでもないニュースネタがあるにも関わらず、なのだ(「ストレイ・ドッグ:11月15日」)。しかも、懸賞論文の自衛隊による大量応募にあたって、空自第六航空団(石川県小松基地)と主催者のアパグループとの間に「(応募予定の多くが)間に合いそうにないから」と締きり後の提出が承認されていたという事実も明らかになっている(*追記注)。

 ここで挙げた数例をテレビニュースでみかけなかったのはタマタマかもしれないとはいえ、少なくとも宅配便の受け取り方のレクチャーに時間を割くよりは報道として重要であることは間違いない。もっとも、かつての白装束“報道”合戦のあけくれよりは……という見方もできるのだが(笑:下記23日追記参照)。

 そういえば、与党内の混乱(と同時に国政の混乱)が伝えられない日もないが、同じくNHKテレビニュースをみていると、混乱側の身内が続々と画面やコメントに登場する一方で、最大野党である民主党の影が非常に薄く、いわんやほかの野党についてはほとんど現れてこない。こういうところに番組構成にあたるある種の意思をみざるをえないのだ。たとえ弁解だとしても、与党にとってはいい宣伝になっていようから。
 で、先にリンクと引用をさせていただいた白川氏のコラムの後半にはこんなひとことも登場する。

 麻生首相はペルーで「あの人は代表を辞めるといって辞めなかった。小沢党首の言うことは信用できない。だから第二次補正予算案は臨時国会には提出できない」と発言した。この男は完全にバカである。自分のおかれている立場と責任がまったく分かっていないのである。

 まぁ、ここまでハッキリ書くのもどうかと思わないでもない(オレみたいなのがマネしちゃうから・笑)けれど、ようはこんな男を首相にまつりたてた与党の愚かしさを再確認するには絶好の言である。
 21日配信の「夕刊フジ」あたりによれば、とうの与党内での麻生バッシングはかなり度合いを強めているらしく、「麻生おろし」の動きすら具体化しつつあるかのように伝えられてきた。だが、あのコンクリート屋がそのていどの男であり、首相に就任するやどのような蛮行をやらかすかということぐらいのことがハナからわからなかったとはいわせない。パっと出の新人ではないのだ。代々地方経済界を暗躍し、族の功のカラクリで政治屋に“出世”したこの男と、それこそ数十年にわたってつきあってきたのが自民党ではないか。そんなわかりきったことをいまさらのように騒ぎ立てるのはウケ狙いのポーズか、単なる派閥争いに過ぎず、そうでないというならば、自らの不明・無知を表明することと同義である。

 それにしても。どうしてこんなに愚かなのだろうか???


*追記注:
 なお、森、安倍両氏ら一部は、その後に発起人を辞退している。

*23日追記:
 はたして、容疑者と目される人物が自首をし、その動機も数ある殺人事件のひとつにすぎないといった様相である。それでもなお、この“オイシイネタ”をしゃぶっていたいのか、民放のある報道系番組では容疑者の自宅を訪ねたり、スタジオでは“識者”づらしたおっさんがしかつめらしく上げ底評論を述べている始末。この騒動をみて思い浮かべるのは『フーコーの振り子』(「Il pendolo di Foucault」ウンベルト エーコ)である。とある「暗号文書」発見をめぐって起きた騒動を描いたオカルト活劇だが、「暗号文書」の正体は単なる落書きの類だったというシャレた顛末を持つ小説だ。事件そのものを揶揄するつもりはないが、一部報道の姿勢は、この作品がまさに揶揄するかのような低俗性を兼ね備えていたとはいえる。
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