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猫池罵詈雑言雑記帳
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 このところテレビ(とくにNHK総合)を目にするたびにサミット、サミットがやたらと喧伝されているので、いざ7日に開幕するや、「なんだ、やっとはじまったのか?」などと錯覚してしまったほどだ。そしてエコ。あるいは環境。もっとも目立つのが二酸化炭素ならぬ「CO2」か。まるでお祭りさわぎである。案外、現地では「サミット饅頭」だの「エコ満載 サミット丼」なんてのまで売られてたりしてなァ……。
 テレビ的お祭りさわぎでいえば、オリンピックになればオリンピックの洪水になるのだろうけれど、こうまでサミットネタの露出をみると、その裏になんらかの企みでもあるのだろうかと勘ぐりたくもなってくる。スポーツといえば、2002年のサッカーワールドカップ日韓開催のさいもまったくのお祭りさわぎでテレビ番組が占拠されたかのようだったが、この場合は日本におけるサッカー愛好熱がそれなりに定着するだけのきっかけにはなっていたといえるだろう。なかには鼻白んでいたムキも少なくないかもしれないけれど、少なくとも後につながるものがあった。しかし、いまの“エコさわぎ”が健全な発展をみせるかどうかについては、「さぁて、どうですかな?」という気もする。

 とはいえ、北海道洞爺湖サミットをめぐる報道についてあれこれみてゆくと、意外と興味を惹く視点や事件にもぶつかる。「日刊ベリタ」が報じているいくつかの記事にはそうした内容も多く、サミットだけでなくその周辺でのできごとや考え方について触れている点に共感を覚える部分が少なくない。
 拙ブログでも紹介することの多い白川勝彦氏のつぎの一文もそのひとつである。
「ウィンザー・ホテルの怪」
 冒頭でいささか斜に構えたような書きようをしてみたのは、ようはここに書かれていることをほとんど同じことをつらつら考えてきたからでもある。件のホテルの外観映像をみて、じつはまったく同じ感想を持ったものだったし、「CO2削減だ、地球温暖化阻止だ、環境保全だといろいろと論じてはいるが、“環境”を大切にすることなど本当はどうでもよいのだろう」という白川氏の見方は、多くの場面でそのとおりなのではないのだろうかとも思う。やや言い換えをすれば、そういうふうに根無し草的ななりゆきになりかねない脆弱性と隣り合わせの“騒ぎ”にすぎないのではないか。もちろん、広義の意味を含めて環境問題に対して真剣に取組んでいる個人や組織をいくつも知っている。だが、いまの“騒ぎ”のなかにはおよそ性質の疑わしさを感じさせる部分がある。環境問題が広く認知されてゆくことは大切だし、そのためのある種の演出だってけっしてムダではないと思う。しかし、いまのサミットをめぐる騒ぎをみるにつけ、せっかく芽生えかけた意識もまた、そんなお粗末きわまる上げ底ブームの衰退と運命をともにされかねないのではないかという危機感を覚えずにはいられないのである(だいたい、街あかりの一部をほんの短時間消してうれしがるようなパフォーマンスが、本当の意味で環境問題への取組みになるワケがない。それもわっざわざサミット開催にあわせる念の入れよう。嗤わせるにもほどがある)。

 ところで、白川氏が「2万人警察官を全国から招集して警備するのは、環境・CO2からいっても問題であろう」といみじくも記しているが、この規模に関連する面白い記事もあった。
 ロンドン時事発の記事「サミット 日本の経費に驚き」によれば、今回のサミットに日本政府がかける経費が2億8500万ポンド(およそ600億円!)にのぼり、わずか3年前にイギリス・グレンイーグルズで開かれたサミットのさいの3倍以上に相当するというのだ。これは5日づけのイギリス紙「タイムス」の報じたところとして配信された記事だが、同紙によれば、この予算のうちの半分が警察官2万1000人らの動員費(1億4200万ポンド)であり、同じくグレンイーグルズサミットと比較するとおよそ2倍(7200万ポンド)だという。あの超物価高で有名なイギリスと比較して、嗚呼この大判振舞いジャパン。イギリスはテロに対してはもちろん、さまざまな警備の厳重さでも名をとどろかしているけれど(さらにわが国とは異なり、現実に国際的テロが起きている)、そういう国のメディアからみても、今回のサミットをめぐる騒ぎは異常なものとして映っているようである。

 まぁ、一部が騒ぎ立てるほどには、大半の市民の関心をそういう面で集めているようにも思えないから、その点は安心なんですがね。念のため……、現在のようなアメリカ合州国主導のサミットには多くの疑問を覚えているが、国を超えてひとつの場所に集まって討議することそのものには意義を感じるし賛成だ。問題はその方向性およびその後の実行、さらにそれを忌憚なく伝えるメディアの姿勢などといったところではないだろうか。



*おまけ:
 そういや、ごくタマにみるテレビ番組のひとつ「世界・ふしぎ発見!」(TBS)。サミット開幕直前の土曜日(5日)に放映されたのは、話としては環境やらエコやらだったのだが、その舞台がキューバ共和国であるあたりにある種の痛快さを覚えた。まぁ、わざとタイミングを狙ったとは思えないけれど、キューバにおけるさまざまな「エコ」の成功例などが紹介されていておおいに興味を惹くというものだ(これは、昨年9月に開催されたシンポジウム「日本のガラパゴス 琵琶湖からの発信」における池谷奉文氏(財・日本生態系協会代表)の基調講演で紹介された話を裏づける内容でもあった)。

※次回更新は7月15日以降になります。
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