鉄道を舞台とした卑劣な犯罪が目立つ。つい先ごろも車両への落書き事件がありこのブログでも触れたが、こんどは強姦事件である。
ニュース等でご覧になった方も少なくないハズだ。JR東日本東海道本線の普通列車グリーン車内で「グリーンアテンダント」と呼ばれる女性乗務員に対する連続暴行事件として34歳の男が逮捕されたという。なんでも、乗客の少ない早朝を狙って車内のトイレ等で暴行に及んだというのだが、06年にJR西日本北陸本線で起きた事件に類似する卑劣な犯行である。
ニュース等でご覧になった方も少なくないハズだ。JR東日本東海道本線の普通列車グリーン車内で「グリーンアテンダント」と呼ばれる女性乗務員に対する連続暴行事件として34歳の男が逮捕されたという。なんでも、乗客の少ない早朝を狙って車内のトイレ等で暴行に及んだというのだが、06年にJR西日本北陸本線で起きた事件に類似する卑劣な犯行である。
まず、『新宿歌舞伎町 マフィアの棲む街』(吾妻博勝著・文春文庫)に登場した暴力団員ではないが、「オレは強姦だけは許せねぇ」と考えている(といっても、ほかにも許し難いと思うものはあるのだが)ぐらいで、仮に現場に遭遇したとしたらおそらくタダではおかなかったであろう。なにしろ厳罰に処するべきである。アメリカ合州国では児童への性的犯罪に対する死刑云々が憲法に照らし合わせてあれこれ取り沙汰されていたようだが、“極刑”はとにかくとしても、相当に厳しい刑罰を課するべきだと考えている。あえて書くとすれば、去勢するぐらいの刑罰があったっていいのではないかと思うぐらいだ。強姦などという非人道的な犯罪に、それも複数回に及んで実行してしまうぐらい性欲を持て余しているのである。だったら、いっそのこと男性としての機能を取り去ってやるほうが、本人にとっても余計な煩悩がなくなってよろしかろうに。……こんなたわごとの類が冷静にみて適当かどうかという問題はあるにせよ、通常ならば考えられないような犯罪を犯すその精神構造はいったいどうなっているのだろうかと思う。
本題はここからである。
このブログは、あれこれ罵詈雑言の類をしたためているが、社会面的な事件や話題についてはあまり触れないようにしている。北陸本線での事件のさいも、犯人や周囲でだんまりを決めていたという“消極的共犯者”の類を含めて「ふざけるなっ!」と怒り心頭ではあったけれど、取り上げなかった。ではなぜ書くことにしたかといえば、ネット上の記事に以下のようなくだりがあったからである。
「この事件の影響もあり、4月からグリーン車に防犯カメラを設置し始めたが、カメラの映像が男逮捕の決め手となった」(「夕刊フジ」7月4日配信)
カンのいい読者にはピンときたハズ。この「防犯カメラ設置」という場当たり的施策。兼ねてから記しているとおり、「防犯カメラ」となぜか呼ばれている監視カメラがここでも決して“防犯”になっていなかったところにもまず注目していただきたい。犯罪捜査の役には立っていたようだが(容疑者が逮捕されたことにより、その後に予想されうる犯行が防げたというのはこの場合は詭弁になろう)、少なくともカメラ設置後に犯行があったことを証明してしまっているのである。さらにいえば、監視カメラの映像以外の捜査はどうなっていたのだろうという気もする。
もうひとつというか、ここが肝心なのだが、この報せをみて、オレはJR東日本のグリーン車を利用する気が失せた。取材旅行などにさいして、大きめの荷物を持ってラッシュ時間帯の列車に乗るようなときなどには重宝する設備だし、自分のオヤが混雑のなかで出かけるときには、慣れない電車で疲れさせるのも心配なので利用を勧めているぐらいなのだが、こんな乗客を半ば犯罪者予備軍とするような扱い(監視)をするのであれば、今後はそれも考え直さなければならない。
断っておくが、あらゆる場面での防犯への備えは大切である。しかし、タマタマ連続して起きてはいるにせよ、鉄道車内での強姦などかなり特殊な部類の犯罪であろう(痴漢がことのほか多いことはさまざまな女性からの証言などによって知ってはいるが、仮に監視カメラが有効だとするのであれば、むしろギュゥギュゥ詰めになる普通車にこそ設置すべきであろう)。しかもカメラそのものがここでも防犯に役立たなかったのである。そんなシロモノで、わざわざグリーン料金を払ってまで乗っている顧客を監視するというセンス。まったくもって理解不能である(*注)。
いまひとつは、この女性乗務員制度である。記憶では比較的最近になって導入されたと思うのだが、乗っている立場からすると、たとえば同じ車内改札を受けるにしても、ニコやかな女性によるとなんとなくソフトな感じがしていいということはあるかもしれない。最近では軽食や飲み物の販売業も兼任なさっているようだが、それはそれとして、いちど乗った列車がダイヤの乱れに巻き込まれ乗継ぎに齟齬をきたしそうになったさいに、忙しいなかきちんとダイヤを調べてフォローしてくれた経験があり、「ぁあ、がんばっているな」と感心したことがある。だが、現場で努力している彼女たちには悪いが、現状のシステムにあっては中途半端きわまる状態だと言わざるをえないのだ。
これは、該当するグリーン車を利用したことのあるひとでもご存じのないムキもあると思うのだが、彼女たちには車内改札のほか物販と乗客案内は仕事として認められている一方で、出札業務については乗務中列車のグリーン券の車内販売しか業務の範囲としてもっていないのである。もう少し詳しく書くと、乗車券のみでグリーン車に乗った場合、車内精算扱いでグリーン券の発券(乗車前より250円割高になる)はするのだが、たとえば時間がなくて130円区間の初乗り運賃しか払っていないなどの場合で下車駅までの精算を依頼しても発券できないのであった(これは実際に複数回体験している)。内規がどうなっているのかはわからないが、おそらく車掌とは異なる立場にあるのであろう。しかし、車内改札業務にあたっている時点で、なにもしらない乗客にとっては車掌と同じであるのだが。
以前、このブログで車掌の業務について触れたことがある(「大切な車掌の仕事」)。このときは、「必要ない」という元国鉄マンの話を紹介しつつある種マニュアル化した仕事ぶりを嘆いてみせたが、言うまでもなく理由があって乗務しているのである。仕事はいろいろあろうが、ある現役車掌から伺った話から推測するに、非常時のフォローというのがとりわけ重要な業務だというふうに捉えている(元国鉄マンもこの点を強調していた)。たとえば、あるローカル線では、路線の半分がワンマン化されていながら乗客流動がもっとも閑散とするであろう県境付近を含む区間で車掌の乗務がある(国土交通省からの通達だかきまりだかだそうだ)。その区間には長大トンネルが多いうえに狭隘な道のりであり、ようはなんらかの非常時のための人的対応なのだという。
これは被害に遭った方に対してはいささか厳しい意見になってしまうかもしれないが、いかに特殊な部類の犯罪とはいえ、非常時の要であるべき乗務員が犯行を防げなかったという事実を重く受け止める必要があるのではないか? 今回の事件は乗務員そのものが凶行に遭ったものだったが、これが一般の乗客に累が及んでいたらどうだったのか。あるいはそれこそ車内放送でタレ流しにされているようにテロの類だったら? 誤解してほしくはないが、女性乗務員だからこうした事件が起きたと主張するつもりはない。しかし、ではなぜこういう危険に対応すべく業務にうら若い女性だけであたらせるのかという会社側の都合に想像を巡らせた場合、やはりどうしても疑問符がつきまとってしまうのだ(ここれは「なぜ」についての断言は避けるが)。
事件を受けて、鉄道会社側では監視カメラ設置とともに、一部では女性乗務員を1名から2名乗務に増員する方針だという。だが、そんな場当たり的、マニュアル的な施策に疑問を感じるのは筆者だけだろうか?
*注:
“防犯”カメラがさっぱり役立たなかった例が、『近代麻雀オリジナル』(7月号・竹書房)で紹介されている。山崎一夫氏の連載コラム「たぬきの皮算用」(第134回)のオマケ的カコミに記されている「防犯カメラが2台もあったのに…」という見出し。引用しつつ紹介してみたい。
山崎氏は都内で「たぬ」という雀荘を経営しつつ著作活動もされている麻雀界の有名人だが、その「たぬ」ではなんどもドロボウの被害に遭っているらしい。コラムによれば、「防犯カメラが階段と店内の2か所に設置されている店ですが、残念なことに期待した威力を発揮できませんでした」という。その“防犯”カメラ。階段にある1台は「どういうワケか何も映っていないというか、録画すらされていなかった」であり、店内の1台は「ガラスが割られた時間などは一応録画されていたんですが、スキップ録画のタイミングが合わずに犯人の映像は無し」だったという。後者についてはスキップに設定しておいたのが失敗とも記してあるが、ケッサクなのは最後のくだりである。
「どろぼうに入られない対策を強化するのが大切です」
つまり、被害者にとって“防犯”カメラは“防犯”になっていないことが明らかであり、かつ監視すら覚束なかったという話なのであった(仮に映っていても、覆面をかぶっていたりすると「犯人特定逮捕は難しいかもしれません」とも)。実効があろうとなかろうと“防犯”カメラ屋の売り上げにはなっているんでしょうがね。
本題はここからである。
このブログは、あれこれ罵詈雑言の類をしたためているが、社会面的な事件や話題についてはあまり触れないようにしている。北陸本線での事件のさいも、犯人や周囲でだんまりを決めていたという“消極的共犯者”の類を含めて「ふざけるなっ!」と怒り心頭ではあったけれど、取り上げなかった。ではなぜ書くことにしたかといえば、ネット上の記事に以下のようなくだりがあったからである。
「この事件の影響もあり、4月からグリーン車に防犯カメラを設置し始めたが、カメラの映像が男逮捕の決め手となった」(「夕刊フジ」7月4日配信)
カンのいい読者にはピンときたハズ。この「防犯カメラ設置」という場当たり的施策。兼ねてから記しているとおり、「防犯カメラ」となぜか呼ばれている監視カメラがここでも決して“防犯”になっていなかったところにもまず注目していただきたい。犯罪捜査の役には立っていたようだが(容疑者が逮捕されたことにより、その後に予想されうる犯行が防げたというのはこの場合は詭弁になろう)、少なくともカメラ設置後に犯行があったことを証明してしまっているのである。さらにいえば、監視カメラの映像以外の捜査はどうなっていたのだろうという気もする。
もうひとつというか、ここが肝心なのだが、この報せをみて、オレはJR東日本のグリーン車を利用する気が失せた。取材旅行などにさいして、大きめの荷物を持ってラッシュ時間帯の列車に乗るようなときなどには重宝する設備だし、自分のオヤが混雑のなかで出かけるときには、慣れない電車で疲れさせるのも心配なので利用を勧めているぐらいなのだが、こんな乗客を半ば犯罪者予備軍とするような扱い(監視)をするのであれば、今後はそれも考え直さなければならない。
断っておくが、あらゆる場面での防犯への備えは大切である。しかし、タマタマ連続して起きてはいるにせよ、鉄道車内での強姦などかなり特殊な部類の犯罪であろう(痴漢がことのほか多いことはさまざまな女性からの証言などによって知ってはいるが、仮に監視カメラが有効だとするのであれば、むしろギュゥギュゥ詰めになる普通車にこそ設置すべきであろう)。しかもカメラそのものがここでも防犯に役立たなかったのである。そんなシロモノで、わざわざグリーン料金を払ってまで乗っている顧客を監視するというセンス。まったくもって理解不能である(*注)。
いまひとつは、この女性乗務員制度である。記憶では比較的最近になって導入されたと思うのだが、乗っている立場からすると、たとえば同じ車内改札を受けるにしても、ニコやかな女性によるとなんとなくソフトな感じがしていいということはあるかもしれない。最近では軽食や飲み物の販売業も兼任なさっているようだが、それはそれとして、いちど乗った列車がダイヤの乱れに巻き込まれ乗継ぎに齟齬をきたしそうになったさいに、忙しいなかきちんとダイヤを調べてフォローしてくれた経験があり、「ぁあ、がんばっているな」と感心したことがある。だが、現場で努力している彼女たちには悪いが、現状のシステムにあっては中途半端きわまる状態だと言わざるをえないのだ。
これは、該当するグリーン車を利用したことのあるひとでもご存じのないムキもあると思うのだが、彼女たちには車内改札のほか物販と乗客案内は仕事として認められている一方で、出札業務については乗務中列車のグリーン券の車内販売しか業務の範囲としてもっていないのである。もう少し詳しく書くと、乗車券のみでグリーン車に乗った場合、車内精算扱いでグリーン券の発券(乗車前より250円割高になる)はするのだが、たとえば時間がなくて130円区間の初乗り運賃しか払っていないなどの場合で下車駅までの精算を依頼しても発券できないのであった(これは実際に複数回体験している)。内規がどうなっているのかはわからないが、おそらく車掌とは異なる立場にあるのであろう。しかし、車内改札業務にあたっている時点で、なにもしらない乗客にとっては車掌と同じであるのだが。
以前、このブログで車掌の業務について触れたことがある(「大切な車掌の仕事」)。このときは、「必要ない」という元国鉄マンの話を紹介しつつある種マニュアル化した仕事ぶりを嘆いてみせたが、言うまでもなく理由があって乗務しているのである。仕事はいろいろあろうが、ある現役車掌から伺った話から推測するに、非常時のフォローというのがとりわけ重要な業務だというふうに捉えている(元国鉄マンもこの点を強調していた)。たとえば、あるローカル線では、路線の半分がワンマン化されていながら乗客流動がもっとも閑散とするであろう県境付近を含む区間で車掌の乗務がある(国土交通省からの通達だかきまりだかだそうだ)。その区間には長大トンネルが多いうえに狭隘な道のりであり、ようはなんらかの非常時のための人的対応なのだという。
これは被害に遭った方に対してはいささか厳しい意見になってしまうかもしれないが、いかに特殊な部類の犯罪とはいえ、非常時の要であるべき乗務員が犯行を防げなかったという事実を重く受け止める必要があるのではないか? 今回の事件は乗務員そのものが凶行に遭ったものだったが、これが一般の乗客に累が及んでいたらどうだったのか。あるいはそれこそ車内放送でタレ流しにされているようにテロの類だったら? 誤解してほしくはないが、女性乗務員だからこうした事件が起きたと主張するつもりはない。しかし、ではなぜこういう危険に対応すべく業務にうら若い女性だけであたらせるのかという会社側の都合に想像を巡らせた場合、やはりどうしても疑問符がつきまとってしまうのだ(ここれは「なぜ」についての断言は避けるが)。
事件を受けて、鉄道会社側では監視カメラ設置とともに、一部では女性乗務員を1名から2名乗務に増員する方針だという。だが、そんな場当たり的、マニュアル的な施策に疑問を感じるのは筆者だけだろうか?
*注:
“防犯”カメラがさっぱり役立たなかった例が、『近代麻雀オリジナル』(7月号・竹書房)で紹介されている。山崎一夫氏の連載コラム「たぬきの皮算用」(第134回)のオマケ的カコミに記されている「防犯カメラが2台もあったのに…」という見出し。引用しつつ紹介してみたい。
山崎氏は都内で「たぬ」という雀荘を経営しつつ著作活動もされている麻雀界の有名人だが、その「たぬ」ではなんどもドロボウの被害に遭っているらしい。コラムによれば、「防犯カメラが階段と店内の2か所に設置されている店ですが、残念なことに期待した威力を発揮できませんでした」という。その“防犯”カメラ。階段にある1台は「どういうワケか何も映っていないというか、録画すらされていなかった」であり、店内の1台は「ガラスが割られた時間などは一応録画されていたんですが、スキップ録画のタイミングが合わずに犯人の映像は無し」だったという。後者についてはスキップに設定しておいたのが失敗とも記してあるが、ケッサクなのは最後のくだりである。
「どろぼうに入られない対策を強化するのが大切です」
つまり、被害者にとって“防犯”カメラは“防犯”になっていないことが明らかであり、かつ監視すら覚束なかったという話なのであった(仮に映っていても、覆面をかぶっていたりすると「犯人特定逮捕は難しいかもしれません」とも)。実効があろうとなかろうと“防犯”カメラ屋の売り上げにはなっているんでしょうがね。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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