先日、ある会合でのできごと。
人生の大ベテランが登壇に立ってあいさつをした。
「みなさんこんばんは。後期高齢者の某でございます」
会場には失笑も漏れたものだが、あるいはこういうブラックユーモアの類は、あちらこちらで語られているかもしれない。もちろん国家から“後期高齢者”と一方的にカテゴライズされたお年寄りによってだ。
あのコイズミスネオの置き土産のひとつである後期高齢者医療制度は、ご承知のとおり広く国民の批判を集め、政権の命取りにすらなりかねない状態にある。この悪法についてはなんどか記してきたが、ここにきてひとつの進歩らしきものがみられたので、それについて少しだけ触れてみようと思う。
人生の大ベテランが登壇に立ってあいさつをした。
「みなさんこんばんは。後期高齢者の某でございます」
会場には失笑も漏れたものだが、あるいはこういうブラックユーモアの類は、あちらこちらで語られているかもしれない。もちろん国家から“後期高齢者”と一方的にカテゴライズされたお年寄りによってだ。
あのコイズミスネオの置き土産のひとつである後期高齢者医療制度は、ご承知のとおり広く国民の批判を集め、政権の命取りにすらなりかねない状態にある。この悪法についてはなんどか記してきたが、ここにきてひとつの進歩らしきものがみられたので、それについて少しだけ触れてみようと思う。
進歩らしきものとは、後期高齢者医療制度の診療報酬のひとつである「後期高齢者終末期相談支援料」が7月1日からその運用を一時凍結されるという動きについてである。
これは、後期高齢者医療制度の発足に伴って導入された仕組みで、医師が回復の見込みがないと判断した75歳以上の患者やその家族との間で延命措置をとらないことなどを文書で確認することによって、患者ひとりあたり2000円の報酬が医療機関に支払われるというものだ。ようは、「どうせ遠からずくたばるんだから、治療などムダ。そんなカネを使うのは“もったいない”だろ」という制度を国が定めたということであり、かつ、「くたばりぞこないの命綱をとっぱらったら、些少でございますが“心づけ”をさしあげますよ」というものだ。これが世界に誇れる先進国ニッポンという国がつくった制度であり、まさに恥じるべき悪制度なのだ。断るまでもなく、いまこれを記している段階ではこの制度は生きている。こんなシロモノをもって、「後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療が受けられる」とウソぶく自創政権と日本政府。バカを抜かすにもほどがある。
これに対し、同制度がスタートした4月にこの支援料(マージン)を請求した医療機関は、少なくとも国立病院に限っていえばただの1件もなかったという。国を動かす冷血どもがいかに笛を吹いたところで、医療の現場そのものには人間としての常識があったということであろうか。こうしたなか、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会が25日に開いた総会運用を一時凍結を了承したというのが今回のできごとの流れである。
動かした背景のひとつには参院で野党が提出した同制度の廃止法案が通過したという事実もあり、この点について舛添要一厚労相ですら認めざるをえなかったという。だが、現段階では単なる凍結であり、この悪法そのものが廃止されたわけではない。なにしろ、とうの厚労相が「来るべきときには、全国民に広げることになると確信している」などとシブトさをみせているのである(このオッサン、テレビなどでみかけるたびに「ありゃ、まだ厚労相だったんだ?」とついつい錯覚してしまうのだが・笑)。
そんななか、「決断しなくてはいけない大事な時期」と首相みずからが大見得をきった消費税増税について、まだ舌の根の乾かぬうちに「2、3年の長い単位で申し上げた。もう少し先の段階だ」などと逃げを打つ事態になっている。しかし気をつけなければならない。後期高齢者医療制度と消費税増税とはお互いを補完しあう国民困窮法である。方や悪法中の悪法と喧伝されるままに(というわけでもなさそうではあるが)罠をしかけておいて財源不足をアピール、したがって……という案配で増税を正当化するというのがこの国をいじくる連中の浅知恵なのだ(まぁ、消費税云々でいえば、おそらく自公と大差のないと思われる民主が安易に同調できなくなっていそうなあたりに面白さを感じないでもないが)。
フクチャンいわく「国民生活に迷惑をかけないような、そして国民生活に希望が持てるようなことをすべきではないか」だそうである。はて??? どうもこのヒトは、われわれ日本人とは異なる言語感覚をお持ちのようだ。だが、今回の“制度凍結”というささやかな前進は、あるいはひとつの「希望」につながってくる可能性もあるのではないか。国民が怒れば国は動かせるのである。
*それにしても:
ついさきごろ、クラスター爆弾禁止条約にしぶしぶながら(?)同意した日本政府だが、なんでも防衛省では新型クラスター爆弾を装備する方針らしい。 あの「ヨミウリ」が嬉々として(?)伝えたところによれば、「イ:新型クラスター爆弾は子弾が10個未満と少ない。ロ:子弾が自己破壊機能を備え、不発弾になりにくい」などを根拠に「禁止条約の対象外となっている」(同紙6月22日)ということで、来年度概算要求で予算要求する方針なのだそうな。もっとも、すでに配備されているクラスター爆弾の置き換えということらしいのだが、しかし、これは禁止条約に照らし合わせた場合“脱法的扱い”といっていいのではないか? ひところ「合法ドラッグ」とやらが流行し社会問題にもなったが、脱法の論理からいえばこれはきわめて近い発想だといえる。そもそもが、専守防衛をタテマエとするわが国の自衛隊のどこにこんな殺戮兵器の必要性があるというのか。必要だと言い張るのであれば、具体的にその場面を国民に公開するのがスジというものであろう。
しかしそれよりもなにも。そんなムダガネを使ってる余裕があるんですにゃぁ。この国には。外国に軍隊に大金をめぐんでやったり、その相手国から使いもしない殺戮兵器を買ってやったり。国民の生命を守ることにはカネを惜しむ一方でこのていたらく。こうしてみると諸悪の根源ってのがみえてくるようでもある。
これは、後期高齢者医療制度の発足に伴って導入された仕組みで、医師が回復の見込みがないと判断した75歳以上の患者やその家族との間で延命措置をとらないことなどを文書で確認することによって、患者ひとりあたり2000円の報酬が医療機関に支払われるというものだ。ようは、「どうせ遠からずくたばるんだから、治療などムダ。そんなカネを使うのは“もったいない”だろ」という制度を国が定めたということであり、かつ、「くたばりぞこないの命綱をとっぱらったら、些少でございますが“心づけ”をさしあげますよ」というものだ。これが世界に誇れる先進国ニッポンという国がつくった制度であり、まさに恥じるべき悪制度なのだ。断るまでもなく、いまこれを記している段階ではこの制度は生きている。こんなシロモノをもって、「後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療が受けられる」とウソぶく自創政権と日本政府。バカを抜かすにもほどがある。
これに対し、同制度がスタートした4月にこの支援料(マージン)を請求した医療機関は、少なくとも国立病院に限っていえばただの1件もなかったという。国を動かす冷血どもがいかに笛を吹いたところで、医療の現場そのものには人間としての常識があったということであろうか。こうしたなか、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会が25日に開いた総会運用を一時凍結を了承したというのが今回のできごとの流れである。
動かした背景のひとつには参院で野党が提出した同制度の廃止法案が通過したという事実もあり、この点について舛添要一厚労相ですら認めざるをえなかったという。だが、現段階では単なる凍結であり、この悪法そのものが廃止されたわけではない。なにしろ、とうの厚労相が「来るべきときには、全国民に広げることになると確信している」などとシブトさをみせているのである(このオッサン、テレビなどでみかけるたびに「ありゃ、まだ厚労相だったんだ?」とついつい錯覚してしまうのだが・笑)。
そんななか、「決断しなくてはいけない大事な時期」と首相みずからが大見得をきった消費税増税について、まだ舌の根の乾かぬうちに「2、3年の長い単位で申し上げた。もう少し先の段階だ」などと逃げを打つ事態になっている。しかし気をつけなければならない。後期高齢者医療制度と消費税増税とはお互いを補完しあう国民困窮法である。方や悪法中の悪法と喧伝されるままに(というわけでもなさそうではあるが)罠をしかけておいて財源不足をアピール、したがって……という案配で増税を正当化するというのがこの国をいじくる連中の浅知恵なのだ(まぁ、消費税云々でいえば、おそらく自公と大差のないと思われる民主が安易に同調できなくなっていそうなあたりに面白さを感じないでもないが)。
フクチャンいわく「国民生活に迷惑をかけないような、そして国民生活に希望が持てるようなことをすべきではないか」だそうである。はて??? どうもこのヒトは、われわれ日本人とは異なる言語感覚をお持ちのようだ。だが、今回の“制度凍結”というささやかな前進は、あるいはひとつの「希望」につながってくる可能性もあるのではないか。国民が怒れば国は動かせるのである。
*それにしても:
ついさきごろ、クラスター爆弾禁止条約にしぶしぶながら(?)同意した日本政府だが、なんでも防衛省では新型クラスター爆弾を装備する方針らしい。 あの「ヨミウリ」が嬉々として(?)伝えたところによれば、「イ:新型クラスター爆弾は子弾が10個未満と少ない。ロ:子弾が自己破壊機能を備え、不発弾になりにくい」などを根拠に「禁止条約の対象外となっている」(同紙6月22日)ということで、来年度概算要求で予算要求する方針なのだそうな。もっとも、すでに配備されているクラスター爆弾の置き換えということらしいのだが、しかし、これは禁止条約に照らし合わせた場合“脱法的扱い”といっていいのではないか? ひところ「合法ドラッグ」とやらが流行し社会問題にもなったが、脱法の論理からいえばこれはきわめて近い発想だといえる。そもそもが、専守防衛をタテマエとするわが国の自衛隊のどこにこんな殺戮兵器の必要性があるというのか。必要だと言い張るのであれば、具体的にその場面を国民に公開するのがスジというものであろう。
しかしそれよりもなにも。そんなムダガネを使ってる余裕があるんですにゃぁ。この国には。外国に軍隊に大金をめぐんでやったり、その相手国から使いもしない殺戮兵器を買ってやったり。国民の生命を守ることにはカネを惜しむ一方でこのていたらく。こうしてみると諸悪の根源ってのがみえてくるようでもある。
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レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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