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猫池罵詈雑言雑記帳
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 ややタイミングを逸したが、北朝鮮がらみの動きについていくつか触れてみたい。

 まずはアメリカ合州国による北朝鮮テロ支援国家指定解除。南北の分断については、歴史的にみてわが国の関与が多大に影響しているとともに、旧ソ連とアメリカ合州国との覇権争いがあったことは否定できないと思うが、いまなぜことさらアメリカが主導を握る形になっているのかについては、シロウト目にはだいへんに違和感がある。たいした根拠を持たないなんとなくの見方ではあるが、東アジア地域の覇権争いという意味で、アメリカと中華人民共和国との間になんらかの綱引きがあるような気もするし、そうであるとすれば、わが国と北朝鮮とはまんまと彼らに利用されているのではないかという邪推もしたくなってくる。ごく単純化すれば、なぜお前が口を挟むのかといったところでもあろう。

 しかしまぁ、それはそれとして、わが国の政府の外交能力の欠如はこんなところにも顕われてはいまいか? たとえば拉致問題はまさにわが国と北朝鮮との2国間の問題である。それをなぜ第三者であるアメリカがしゃしゃりでてきて、その動向についていっちいちわが国の政府が追随しなければならないのか。たとえば核問題についても、あれで“脅威”を受けることがあるとすれば日本と大韓民国にほかならないであろう。それを、原子炉の冷却塔を爆破するというパフォーマンスの片棒を担ぐ必要が、あの国のどこにあるというのだろうかと思う。
 断っておくが、現状の北朝鮮という国が決して好きになれない存在であり、かつ“金王朝”の一刻も早い崩壊を個人的にも願っているとはいえ、ことさら悪者として祭り上げるつもりはない。しかし、あらゆる外交手段において、あの国の政権に対して手緩い施策をとるべきではないと強く考える。
 毎年のように北朝鮮の飢饉が伝えられている。国政の失策に加えて気象災害なども加わり、今年もまた外国からの支援なしには乗り切ることの困難が指摘されている。こうした現状について、たとえ人道的目的であろうとあの国への援助などもってのほかだということをなんどか記してきたが、その思いを強くするできごとが一部で伝えられているのを見逃すわけにもいかないだろう。

 http://www.dailynk.com/japanese/read.php?cataId=nk00100&num=2292

 リンク記事は、北朝鮮名物として一部で知られる柳京ホテルの工事が4月に再開されたというニュースである。
 この第一報については「東京新聞」6月24日朝刊の囲み記事で知ったが、ここにはリンク記事には触れられていない内容が書かれている。すなわち、アメリカ合州国の「自由アジア放送」(個人的には、このアメリカのメディアについてもある種のうさん臭さを感じるが)が伝えるところとして、ホテル建設の再開がエジプトの通信会社「オラスコムテレコム」による1億(米)ドルの出資で実施されていることのほか、北朝鮮側が統一協会に3億ドルの投資を要請する予定だということを記しているのである。その流れとして、統一協会の機関紙である「世界日報」のパク=ポヒ社長が協議のため中国入りするともいう(記事の段階で「今週」となっていたので、事実だとすればすでに会談が実施されている可能性がある)。

 統一協会といえば「勝共連合」であり、ようは反共をタテマエとしつつ各地で問題を起こしてきた謀略組織である。いわゆる洗脳の類によって拉致同然にされた日本人が少なくないことを知るひとも多いだろう。それが北朝鮮政府と組む。“投資”というからには、当然のこととしてなんらかの見返りを期待しているハズだ。とんだブラックユーモアだと言いたいところだが、もとより北朝鮮が共産主義などとはなんら関係のないファシズムの個人国家だということは常識である。したがって、この組み合わせはじつにふさわしい極悪タッグだともいえるのだが、問題のひとつはこの片割れである統一協会が、わが国で首相を務めた人物とのつながりを指摘されていることであろう。
 その人物とは、いうまでもなくあのおぼっちゃんである(ほかにも取り沙汰される人物は少なくないようだが)。ちなみに、前回触れた山本ベンダサン氏もこの組織とのつながりがあったことが指摘されている。
 統一協会というのは、たとえ表向きが“反共”であろうとも、いわゆる右翼ともなんとも受け入れられない集団であるハズなのだが、そんなものに自民党の幹部が関係していること考えると、じつは金政府との裏のつながりすらあるのではないかという気もしてくるというものだ。かつて、あのコイズミスネオが北朝鮮首脳と会談したことは、一方では進展ともみられ、一方では単なるパフォーマンスとも揶揄されたものだが、あれははたしてそんなに単純なできごとだったのかということすら想像してしまった。じつは、もっとキナクサイ会談がなされた可能性はないのか?

 それはそれとして、このホテル、仮に完成したとしていったいぜんたいだれが利用するというのだろう? ほぼ鎖国状態にある国である。3000ともいわれる客室を埋めるほどの外国人が集められるとは到底思えないし、いわんやあの国のひとびとが宿泊できるとも考えられない(そもそも旅行すら制限されているのだ)。そんなものにカネと労力とをかけるのが金正日率いる北朝鮮という国家なのである。仮に、取り沙汰されているカネが予定どおり集められたとすれば4億5000万ドルに及ぶ。一方で、いままさに餓えて今日の生活ですら覚束ない国民がいるのだ。そんなカネがあれば、もっとほかにできることがあろうにというのが常識的な発想というものである。

 これらが事実なのかどうかは今後の報道を検証するしかないが、少なくともホテル工事の再開が事実であるとすれば、あの国への援助などその一切を断ち切るべきである。国民の困窮よりも見栄でしかないホテル建設を優先する独裁国家。核施設の破壊すら宣伝として利用する愚劣な国家。そんな国に対して“テロ支援国家指定解除”として事実上の支援をするアメリカ合州国と追随する日本政府と自民党。いや、むしろ率先してあの悪辣な政権を助けてきた歴史を持つのがわれらが自民党政権だ。ふざけるにもほどがあるというものである。しかし、援助という“投資”をするからには、なんらかの見返りがあるのだろう。それはなにか? そんなことも想像したくなるというものだ。

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