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猫池罵詈雑言雑記帳
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 北京オリンピックの開幕が近づいている。会場準備の動向や出場選手らの動きをはじめ、オリンピック関連の報道がみられない日はないほどで、テレビをみていると、ついさきごろまで「エコエコ」と騒ぎ立てていたのが、こんどは「五輪五輪」になったかのようでもある。
 以前にも記したことがあるが、個人的にはオリンピックだからといってあらたまって注目する趣味はなく、今回もいつもと同様、時間があえばサッカーや野球、マラソンなど興味のある競技の中継をテレビ観戦するていどの話であろう。しかし、世の中にはこうした催しをことさら注目するというのがスタンダードということなのか、大型の液晶テレビや録画関連の家電製品の“五輪特需”も伝えられており、これほどならばジャンルを問わずもっと盛んになるべき競技があるハズなんだけどなぁ……などと思ってみたりする。まぁ、なにとはいわないが、ひととき急激な注目を浴びてはその後はどこへやらという競技もあるわけで、そんな現象と結びつけて観察していると、大衆がよほど飽きっぽいのか、はたまたその主体性の問題なのか、それともこんな催しのひとつでもなければオフタイムを楽しめなくされてしまっているのか、しかし、少なくともオリンピック人気がそのままスポーツが楽しまれているということにはならないような感じはする。もちろん、個人的な興味はさておいても、それぞれの競技の出場選手たちの活躍は期待したいし、日本人選手が出ていれば、その記録を含めていい競技をしてほしいのは言うまでもないが。

 ところで、夏のオリンピックはなぜこんな盛夏に実施されるのだろう。今回の会場となる北京は、朝方こそ20度を切るていどに涼しいようだが、日中には東京並に35度近くにまで上がることも少なくない。気温だけみてもこんな環境が果たしてスポーツをするに相応しいのだろうか。たとえば、東京オリンピックは夏の大会とはいえ10月スタートだったハズだが、なにもこんな酷暑の時期にやらなくてもいいのではないかと思ってしまう。夏場のスポーツの代表といえば水泳全般が挙げられるだろうが、これだって一部を除けば室内競技である。設備さえ整えば厳冬期でも競技はできる。マラソンなどむしろ酷暑向きでない野外競技のことを考えれば、こんなクソ暑い時期にやる必然性がどこにあるのか、なんとも不思議でならないのである。

 そういえば、さまざまな面で物議が持ち上げられているという点で、今回の大会はわが国における注目度はことさら高いようにも感じる。これは、どの競技が本選出場資格を得たとか大会に関わらずにある話題ということではなく、むしろマイナス面での注目であり、場合によっては開催国をめぐる揚げ足とりであり、もっといえばいかにあの国の失策を膨らませるかというあたりにその関心が寄せられているような気さえしてくるものだ。
 会場設営の問題や大会を機に開通するという地下鉄建設の進捗具合、あるいは大気汚染の問題、外国人の受け入れ態勢はどうなっているかなどさまざまあり、ことに中国という国の実態が意外とみえづらい状況にあるなかで、あれこれ報道されたり論評されたりしてきた。オリンピック関連の催しである聖火リレーをめぐる動きでは、ちょうどチベットに対する弾圧などがクローズアップされたこととつながったこともあって、スポーツの祭典でありながら完全に政治問題に転嫁されてしまったような感がある。こうしたなかには、たしかにあの国が抱えているであろう問題が露見しているようにも思えるし、一方でお門違いなのではないかと思わせる方向に批判の鉾先が進んでいったものもあるが、さまざまな報道をみていると、その背後に過大とも感じられる思い入れあるいは主張が見え隠れしているであり、なんとなくではあるが気にかかるものが少なくない。

 近々の話題でみてみよう。

※イ:http://www.recordchina.co.jp/group/g21948.html
※ロ:http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/beijing_olympic_guard/?1217235000

 リンク記事は現在の北京における過剰警備の模様を伝えるものである。開会式を間近(といっても10日以上あるのだが)に控え、武装した警察官らが街を巡回、観光客をあてこんだ食堂も外国人の入国規制などのために閉店になったところも少なくないというもので、まさに戒厳令下にあるかのような北京の様子が伝えられている。
「イ」の「recordchina」では写真を用いつつ玄関ダネを含めて当地の現況を簡潔に伝えている。
 一方の「ロ」は「産経新聞」の配信である。中国批判という点ではもっとも先鋭的ともいえる同紙だが、このリンク記事もそのひとつである。内容については「recordchina」と同じことを伝えており、「〜という」あるいは「推測する」という言い回しながら、市民に対する取材をしているようだという点で記事の書き方を違えている。

 この北京の状況をみて思った。日本におけるそれのパロディーではないか、と。
 少なくとも警察官が武装しているという点で十分に異様な感じもしてくるが、「歴代開催地の慣例に従っているだけ」という安全保障部部長の発言は、それがそのままあてはまるかどうかは別として、中国流の解釈を施すとこうなるのではないかという気もする。たしかにこれがそのまま事実であるとすればやりすぎではないかと思うし、なかには「だから中国はおかしい」と思うムキもあるに違いないけれど、少し前に開催されたサミットのさいのわが国の警備ぶりをみれば、こうした中国の反応はあながち特殊ともいえないのではないだろうか。まぁ、わが国の場合は(表立って)自動小銃まで所持してはいなかったようではあるが、あのときの騒ぎも、外国からみれば中国のそれとそう大差はなかったのではないかという気もするのである。「産経」の記事は「〜という」というレベルの内容だけれど、“他山の石”とすべき状況であろうことはわかる。遠く北海道で開催されたサミットのさいの東京都内の警備をみた目には、さぁこれが石原おとっつぁんオリンピックがいざ開催された暁にどうなってしまうのか。

 悪いけれど、「産経」の記事からは、“反中国”的立場からの揚げ足とりで欣喜雀躍しているとしか思えない部分が多々ある。これはここで紹介した記事だけでなく、この方ず〜っと繰り返し配信されている記事にも露出していることだが、なかには興味を覚える内容もあるとはいえ、寒々しさすらしてくることが少なくない。ここで1点だけ取り上げたように、ちょっと見方を変えれば、中国でのできごとのいくつかは、わが国を写す鏡のようでもあるのだが。



*補足:
 ここで感じた疑問をもってして、「だから中国は正しい」などと主張するつもりはまったくないので念のためつけくわえておきます。あんな武装警官が街中を跋扈する状況などは、中国として本気で恥じ入る必要があります。またオリンピックとは直接の関係はないにせよ、四川大震災のフォロー態勢の不備や少数民族に対する弾圧、外国との貿易という正常な活動にあってその製品に対する不備や不透明さをぬぐえない現況など、あの国には課題があまりにも多いことも事実でしょう。しかし、そうはいいながらも、ではありのままの事実を伝える報道が、果たしてどれだけわが国に入ってきているのかという問題もあり(これはわが国のメディアだけではなく中国側の体制の問題もありますが)、ようはものごとをみるうえでの材料がじつに乏しいということを認識しておくことがまず必要なのではないかとも思うわけです。それゆえ、「産経」に代表されるようなある種のフィルターをかけたような“報道”に対しては一歩立ち止まらずをえないのです。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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