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猫池罵詈雑言雑記帳
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010102302000045.html

 アップが遅れてしまったが、リンクしたのは「東京新聞」10月23日朝刊の1面トップ記事である。

 記事はアメリカ合州国が要求する“みかじめ料”を維持する方針をわが国政府が示したことを伝えるもの。いちおうは削減を検討してきたらしいが、まんまとアメリカ合州国の術中にハマった感がある。本年度の喜捨は1881億円とされているが、世界一の大国・アメリカ合州国側はさらなる増額を求め恫喝を繰り広げているようだ。ヤクザ顔負けのタカリぶりだが、問題は「維持」へ向けた背景のひとつである。すなわち

 厳しい財政状況のため削減を検討してきたが、中国との漁船衝突事件をきっかけに、日米同盟強化のためには大幅減額は望ましくないとの判断に転じた。
──リンク記事

 である。

  一連のできごとについて、中華人民共和国に対し毅然として対処すべきだと考えているが、それはあくまで外交上の当然の権利としてである。あの国がたしかに強大な軍事力を保持しているにせよ、こんなところで第3国(アメリカ合州国)に軍事介入の口実を与えるべきではない。あくまで日中間の外交によって解決すべき問題である。また、これまで繰り返してきたように、中国側はアメリカの国土に接する軍事基地など持っておらず、米中関係だけでみれば、一方的にアメリカ側が相手の領土に接近して示威的行動を続けているのである。わが国に居座り続けている米軍の役割のひとつということだ。

 しかし、それはそれとしても、わが国と中国との対立によって、まさに漁夫の利を得たとはいえまいか? アメリカ合州国が。
 これはまぁ具体的根拠のないたとえ話ではあるけれど、推理小説でいう「もっとも利を得た者」である。これが推理小説ならば犯人としてもっとも疑わしいことになるが、肝心のわが国政権がコイズミスネオ時代に匹敵するアメリカべったり政権であることから、ハナっからアメリカが描いた筋書きに沿って動かされてきたという推理もあながちありえないことではないかもしれない。だとすれば、マエハラだのカンだのは、まんまと策略どおりに配役を演じたわけだ。件の船長逮捕から釈放、その渦中から現在にいたるマスコミ操作まで、ひとつひとつに対しアメリカ側の意志が働いている可能性だってある。もしそうだとすれば、まさにスネオ政権と並ぶ最悪の政権と位置づけることができよう。

 それにしても。一連の騒動にからむ中国側の対応や騒動にはクビをかしげることばかりだが、日本の報道、とりわけテレビニュースをみていると、そうした騒動が巧みに利用されているなぁという感想を持たざるをえない。これはNHK・民放を問わず同様で、なにかにつけ「中国の脅威」「中国の巨大な軍事力「近海における盛んな軍事行動」だのがクローズアップされ、直接的に関係の薄い話題にさえ、中国軍の軍艦などの映像が“援用”されているのが目につく。あるいは、アセアンへのインタビューを編集し、「アセアンもまた中国の脅威を懸念している」といった報道もみられるが、あれは本当に「脅威」ばかりをアセアンが強調したのだろうかという疑問も湧いた。たしかにさまざまな懸念はあるのだろうが、アセアン自身、あるいは地域の発展という視点でみたとき、必ずしも「脅威」ばかりが先行しているとはとても思えないからだ。「されど共存共栄を求む」といった肝心な部分が編集によって葬られた可能性だってないとは言い切れないだろう。
 そうした報道の洪水によって、わが国大衆のなかに「中国脅威論」が醸成され、「軍事力強化」だの「日米同盟強化」だのが正当化されてゆく。数日前には「武器輸出三原則」の緩和が示されたが、それもまたこうした世論操作によって実現したという一面があるに違いない(そうした世論操作の効果を確かめるツールが、頻発する世論調査であるのは言うまでもない)。まさに「中国サマサマ」という連中が権力の裏側を牛耳りつつ甘い汁を享受しているということであろう。

 繰り返すが、中国やアメリカを問わず、わが国は当然あるべき主権を堂々と主張し行使すべきである。それも軍事行動などではなく、基本的な外交を通じてだ。安易に軍事同盟(*注)などに頼るのは自らの外交的無能を認めることにほかならず、あえていえば滅びの道である。


*注:
 なかには、「親分が出てきてくれたぜ」よろしくアメリカの介入を歓迎する連中もいそうだが、アメリカにしても中国との関係をことさらに荒立てることが得策ではなく、そういうセンスにそって自国の利益のためだけに動くのは間違いない。少なくとも「日本のために」だのというおめでたいセンスがないことぐらいは認識すべきであろう。祖国の安寧を慮るのであれば……。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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