尖閣諸島をめぐる中華人民共和国との対立問題は、当事者側の海上保安庁職員が現場撮影の映像をネット上に投稿したことにより、新たな国内問題としても発展する事態となった。
当時の状況を知るうえで、投稿された動画はひとつの重要な手がかりになることには違いなく、情報が公開されるという点において違法を承知の投稿が必ずしも批判の材料になるとはいえないだろう。ケースに違いこそあれど、内部告発の類を否定することにもつながりかねないからだ。だが、それでもなお「ザラっとしたもの」が引っ掛かっている感もぬぐいきれず、流出行為そのものについての是非の判断をしかねている。
当時の状況を知るうえで、投稿された動画はひとつの重要な手がかりになることには違いなく、情報が公開されるという点において違法を承知の投稿が必ずしも批判の材料になるとはいえないだろう。ケースに違いこそあれど、内部告発の類を否定することにもつながりかねないからだ。だが、それでもなお「ザラっとしたもの」が引っ掛かっている感もぬぐいきれず、流出行為そのものについての是非の判断をしかねている。
いうまでもなく、今回の“流出事件”は現行法の範疇において立件されうる違法行為である可能性が高い。ネット上のヘッドラインなどによれば、投稿した職員に対し批判よりもむしろ激励の声が多数寄せられているらしいが、そこにある種の英雄主義的なおまつりムードを嗅ぎとってしまうのだ。目下、中国政府の横暴ともいえる態度(個人的には「新興帝国主義国家」的センスと呼びたいが)や中国民衆による「反日行動」が連日のように報じられ、日本国内でも中国や中国人に対する批判感情が噴出している。そういうなかで起きた違法を承知の投稿が英雄的に扱われるのはわからないではないが、それをもって中国側に対する批判を増長させるのは早計であり危険である。たとえば、写真家の藤原新也氏は問題の動画をみたうえで判断の難しさを示唆している(「Shinya talk」)が、同時に氏が指摘するように、この動画ひとつをとっても十全に機能しているとはいえないわが国の政治そのものの問題であり、仮に投稿そのものが評価できる行動だとすれば、それは中国に対してではなく自国政府の無能ともいえる外交に対してではないかと思うからだ。蛇足を承知でつけくわれば、たとえばわが国政府が起こした国民への裏切り行為についてであったり、アメリカ合州国がらみの情報流出であったとしたら、はたして告発ないし流出者がこうして祭り上げられることはあるのだろうかという疑念も湧く。これが「ザラっとしたもの」である。
しかし、その「ザラっとしたもの」も、つぎのような事実を目の当たりにするとそれ以上の意味を持つことになるのではないだろうか。
※『秘密保護法「早急に検討」 尖閣ビデオ流出口実 官房長官が表明』
詳しくはリンク記事をお読みいただきたい。ごく大雑把にまとめれば、国家による報道統制の法制化であり、それも“宗主国”に向けの御機嫌窺いである。
なかには、機密は当然とする考えもあろう。それはどこの国にもあるあたりまえのことであり、国家や組織が機密の類を持つことそのものを否定するつもりはない。だが、たとえ機密といえども、この(いちおうの)民主主義国家において国民の利益になりえない場合が多々あることは明らかであり、そうした事実を大衆に知らしめる役割をジャーナリズムが担ってきたのである。機密は機密としても、それを知る権利だって国民にはあるのだ(そういう権利がないというのならば、同時に中華人民共和国当局の姿勢を批判することは矛盾になりはしないか?)。ところが、その権利を法によってはく奪してしまえというのが石破氏らの狙いであり、かつそれがアメリカ合州国さまからのご要望に従いという傀儡ぶりを自らが明らかにしているわけである。くどいようだが、こんな法が施行されたが最後、言論の自由は重要な場面でこそ否定され、民主主義の崩壊につながる可能性だってある。権力側のみが好きなように情報を統制(中国のように?)、新聞だろうが雑誌だろうがブログだろうがツイッターだろうが、ことごとく当局からの監視対象になる。そういう仕組みを、いままさに流出事件を利用しながら構築しようしているわけだ(投稿そのものが当局によって仕組まれたトラップだった……などというのは推理小説の読みすぎか?)。政府や国会の動きを十全に監視してゆく必要がある。
ところで、今回の動画流出事件にあたり、石原のおっとっつぁんが諸手を挙げて歓迎しているようだ。しかし、同じような内部からの情報流出ないし告発の類が、ご自分の足元や熱心に支持する“日米同盟”を舞台に起きたらどうするのかな? 歓迎する以上は、もちろん「機密保護法」にも反対でしょうなぁ……。人間たるもの、一貫性が大切である(笑)。
しかし、その「ザラっとしたもの」も、つぎのような事実を目の当たりにするとそれ以上の意味を持つことになるのではないだろうか。
※『秘密保護法「早急に検討」 尖閣ビデオ流出口実 官房長官が表明』
詳しくはリンク記事をお読みいただきたい。ごく大雑把にまとめれば、国家による報道統制の法制化であり、それも“宗主国”に向けの御機嫌窺いである。
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なかには、機密は当然とする考えもあろう。それはどこの国にもあるあたりまえのことであり、国家や組織が機密の類を持つことそのものを否定するつもりはない。だが、たとえ機密といえども、この(いちおうの)民主主義国家において国民の利益になりえない場合が多々あることは明らかであり、そうした事実を大衆に知らしめる役割をジャーナリズムが担ってきたのである。機密は機密としても、それを知る権利だって国民にはあるのだ(そういう権利がないというのならば、同時に中華人民共和国当局の姿勢を批判することは矛盾になりはしないか?)。ところが、その権利を法によってはく奪してしまえというのが石破氏らの狙いであり、かつそれがアメリカ合州国さまからのご要望に従いという傀儡ぶりを自らが明らかにしているわけである。くどいようだが、こんな法が施行されたが最後、言論の自由は重要な場面でこそ否定され、民主主義の崩壊につながる可能性だってある。権力側のみが好きなように情報を統制(中国のように?)、新聞だろうが雑誌だろうがブログだろうがツイッターだろうが、ことごとく当局からの監視対象になる。そういう仕組みを、いままさに流出事件を利用しながら構築しようしているわけだ(投稿そのものが当局によって仕組まれたトラップだった……などというのは推理小説の読みすぎか?)。政府や国会の動きを十全に監視してゆく必要がある。
ところで、今回の動画流出事件にあたり、石原のおっとっつぁんが諸手を挙げて歓迎しているようだ。しかし、同じような内部からの情報流出ないし告発の類が、ご自分の足元や熱心に支持する“日米同盟”を舞台に起きたらどうするのかな? 歓迎する以上は、もちろん「機密保護法」にも反対でしょうなぁ……。人間たるもの、一貫性が大切である(笑)。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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