テレビニュースの類では、やれスネオの息子がタレント出身大臣とどうしたとか、末梢的ネタをショウ化しているのが目立つが、28日の朝刊にはわれわれの未来に関わる重大事が報じられていた。
※「太平洋自由貿易 農業と両立で国を開け」
リンクしたのは「東京新聞」10月28日の社説である。
※「太平洋自由貿易 農業と両立で国を開け」
リンクしたのは「東京新聞」10月28日の社説である。
社説では、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」への参加を積極的に推進すべしという視点で述べられている。これは、関税の撤廃を軸とする「自由貿易協定(FTA)」と並ぶ貿易協定であり、早急に導入しないと日本経済が打撃を受けると主張している。
TPPは、菅直人首相が参加への意志を明らかにしてきたものだが、目下のところ政府・与党内でも意見がわかれているという。これはひとつには関税の撤廃に伴い外国からの農産物が市場を席巻し、わが国の農業が打撃を受けることが明らかだからである。したがって、リンク記事の冒頭でも「安い農産物輸入で打撃を受ける農家を支え」との“ただし書き”が添えられることになるわけだが、この社説をやや乱暴にまとめれば、「農業を犠牲にして一部製造業(自動車・家電など)の輸出を優遇せよ」ということになってしまう。農業救済(?)の一例として韓国が9兆円の巨額予算を組むつもりであることを挙げているが、税金(ゲンナマ)のバラまきを超える方策をなんら示していないからだ。こんなカネのバラまきなど、一時的な対症療法にすぎず、気がついたときには自国の第一次産業の屋台骨がボロボロになろうことは明らかである。
社説は「低迷が続く日本経済は、自動車や家電などの購買力を高めた中間所得層が急速に増えているアジア諸国との貿易を拡大して富を増やさなければ、新たに成長する道はない」とし、「交渉が妥結している韓国と米国、欧州連合(EU)とのFTAが発効すると、自動車や電気製品などの関税が五〜十年以内に相互撤廃され、日本製品は歯が立たなくなる」と警告を発している。しかし、こんなものはわが国経済のほんの一面だけを保護するにすぎないのではないか?
たしかに、一部の日本大企業は世界的ブランドとして盛業を続けてきた。そこには政治的援護もあったには違いないにせよ、優秀な製品を生み出し、諸外国の企業と正当に市場を争ってきたという歴史もあろう。しかし、(少なくともここにきて)社説が述べるような「富」をどれだけ生み出しているのだろうかという疑問がわく。もちろんそうした企業が下請けを含む関連産業を支え、雇用を生み出すなどの貢献をしていることは否定しない。だが、その貢献も正体をバラしてみれば企業側のみが有利な非正規雇用(使い捨て)のスタンダード化であり、社会に環流されることのない巨大な内部留保という「富」の抱え込みである。カネはバクチのタネ銭として流浪し、働いている者よりももっぱらバクチ打ちにないし“富裕的不働者”ら「富」のおこぼれが流れてゆくという構造。これもまた一面にはすぎないにせよ、こんな構造にあって関税撤廃などという優遇を施したところで、それで得られる「富」の正体が知れるというものであろう。社説の根幹にある国際競争力低下への懸念というのであれば、むしろこちらにこそ場当たり的な対症療法を必要に応じて講じればいいだけの話。個人経営が大半の農業と異なり、大企業には多少のことを持ちこたえるだけの体力も方策もあるからだ。
では、この社説でさえ前提としなければならない農業への打撃とはいかほどのものか? 同じ日の「しんぶん赤旗」がこんな記事を配信している。
※「国産米わずか1割に」
これは、日本共産党が独自に調査や試算をしたのではなく、見出しにあるとおり政府(農林水産省)が明らかにしたものである。
あくまでひとつの試算にすぎないとはいえ、恐るべきデータだとはいえる。数百万人規模の雇用の減少。実質GDPの大幅低下。これのどこがわが国経済のためになるというのか!?
さらに恐ろしいのは、人間が生きてゆくための根幹である食料・食糧の首根っこが外国ないし巨大資本によって押さえられかねないということである。現在でさえ、アメリカ合州国や中華人民共和国をはじめとしてさまざまな食料ないし製品が輸入されているが、それがほぼ野放しになる。大量生産などを背景に割安に生産され、その輸入が関税の撤廃とともに自由になれば、一般には現在より割安な食料・食糧が消費者の手に渡るという筋書きになるわけだが、その引き換えに起きるのがさきのGDP低下であり、安い輸入品によるわが国第一次産業の崩壊である(安全性の問題もある)。そうなれば、文字どおりわれわれ日本国民の生殺与奪の運命は第一次産業物品の輸出側にゆだねられるわけで、それを弱味にされて国際的発言力に影響が及ぶ可能性だってある。昨今の中国とのいざこざでは、一部工業製品に必須なレアアースの輸出が抑えられその影響が懸念された。しかし極論すれば、レアアースなどなくなっても今日の暮らしにとって直接的な死活問題とはなりえない(一部産業従事者などには雇用などへの影響が考えられるにせよ)が、これが米や麦といった「食糧」に関わってくるとなると話はまったく別だということを認識すべきであろう。そんな生命に関わる重大事なのである。
では、そうなって利を得るのは何者か?
つまりは、生きることの根幹をアメリカ合州国に売り渡そうというワケである。こうなると、件の社説が主張し政府らが優遇を目論む一部輸出産業もまた、アメリカに綱を結ばれるということになる。なんらかの貿易摩擦(アメリカの貿易赤字など)に伴い、わが国に対する食料・食料輸出を抑制してくる可能性があるからだ。そうなったときに、はたして正常な貿易ができるとでもいうのだろうか。こんなものを交渉の武器にされたのではたまったものではないが、見た目の自由さとは裏腹に、優遇される業界もまた足枷をハメられるという解釈だってできるわけである。
コトは人間にとってもっとも大切な糧であり経済の根幹についてである。このままではとんだ「売国」への道ではないのか?
どうやら、以前述べたとおり、菅政権はコイズミスネオ政権と並ぶ最悪の政権となりつつあるようだ。
TPPは、菅直人首相が参加への意志を明らかにしてきたものだが、目下のところ政府・与党内でも意見がわかれているという。これはひとつには関税の撤廃に伴い外国からの農産物が市場を席巻し、わが国の農業が打撃を受けることが明らかだからである。したがって、リンク記事の冒頭でも「安い農産物輸入で打撃を受ける農家を支え」との“ただし書き”が添えられることになるわけだが、この社説をやや乱暴にまとめれば、「農業を犠牲にして一部製造業(自動車・家電など)の輸出を優遇せよ」ということになってしまう。農業救済(?)の一例として韓国が9兆円の巨額予算を組むつもりであることを挙げているが、税金(ゲンナマ)のバラまきを超える方策をなんら示していないからだ。こんなカネのバラまきなど、一時的な対症療法にすぎず、気がついたときには自国の第一次産業の屋台骨がボロボロになろうことは明らかである。
社説は「低迷が続く日本経済は、自動車や家電などの購買力を高めた中間所得層が急速に増えているアジア諸国との貿易を拡大して富を増やさなければ、新たに成長する道はない」とし、「交渉が妥結している韓国と米国、欧州連合(EU)とのFTAが発効すると、自動車や電気製品などの関税が五〜十年以内に相互撤廃され、日本製品は歯が立たなくなる」と警告を発している。しかし、こんなものはわが国経済のほんの一面だけを保護するにすぎないのではないか?
たしかに、一部の日本大企業は世界的ブランドとして盛業を続けてきた。そこには政治的援護もあったには違いないにせよ、優秀な製品を生み出し、諸外国の企業と正当に市場を争ってきたという歴史もあろう。しかし、(少なくともここにきて)社説が述べるような「富」をどれだけ生み出しているのだろうかという疑問がわく。もちろんそうした企業が下請けを含む関連産業を支え、雇用を生み出すなどの貢献をしていることは否定しない。だが、その貢献も正体をバラしてみれば企業側のみが有利な非正規雇用(使い捨て)のスタンダード化であり、社会に環流されることのない巨大な内部留保という「富」の抱え込みである。カネはバクチのタネ銭として流浪し、働いている者よりももっぱらバクチ打ちにないし“富裕的不働者”ら「富」のおこぼれが流れてゆくという構造。これもまた一面にはすぎないにせよ、こんな構造にあって関税撤廃などという優遇を施したところで、それで得られる「富」の正体が知れるというものであろう。社説の根幹にある国際競争力低下への懸念というのであれば、むしろこちらにこそ場当たり的な対症療法を必要に応じて講じればいいだけの話。個人経営が大半の農業と異なり、大企業には多少のことを持ちこたえるだけの体力も方策もあるからだ。
では、この社説でさえ前提としなければならない農業への打撃とはいかほどのものか? 同じ日の「しんぶん赤旗」がこんな記事を配信している。
※「国産米わずか1割に」
これは、日本共産党が独自に調査や試算をしたのではなく、見出しにあるとおり政府(農林水産省)が明らかにしたものである。
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あくまでひとつの試算にすぎないとはいえ、恐るべきデータだとはいえる。数百万人規模の雇用の減少。実質GDPの大幅低下。これのどこがわが国経済のためになるというのか!?
さらに恐ろしいのは、人間が生きてゆくための根幹である食料・食糧の首根っこが外国ないし巨大資本によって押さえられかねないということである。現在でさえ、アメリカ合州国や中華人民共和国をはじめとしてさまざまな食料ないし製品が輸入されているが、それがほぼ野放しになる。大量生産などを背景に割安に生産され、その輸入が関税の撤廃とともに自由になれば、一般には現在より割安な食料・食糧が消費者の手に渡るという筋書きになるわけだが、その引き換えに起きるのがさきのGDP低下であり、安い輸入品によるわが国第一次産業の崩壊である(安全性の問題もある)。そうなれば、文字どおりわれわれ日本国民の生殺与奪の運命は第一次産業物品の輸出側にゆだねられるわけで、それを弱味にされて国際的発言力に影響が及ぶ可能性だってある。昨今の中国とのいざこざでは、一部工業製品に必須なレアアースの輸出が抑えられその影響が懸念された。しかし極論すれば、レアアースなどなくなっても今日の暮らしにとって直接的な死活問題とはなりえない(一部産業従事者などには雇用などへの影響が考えられるにせよ)が、これが米や麦といった「食糧」に関わってくるとなると話はまったく別だということを認識すべきであろう。そんな生命に関わる重大事なのである。
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つまりは、生きることの根幹をアメリカ合州国に売り渡そうというワケである。こうなると、件の社説が主張し政府らが優遇を目論む一部輸出産業もまた、アメリカに綱を結ばれるということになる。なんらかの貿易摩擦(アメリカの貿易赤字など)に伴い、わが国に対する食料・食料輸出を抑制してくる可能性があるからだ。そうなったときに、はたして正常な貿易ができるとでもいうのだろうか。こんなものを交渉の武器にされたのではたまったものではないが、見た目の自由さとは裏腹に、優遇される業界もまた足枷をハメられるという解釈だってできるわけである。
コトは人間にとってもっとも大切な糧であり経済の根幹についてである。このままではとんだ「売国」への道ではないのか?
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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