今日から本年6度目の韓国取材。前回と同様に今回も1週間の日程で細切れである。いっそのことまとめて滞在してしまうほうが飛行機代も浮いて効率よく取材できるとは思うのだが、入国してからの移動が多い行程のため、あまり長くするとやはりしんどい感じもする。いまのところ輪郭をざっとなぞるだけの旅なので、いずれはじっくりと腰を据えて深入りしてみたいところではあるが。
本題に入る前に、記事をひとつ紹介しておきたい。
※「読売販売員が勧誘で暴行、脚部めった蹴りも逮捕なし 新聞と警察、癒着の実態」
これが伝えられているとおりだとすればまさに由々しき事件である。新聞拡張の団など例外はあろうが事実上のヤクザかそれ以下の存在であるにすぎず(購読勧誘そのものは立派な仕事だが、団というのはその実態から「クズだ」ぐらいに思っている)、彼らが暴行事件の類を起こしたと知ってもさほどの驚きはなかったが、問題は暴行と脅迫の現行犯が逮捕すらされずに不起訴処分になったというところにある。あくまでこの記事を読んだだけの所感なので深入りは控えるけれど、まず連想されるのはおもに共産党関係がねらい撃ちされてるかのごときビラ配り者に対する逮捕・拘留・起訴事件である。方や政治活動という公に認められた行為に対する警察権力の発動であり、方や新聞勧誘という私的な行為のなかで起きた暴行障害事件であり、さらにいえば脅迫の疑いもあり、不法侵入が加わる可能性もある(ビラ配布が立件されたのはまさに不法侵入だったが、背景や実態が大きく異なるのはいうまでもない。はたして不法なのはどちらか?)。
はたして新聞社と警察との間に癒着があるのかどうかまではわからないにせよ、わが郷土の千葉県警のインチキぶりを知らしめる恰好の材料ではあろう。さしあたりは“前例”として覚えておこうと思う。
さて、ちょっと古い報道がネタモトだが、福岡県にある櫛田神社(福岡市博多区上川端町)で、11月からハングル表記(韓国語ということか? ここでは以下「韓国語版」とする)のおみくじが登場するという。
10月18日づけの「東京新聞」コラム記事によれば、同神社には英語版もあって、韓国語版は外国語シリーズの第2弾、今後は中国語版も検討されているらしい。導入の背景には福岡市を訪問する韓国人が急増していることがあり、ようは観光資源のひとつとして売り出したい意向なのであろう。企画そのものは福岡市が提案、神社に相談を持ちかけて実現したものだという。
「古来、博多はアジアの玄関口だった。このおみくじを通して、現在のアジア交流が深まってほしい」(同記事)という神社側の説明を読むまでもなく、この地方と韓国との交流は盛んと聞く。地元で暮らしていると馴れてしまっているかもしれないけれど、たとえば東京あたりから福岡市の繁華街などを歩くと、韓国語による案内の多さにそれを実感させられるものだ。しかし、はたして希望どおりに受け入れられるのかということになると、かなりの疑問がある。
そもそもが、韓国人や中国人らにとって、日本の神社というのがどのように捉えられているのかということがある。多くの日本人にとっては、神社にそびえる鳥居をみたところでとりたてて特別な感情にとらわれることはないとは思うが(もちろん例外はある)、韓国や北朝鮮、中国にとってのそれは、まさに日帝による侵略の象徴ではないのか? 侵略とともに各地に神社を建て、ときに巨大な神宮をつくり、日本人だけの信仰にするのならまだしも、韓国人や中国人らに対して信仰や礼拝を強制してきたという事実。彼らの土地や信仰を強奪して内心の自由にまで介入したのだ。そこにあるのは、「アジア交流」どころか、まさに一方的な蹂躙であった。そのなかで重要な役割を神道が果たしてきたことは否定できないであろう(*注)。
たとえば韓国では日本降伏後にこぞって神社が打ち壊された。当然である。逆の立場だったら、オレだって怒りを込めて鳥居に斧をぶち込んでいるに違いない。
今回の舞台である櫛田神社はもちろん日本の生っ粋の神社であり、信仰の場である。したがって信仰したいひとが信仰し、あるいは単なる観光地として訪れるのは自由というものだが、たとえ良心によっているとしても、蹂躙された側に向けて、しかも観光グッズとしておみくじをつくるという発想に、無神経さを覚えずにいられないのである(なかにはこんなことだって「日本人のお前に言われたくないよ」というムキだってあろう)。
韓国人にもさまざまな考え方や立場がある。なかにはこうした“好意”を好意として受取ったり、あるいはとりたててなんの感情を催さないままにおみじくを手にするひともいるかもしれない。だが、たとえ物見遊山の観光だとしても、そんな素直に鳥居を潜る気になるひとがどれだけいるのかについては、やはり疑問がわく。現状の神社への訪問数はどれぐらいなのだろうか? 記事には「同市を訪れる韓国人が急増」とはあるものの神社のそれについては触れられていないが。
スタート後の動向にぜひ注目してみたい。
*注:
終戦前のあれは「国家神道」であり、いまとは違うという見方もあろうが、現に侵略を受けた側にとっては神社は神社。鳥居は鳥居である。他民族の宗教として信仰を強制された例は、外国に対してだけでなく、(現在の)日本国内にもあった。「日本は単一民族国家」だのと抜かす阿呆にはとうてい理解しえない近代史なのであろうけれども。
*おまけ:
三浦和義氏という邦人がアメリカ合州国によって共謀罪のいいがかりをつけられ逮捕・拘留されていたが、拘留中のロサンゼルスで無念の客死を遂げたのが、大きく話題になっている。三浦氏に関連するとされる事件に関してはここでは触れないし、数ある殺人事件のうちのひとつとしか認識していないが、通常なら社会面をかすめていつの間にか消え去されてしまうような事件がここまで尾をひいているのは、いうまでもなくマスメディアが商材として利用しているからである。三浦劇場の主役として。
三浦氏については、ある講演のゲストということでいちどだけ姿をみたことがある。事件に対する関与についてはわからない。なんらかで関わっていたのかもしれず、完全な冤罪だったかもしれない。だが、マスコミによる異常とも思える“報道”合戦の主役に仕立て上げられた犠牲者であり、今回の逮捕についてもまた彼が被害者であったとは思っている。それはいまもなお続いている。
ここからはなんら根拠のない想像の話を含む。
マスコミの熱狂ぶりをみていてふと思ったのは、あるいはこの客死というのが、つくられた事実ではないかということだ。世の中には常に、権力側にとって伝えられたくない事件や情報というのがあるものだが、現在はとりわけさまざまな場面でそれが顕著になっている。世界的規模では経済不況の問題があり、アメリカ合州国の戦争があり、国内で間近に迫っているらしい総選挙もまた、ある層にとっては情報のコントロールをしたいところであろう。そのために客死が日米で合作された……などという想像はサスペンスの読みすぎというものだけれども、それが自死であったにせよ、あるいは一部で疑われている他殺であったにせよ、昨今のバカ騒ぎに対して、三浦氏は相当に無念であろうことはいえるのではないだろうか。
※「読売販売員が勧誘で暴行、脚部めった蹴りも逮捕なし 新聞と警察、癒着の実態」
これが伝えられているとおりだとすればまさに由々しき事件である。新聞拡張の団など例外はあろうが事実上のヤクザかそれ以下の存在であるにすぎず(購読勧誘そのものは立派な仕事だが、団というのはその実態から「クズだ」ぐらいに思っている)、彼らが暴行事件の類を起こしたと知ってもさほどの驚きはなかったが、問題は暴行と脅迫の現行犯が逮捕すらされずに不起訴処分になったというところにある。あくまでこの記事を読んだだけの所感なので深入りは控えるけれど、まず連想されるのはおもに共産党関係がねらい撃ちされてるかのごときビラ配り者に対する逮捕・拘留・起訴事件である。方や政治活動という公に認められた行為に対する警察権力の発動であり、方や新聞勧誘という私的な行為のなかで起きた暴行障害事件であり、さらにいえば脅迫の疑いもあり、不法侵入が加わる可能性もある(ビラ配布が立件されたのはまさに不法侵入だったが、背景や実態が大きく異なるのはいうまでもない。はたして不法なのはどちらか?)。
はたして新聞社と警察との間に癒着があるのかどうかまではわからないにせよ、わが郷土の千葉県警のインチキぶりを知らしめる恰好の材料ではあろう。さしあたりは“前例”として覚えておこうと思う。
さて、ちょっと古い報道がネタモトだが、福岡県にある櫛田神社(福岡市博多区上川端町)で、11月からハングル表記(韓国語ということか? ここでは以下「韓国語版」とする)のおみくじが登場するという。
10月18日づけの「東京新聞」コラム記事によれば、同神社には英語版もあって、韓国語版は外国語シリーズの第2弾、今後は中国語版も検討されているらしい。導入の背景には福岡市を訪問する韓国人が急増していることがあり、ようは観光資源のひとつとして売り出したい意向なのであろう。企画そのものは福岡市が提案、神社に相談を持ちかけて実現したものだという。
「古来、博多はアジアの玄関口だった。このおみくじを通して、現在のアジア交流が深まってほしい」(同記事)という神社側の説明を読むまでもなく、この地方と韓国との交流は盛んと聞く。地元で暮らしていると馴れてしまっているかもしれないけれど、たとえば東京あたりから福岡市の繁華街などを歩くと、韓国語による案内の多さにそれを実感させられるものだ。しかし、はたして希望どおりに受け入れられるのかということになると、かなりの疑問がある。
そもそもが、韓国人や中国人らにとって、日本の神社というのがどのように捉えられているのかということがある。多くの日本人にとっては、神社にそびえる鳥居をみたところでとりたてて特別な感情にとらわれることはないとは思うが(もちろん例外はある)、韓国や北朝鮮、中国にとってのそれは、まさに日帝による侵略の象徴ではないのか? 侵略とともに各地に神社を建て、ときに巨大な神宮をつくり、日本人だけの信仰にするのならまだしも、韓国人や中国人らに対して信仰や礼拝を強制してきたという事実。彼らの土地や信仰を強奪して内心の自由にまで介入したのだ。そこにあるのは、「アジア交流」どころか、まさに一方的な蹂躙であった。そのなかで重要な役割を神道が果たしてきたことは否定できないであろう(*注)。
たとえば韓国では日本降伏後にこぞって神社が打ち壊された。当然である。逆の立場だったら、オレだって怒りを込めて鳥居に斧をぶち込んでいるに違いない。
今回の舞台である櫛田神社はもちろん日本の生っ粋の神社であり、信仰の場である。したがって信仰したいひとが信仰し、あるいは単なる観光地として訪れるのは自由というものだが、たとえ良心によっているとしても、蹂躙された側に向けて、しかも観光グッズとしておみくじをつくるという発想に、無神経さを覚えずにいられないのである(なかにはこんなことだって「日本人のお前に言われたくないよ」というムキだってあろう)。
韓国人にもさまざまな考え方や立場がある。なかにはこうした“好意”を好意として受取ったり、あるいはとりたててなんの感情を催さないままにおみじくを手にするひともいるかもしれない。だが、たとえ物見遊山の観光だとしても、そんな素直に鳥居を潜る気になるひとがどれだけいるのかについては、やはり疑問がわく。現状の神社への訪問数はどれぐらいなのだろうか? 記事には「同市を訪れる韓国人が急増」とはあるものの神社のそれについては触れられていないが。
スタート後の動向にぜひ注目してみたい。
*注:
終戦前のあれは「国家神道」であり、いまとは違うという見方もあろうが、現に侵略を受けた側にとっては神社は神社。鳥居は鳥居である。他民族の宗教として信仰を強制された例は、外国に対してだけでなく、(現在の)日本国内にもあった。「日本は単一民族国家」だのと抜かす阿呆にはとうてい理解しえない近代史なのであろうけれども。
*おまけ:
三浦和義氏という邦人がアメリカ合州国によって共謀罪のいいがかりをつけられ逮捕・拘留されていたが、拘留中のロサンゼルスで無念の客死を遂げたのが、大きく話題になっている。三浦氏に関連するとされる事件に関してはここでは触れないし、数ある殺人事件のうちのひとつとしか認識していないが、通常なら社会面をかすめていつの間にか消え去されてしまうような事件がここまで尾をひいているのは、いうまでもなくマスメディアが商材として利用しているからである。三浦劇場の主役として。
三浦氏については、ある講演のゲストということでいちどだけ姿をみたことがある。事件に対する関与についてはわからない。なんらかで関わっていたのかもしれず、完全な冤罪だったかもしれない。だが、マスコミによる異常とも思える“報道”合戦の主役に仕立て上げられた犠牲者であり、今回の逮捕についてもまた彼が被害者であったとは思っている。それはいまもなお続いている。
ここからはなんら根拠のない想像の話を含む。
マスコミの熱狂ぶりをみていてふと思ったのは、あるいはこの客死というのが、つくられた事実ではないかということだ。世の中には常に、権力側にとって伝えられたくない事件や情報というのがあるものだが、現在はとりわけさまざまな場面でそれが顕著になっている。世界的規模では経済不況の問題があり、アメリカ合州国の戦争があり、国内で間近に迫っているらしい総選挙もまた、ある層にとっては情報のコントロールをしたいところであろう。そのために客死が日米で合作された……などという想像はサスペンスの読みすぎというものだけれども、それが自死であったにせよ、あるいは一部で疑われている他殺であったにせよ、昨今のバカ騒ぎに対して、三浦氏は相当に無念であろうことはいえるのではないだろうか。
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レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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