それにしても。どこの世界にもおかしなのはいるものだし、ひとや社会に危害を加えない限りなにをどう考えようと自由というものだが、度を超しておかしなのが国の中枢で指揮を執っているとなれば話は別だ。
自衛隊幹部と隊内誌とが揃って「我が国が侵略国家だったというのは濡衣」と“表明”した事件は、執筆者である田母神俊雄航空自衛隊空幕長を更迭されるなど問題化しているが、こういう思想の持ち主が自衛隊幹部にいるという事実にはさして驚きはないにせよ、この国の後進性を物語るできごととして非常に恥ずかしい思いをさせられる。言い換えれば、こんなのがいるからこそこの国の未来が心配なのである。
自衛隊幹部と隊内誌とが揃って「我が国が侵略国家だったというのは濡衣」と“表明”した事件は、執筆者である田母神俊雄航空自衛隊空幕長を更迭されるなど問題化しているが、こういう思想の持ち主が自衛隊幹部にいるという事実にはさして驚きはないにせよ、この国の後進性を物語るできごととして非常に恥ずかしい思いをさせられる。言い換えれば、こんなのがいるからこそこの国の未来が心配なのである。
事実を否定する。過去の過ちを美化する。これはすなわち歴史からの逃避というものであろう。都合の悪い、あるいは悪くみえる事実を無理矢理にわい曲し、好きなように仕立て上げる。わい曲で言い過ぎならば、100ある“都合の悪い”事実に対して、ひとつかふたつの“そうでない”事実に依拠し、「だからわれわれは正しかったのだ」と詭弁を弄する。こんなのは一部反動右翼側言論の常套手段ではあるけれど、いつも思わされるのは、こうして躍起になって過去の失敗の事実そのものを消し去ったりわい曲することのどこが「日本人としての誇りを持とう」(同氏の別論文タイトル)ということにつながるのかということである。過去の過ちがそんなに恥ずかしいのか? その“恥”をなかったことにすることのどこが誇りにつながるのか? さっぱり理解できない。日本人の美徳(そんな曖昧なモノなどないと考えているが、ここではたとえとして)とはそんなチンケなシロモノだったのか。
この御仁、論文「日本人としての誇りを持とう」のなかで「コミンテルン(共産主義インタナショナル)に動かされているアメリカ」によって「日本は日米戦争に追い込まれていく」とぶったらしいのだが、こんなのはもはや度を超した妄想の領域というものであろう。割腹自殺に及んだ小説家の二の舞いにならないことを祈る。しかし、妄想だろうとなんだろうと、現に侵略を受けた側や健全な自国の発展を願う側にとっては危険きわまりない思想であり暴論であることには違いはない。そして、こういう人物を責任ある立場にあることを承認したことの恐ろしさの意味を、さっぱり理解できていないらしいコンクリート屋の惚けぶりにも呆れ返らざるをえないのだ。
こんな政府を持つ国が祖国であるという事実が、たいへん恥ずかしい。
■バカにされる側の自覚
いまひとつ。まずはどうしてこんなにバカなんだろうと感心してみるほかはないだろう。自創政権が“経済対策”として打ち出したひとつの施策についてである。
なんでも、「定額給付金」とやらを国民に還付(財源はすでに支払った税金なのだから、給付ではなく還付が正しい)、4人家族の場合およそ6万円がその額として計算されているらしい。総額2兆円規模の税金還付だが、バッカだなぁと感心させられるのは、これがまずはコンクリート屋いわくの「3年後」の消費税大増税とセットになっていることである。
すでに、せっかく導入されていた定率減税が廃止されたり、年金課税などが強化された結果、それ以前と比較してひとりあたりおよそ10万円の負担増となっているのである。わずかな還付金であってもこのさいほしいというのが正直なところかもしれないが、こんなハシタ金による誤魔化しのカラクリなど小学生の算数で十分に理解できる。そして、この増税と対になっているのが“いざなぎ超え”とやらで空前の利益を上げてきた大企業(および証券取引という博打市場)に対する減税だということも忘れてはならない。こうして庶民からカネをとりたてておいて、わずかな見せ金をチラつかせるのは、いうまでもなく総選挙対策もあるのであろうが、それよりもなにも消費税大増税の隠れみのにしている点にこそ注目する必要がある。むしろ、すべての狙いはここだといっていいだろう。その流れのなかで、「消費税増税やむなし」という一部からの論が、たとえばテレビニュースの類などでどれだけタレ流されているかをみてほしい。
ちなみに、消費税率が10パーセントになった場合、平均的4人家族では年16万円ていどの増税になるらしい。バカにするのもほどがある(さらに消費は冷え込むだろうから、真面目な企業にとっても危険である)。
写真家の藤原新也氏は、一連の政策について「まるで小学生が考えるような場当たり的政策、いや政策というより”思いつき”」と断じている(「魚の釣り方さえ知らないのだから教えようがないのかも知れない、釣り名人の化けの皮。」)が、まさに同じ感想である。
類似の還付には、ときの小渕政権が創価学会におもねって実施した「地域振興券」とやらがあったが、たったいちどきりのこの施策について、その実効すらきちんと評価されないまま、いままた思いつきの愚策に打ってでようとしている祖国の政府。こんな腐敗物が弄するカネなど、前回と同様に受取り拒否するに限るけれど、心配なのはよもやこんなアホらしい施策に騙されちゃうひとがどれだけいるだろうかという点である。
考えてみてほしい。これほど国民をバカにした施策などあるか? すでにたんまりをカネを搾り取っておいて、そこからなにかのエサのようにわずかなカネを恵む。しかもその施しときたらさらなる増税とセットなのだ。この還付に踊らされることは、すなわち先の増税を信任することにつながりかねないのである。これは某国からの一部食品どころでない猛毒入り饅頭といっていい。そんなモノを、あのニヤけた金持ちコンクリート屋を筆頭とする連中がわれわれ庶民に食わせようとしているのだ。「3年後」と首相自らが宣言した消費税増税は、このままならば必ず実現する。いまはそれを阻止できるかどうかの分かれ目なのである。バカにされたまま進むのか、それとも……?
藤原氏は「この100年に一度(麻生の言)の経済危機のなさか、どうやら100年に一度の無能内閣が誕生したようである。」と現政権を評した。これもまた同感だが、いま信が問われつつあるのが、この「100年に一度の無能内閣」なのだということを含めて、ここまで堕ちた日本という国の未来のためにどうすべきなのかということを自覚してゆきたいものである。
*追記:
「産経新聞」の配信によれば、この“思いつき”こそが“政局の焦点”なのだそうな( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081102-00000563-san-pol)。
この愚策に基づく還付ありを前提にしたかのようなこの記事。問題の矮小化と争点のスリカエといういい見本であろう。 政権に忠義を尽くしたい気持ちはわからんでもないが、オツムのていどを疑いたくもなってくるというものだ。しかも、民意の反映を「ねじれ国会おなじみの「60日ルール」が立ちふさがり」とすることの愚かしさ。この新聞社の正体を非常によく顕わしているといえよう。ゆめゆめ騙されてはならない。
この御仁、論文「日本人としての誇りを持とう」のなかで「コミンテルン(共産主義インタナショナル)に動かされているアメリカ」によって「日本は日米戦争に追い込まれていく」とぶったらしいのだが、こんなのはもはや度を超した妄想の領域というものであろう。割腹自殺に及んだ小説家の二の舞いにならないことを祈る。しかし、妄想だろうとなんだろうと、現に侵略を受けた側や健全な自国の発展を願う側にとっては危険きわまりない思想であり暴論であることには違いはない。そして、こういう人物を責任ある立場にあることを承認したことの恐ろしさの意味を、さっぱり理解できていないらしいコンクリート屋の惚けぶりにも呆れ返らざるをえないのだ。
こんな政府を持つ国が祖国であるという事実が、たいへん恥ずかしい。
■バカにされる側の自覚
いまひとつ。まずはどうしてこんなにバカなんだろうと感心してみるほかはないだろう。自創政権が“経済対策”として打ち出したひとつの施策についてである。
なんでも、「定額給付金」とやらを国民に還付(財源はすでに支払った税金なのだから、給付ではなく還付が正しい)、4人家族の場合およそ6万円がその額として計算されているらしい。総額2兆円規模の税金還付だが、バッカだなぁと感心させられるのは、これがまずはコンクリート屋いわくの「3年後」の消費税大増税とセットになっていることである。
すでに、せっかく導入されていた定率減税が廃止されたり、年金課税などが強化された結果、それ以前と比較してひとりあたりおよそ10万円の負担増となっているのである。わずかな還付金であってもこのさいほしいというのが正直なところかもしれないが、こんなハシタ金による誤魔化しのカラクリなど小学生の算数で十分に理解できる。そして、この増税と対になっているのが“いざなぎ超え”とやらで空前の利益を上げてきた大企業(および証券取引という博打市場)に対する減税だということも忘れてはならない。こうして庶民からカネをとりたてておいて、わずかな見せ金をチラつかせるのは、いうまでもなく総選挙対策もあるのであろうが、それよりもなにも消費税大増税の隠れみのにしている点にこそ注目する必要がある。むしろ、すべての狙いはここだといっていいだろう。その流れのなかで、「消費税増税やむなし」という一部からの論が、たとえばテレビニュースの類などでどれだけタレ流されているかをみてほしい。
ちなみに、消費税率が10パーセントになった場合、平均的4人家族では年16万円ていどの増税になるらしい。バカにするのもほどがある(さらに消費は冷え込むだろうから、真面目な企業にとっても危険である)。
写真家の藤原新也氏は、一連の政策について「まるで小学生が考えるような場当たり的政策、いや政策というより”思いつき”」と断じている(「魚の釣り方さえ知らないのだから教えようがないのかも知れない、釣り名人の化けの皮。」)が、まさに同じ感想である。
類似の還付には、ときの小渕政権が創価学会におもねって実施した「地域振興券」とやらがあったが、たったいちどきりのこの施策について、その実効すらきちんと評価されないまま、いままた思いつきの愚策に打ってでようとしている祖国の政府。こんな腐敗物が弄するカネなど、前回と同様に受取り拒否するに限るけれど、心配なのはよもやこんなアホらしい施策に騙されちゃうひとがどれだけいるだろうかという点である。
考えてみてほしい。これほど国民をバカにした施策などあるか? すでにたんまりをカネを搾り取っておいて、そこからなにかのエサのようにわずかなカネを恵む。しかもその施しときたらさらなる増税とセットなのだ。この還付に踊らされることは、すなわち先の増税を信任することにつながりかねないのである。これは某国からの一部食品どころでない猛毒入り饅頭といっていい。そんなモノを、あのニヤけた金持ちコンクリート屋を筆頭とする連中がわれわれ庶民に食わせようとしているのだ。「3年後」と首相自らが宣言した消費税増税は、このままならば必ず実現する。いまはそれを阻止できるかどうかの分かれ目なのである。バカにされたまま進むのか、それとも……?
藤原氏は「この100年に一度(麻生の言)の経済危機のなさか、どうやら100年に一度の無能内閣が誕生したようである。」と現政権を評した。これもまた同感だが、いま信が問われつつあるのが、この「100年に一度の無能内閣」なのだということを含めて、ここまで堕ちた日本という国の未来のためにどうすべきなのかということを自覚してゆきたいものである。
*追記:
「産経新聞」の配信によれば、この“思いつき”こそが“政局の焦点”なのだそうな( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081102-00000563-san-pol)。
この愚策に基づく還付ありを前提にしたかのようなこの記事。問題の矮小化と争点のスリカエといういい見本であろう。 政権に忠義を尽くしたい気持ちはわからんでもないが、オツムのていどを疑いたくもなってくるというものだ。しかも、民意の反映を「ねじれ国会おなじみの「60日ルール」が立ちふさがり」とすることの愚かしさ。この新聞社の正体を非常によく顕わしているといえよう。ゆめゆめ騙されてはならない。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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