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猫池罵詈雑言雑記帳
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 今日から今年最後の韓国散歩である。今回は友人との飲み話まかせの成りゆき旅行で あり、取材というよりは単なる物見遊山ではあるけれど、キャンバスの余白がまだまだ 広がっているので、そんな散策でも得られるものは多いハズ。なんにしても楽しみであ る。
 一連の韓国散歩、姉妹ブログ上では「大韓ケンチャナヨ散歩」 とカテゴライズしている。「ケンチャナヨ」とは韓国語。「大丈夫、気にしない」とい った英語でいう「no problem」ていどの意味合いだが、韓国人気質を現わす言葉として 用いられることもあるのは知るひとぞ知るところ(*注)。しかし、その「ケンチャナ ヨ」はとにかくとして、近ごろ一外国人として感じているのは、日本のどうしようもな 部分をデフォルメしたのが韓国にありはしないかということである。

 あくまで部分的観察にすぎないのでそういう前提でお読みいただきたいが、たとえば 昨年1月に渡韓したさい、テレビをつけると番組という番組がベテラン歌手・ナフナ氏 の記者会見で占拠されていたことがあった。新聞の1面もほぼナフナ一色である。いっ たいなにが起こったのかというところだったが、経緯がわかってみればただの芸能スキ ャンダル。それも日本のだれそれのように薬物事件を犯したというレベルですらなく、 真偽すらアヤシイ女性問題などをスキャンダルショウとして仕立て上げられたことに対 する主役からの弁明だったのだ。なにをくだらんことを……と日本でのできごとだった ら唾棄するところだが、はたして日本語のできる韓国人に訊ねてみても「くだらないこ とですよ」と言葉を濁してしまうのである。あたかも「ウリナラ(わが国)の恥など外 国人に知られたくない」とでもいわんかのごとし。その後、4月には別の芸能人が傷害 事件を起こし、その弁明にあたって土下座までしていたが、これまたどのチャンネルを みてもそればっかというていたらくだったので、「わが国・日本と同じだなァ……」と 妙な感心をする一方、「こりゃぁ、たしかに恥ずかしいわ」と苦笑してしまったのであ る。友人は「韓国人の知識層は苦りきってるんじゃないか?」とまで斬った(つまり、 こんなシロモノをおもしろがっているのは“知識人”でないと疑っているのである。提 供する側を含めて)。

 これは、ひとつには韓国が外国であり、そのぶんだけ距離を置いたうえで冷静に観察 できたということもあろうけれど、逆の見方をすれば、外国人がみる日本というのも、 それと同じようなものではないかということもできるハズだ。さしずめ、昨今の酒井某 騒動などそのさいたるものだろう。この場合は醜聞をショウにされたナフナとは異なり 、明らかなは犯罪報道ではあるにせよ、はたしてあれがほかに伝えるべき数知れぬでき ごとを押し退けてまで報じる価値のあるものなのかどうかについては大いに疑問がある からだ。外国人によっては、「これだけ騒ぎになってるのに執行猶予? 日本の薬物犯 とはそのていどの扱いなのか」と怪訝に思ったに違いない。同じく思ったろうなァ。「 日本人の知識層は苦りきってるんじゃないか?」と(つまり、こんなのをうれしがって みている、あるいはタレ流している連中は馬鹿だと言っている)。

 さて、そうした芸能ショウではないけれど、先ごろ容疑者が逮捕された殺人および死 体損壊遺棄事件に関する報道も、似たような見せ物といえよう。いうまでもなく殺人は 重罪である。だが、どうしてこう繰り返し繰り返し念入りに取り上げる必要があるのか ? これが「殺人罪は重罪だから」というのであれば、ほかの幾多の「殺人罪」につい ても同様に取り上げるべきで、(まったくとまではいわないけれども)それをしないで というのは、ようはこの事件にショウ化しやすい要素があるとしてメディアが利用して いるからなのであろう。
 いまひとつ、ショウ的要素とは別に、被害者が白人のイギリス人であり、それも女性 だったからという見方もできるのではないかと、騒ぎの初期におぼろげながら感じたこ とがある。写真家の藤原新也氏のつぎの一文をお読みいただきたい。

「マスコミ、捜査当局の執念が人種コンプレックスに依拠する という不思議な国」

 現象として捉えた場合、氏の観察はまさに正鵠を得ているような気がする(いみじく も皇室報道が枕に出されているが、こうした過剰な騒ぎの類似例として、皇室に対する “軽犯罪”報道を挙げることもできよう。いくつかの例として沢木耕太郎氏の「不敬列 伝」・『人の砂漠』に所収・が詳しい)。つまり、そこでなされた犯罪がショウとして 利用される要因に、被害者の軽重があり、それも(皇室はここでは措くとして)それが だれによって決め込まれているかというあたりに注目する必要がある。
 かつてフランスでオランダ人(白人)女性を殺害、その身体を食べた佐川一政氏は、 自らが“商品価値”として規定され、メディアによって食い散らかされたと捉え、いく つかの事実や所感を著書に記している(『殺したい奴ら』データハウス刊)。ここでは 氏が犯した犯罪やその後については触れないが、日本での騒ぎに関連して気を惹いたの はつぎの一文であった。

 拘置所でしばしば囚人達に、「おまえが白人だったら、絶対カニバリズムなんて報道 はされなかったろうよ」とも言われた。(前掲書253ページ)

 これはフランスのメディアが「病院に一生閉じ込めておけ」と主張していたことに関 連して触れられているエピソードだが、数行前には「数人の男女を殺害し、病院内でも 女性患者を一人殺害しているにも拘わらず、僕が日本に送還されて二、三年後に自由の 身となり、職も見出し、結婚もして、(以下略)」とし、「彼らの“人権”とは、白人 と鯨にだけ適用されるものであり」と観察しており、フランス滞在中の氏がどういう事 実に遭遇してきたかが窺えるかもしれない。

 ちょっと話が逸れてしまったが、日本における一連の騒ぎをみるにつけ、その根っ子 の部分にこうした人種差別があり、しかもそれが心底に染みついてはいまいかという疑 念が棄て切れないのである。ましてや、外国人の目からみるとどうなるのか。被害者の 国であるイギリスの白人はどうか。アメリカ合州国の白人はどうか、黒人は? あるい は先住民は。ベトナム人はどうか。あるいはきわめて滑稽な図があってもおかしくはな い。別段、どうみられようと結構という見方ができるかもしれないが、自国のありさま を冷静に観察するひとつのヒントにもなりうるような気がしないでもないのだ。


*注:
 もっとも、「〜人気質」というステロタイプには日ごろから違和感を覚えている部分 もある。ただし、あるできごとにさいし「日本人ならこうだ」とか「イタリア人なら〜 」「ロシア人なら〜」というのはジョークとしては面白く、なかには納得させられるも のもあるので、ここではそういうレベルで「気質」とした。
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