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猫池罵詈雑言雑記帳
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「列車、込み合って参ります。お座席にお荷物をお置きになられますと、あとから参りますお客さまの(後略)」
 JR東日本の特急列車車内での車掌による案内放送である。この誤った日本語の愚劣さをおわかりになりますか?

 実際問題として、そんな言葉の誤りに気づくか、気づいても気にしたのは10両編成を埋めた乗客のなかでオレぐらいだったかもしれないし、そんなささいなことで目くじらを立てるのもいかがなものかという気もする。しかし、この誤った言葉遣いが平気の平さで案内放送として通用してしまうあたりに、同社が捉える利用者へのサービス精神というものの根っ子があるのではないかと思わないでもないのである。件の車掌さんが車内改札にやってきたので、改札業務後に「お訊きしたいことがある」と座席のほうにお越しいただいた。
──さきほど車掌さんがなさっていたご案内の放送ですが、そのなかで「あとから参りますお客さまの」とおっしゃっていましたね?
車掌「はい」
──そこで、なにかおかしいと感じませんか? 「あとから参ります」について。 車掌「……はっ、とくには……」
──違和感はないのですね?
車掌「はい」
──ホントですか!? だとしたら日本人として大問題ですよ、これは!
車掌「…………」
──いいですか? たとえば御社の車内放送などで「あとから参ります特急列車が……」といったものがありますが、これは正しい言葉です。
車掌「はい(微笑)」
──う〜ん……。「参ります」というのはへりくだったときに使う言葉です。ですから、乗客自身が「参ります」というのならとにかく、接客側が「お客さまが参ります」などという言葉遣いをすることはありえないのではありませんか?
車掌「はい。そうですか……」

 あとは省略する。簡単にまとめれば、この年輩の乗務員はこちらの指摘にも拘わらず理解できていない印象があった。ほかの乗客が大勢いるところでもあり、個々の社員に恥をかかせるつもりはないのでできるだけ小声でていねいに指摘をさせてもらったつもりだが、それでも、大袈裟にいえば「天を仰ぐ」気持ちでつい声が大きくなりそうになってしまったものだ。車掌さんは、こちらの指摘に対して「わたしどもでも言葉遣いに対しさらに気をつけてゆきます」とおっしゃっていたし、冒頭に述べたとおりそんなに大騒ぎするほどの問題でもないので、このブログに記すつもりもじつはなかったのだが、あえてアップしたのは、とにもかくにも世界に誇れる日本の鉄道の将来を慮ってのことなのである。

 いまひとつ車掌さんに理解されていなかったようだったので、その場でハッキリと宣言しておいたのはつぎの点である。
 すなわち、全国各地の鉄道会社を見渡すなかで、同社の接客態度(直接的な人的接客のみならず、たとえば自動改札の扉や無人のホームなどを含む)が最低レベルであるということだ。あくまで一利用者としての感想にすぎないが、乗客を客と思っていないのではないかとすら思う。それも年々悪くなっている。
 最近目撃した例では、ホーム中央付近を歩く乗客を追い越しながら斜にその目前を横切っていった列車乗務員がいて、かつてだったらそんなことはあったのだろうかと訝らざるをえなかった。あるいは、何度か記してきたことだが、非常時における利用案内の混乱や杓子定規の運用は、個別の利用者からいくつかの「とんでもない例」を集めている(ある例などは、「監禁罪」の適用すらできるのではないかというほどに愚劣であった。ただし、この車内放送事件の同じ日に起きた人身事故によるダイヤ混乱にさいして、同社の総武快速線では具体的かつ的確な案内がなされており、安心して乗り続けることができたことをつけくわえておきたい。不案内とくらべてどちらがスタンダードなのかについてはなお検証する必要があるけれども)。

 あとは割愛するが、そうした現状を憂慮するからこそ、単なる「ウッカリ」レベルの言葉遣いひとつだからと見過ごすことができなかったのである。現場における業務全般に対する教育や指導、あるいはモラル向上に向けての努力がおざなりにされていることはないのか? 穿った見方をすれば、ささいな言葉遣いひとつにも車内モラルの低下が顕われていはしないかと心配でならない。
 以前、なにかのおりに記したが、同社の元取締役は10年後にJRグループの再編があるかもしれないという指摘をしていた(該当記事にもことわりをつけたが、議事録からはその後に削除されている)。それがこうした点もふまえての所感なのかどうかはわからないが、再編云々はさておいても、利用者から嫌われてくる可能性はあるだろう(車掌さんにも指摘しておいたが、このあと開業する東北新幹線の青森ゆきにせよ、気持ちのいい接客を求める乗客は新幹線ではなく航空を選ぶのではないか? それほどにサービス精神という面での溝がある)。仕方なく乗らざるをえない乗客も多いのだろうけれど、なにかのきっかけひとつでこぞってソッポを向くことになるかもしれない。あるいは、こちらが感じているとおりにモラルの低下が蔓延しつつあるとしたら、その先に待っているのは見た目にも悲惨な事件であるかもしれない。

 鉄道愛好家のひとりとして、わが国の鉄道が健全な発展が続いてゆくことを熱望してはいるのだが……。


 末筆ながら、本年もお立ち寄りいただきありがとうございました。ご覧のとおりマイペースで勝手な雑感を記しているだけのブログではありますが、いましばらくはぼちぼちと続けてゆきたい所存であります。今後とも、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
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自己紹介:
 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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