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猫池罵詈雑言雑記帳
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 ふだん、自宅でテレビをみるのはごく限られているが、旅行先の夜などは、ホテルの部屋でなんとなしにつけていることも少なくない。そんなわけで、韓国ではそれなりにたくさんテレビ番組をみた。残念ながら言葉のほとんどはわからないにせよ、ニュースではなにが題材にされているかぐらいはわかるし、いわゆるバラエティー番組の類にしても、笑いのツボはそれなりに伝わってくる。しかし、言葉なしで楽しめるといえば、スポーツ番組に勝るものはないだろう(音楽もその仲間に入るが)。したがって、サッカーや野球などを毎度のようにみることになる。韓国リーグはもちろんのこと、サッカーではイギリスのプレミアリーグ中継もあるし、韓国人選手が活躍しているらしい日本の読売戦の中継もあったりして、日本ではさっぱりみることがないのにいくらかつきあうことになる。

 ほかによく映し出される競技に、プロレスやボクシングがある。そのうちアメリカ合州国のプロレスをみよう。酷い。お芝居丸出しの完全な出来試合の連続である。なんのヒネリもなく、先の展開があっさりとわかってしまうのだ。なによりもあるべき技がなくなっている。各種スープレックス……ほとんどみられない。パワーボムのような単純な技でさえ、持ち上げた相手の顔面をマットに叩きつけるという妙ちきりんなシロモノに変型してしまっている。
 かつて、NWAやAWAが隆盛を極めた時代、アメリカのプロレスといったらまさに憧れであった。むろんそのころにだって出来試合(フィックスマッチ)はいくらでもあったし、なかには「おいおい……」と突っ込みを入れたくなるような粗末なお芝居もあった。だが、テレビ画面に映し出されていた現代の試合ほどには露骨ではなかったハズだし(例外はあったが)、技も多彩であって、まだしもショウとしての味わいってものがあった。まぁ、こんなのはいまさら驚くほどのシロモノでもなく、WCWなる団体の興業をいつだったかテレビでみて、あまりの大味ぶりにぶったまげたこともあったので、ようはすでにあのころ憧れたようなプロレスは主舞台から追い出されたということなのであろう。

 さて、今回の韓国旅行のさなかには、日本製現代プロレスの亜系といえるK-1のソウル興業の中継があったのでジックリとみてみた。つまらない。上げ底丸出しのワンパターンな演出。おおよそスポーツとは思えない技と展開。たとえば、試合は2ラウンド制で、最初のラウンドが10分、つぎのラウンドが5分で争われる。試合はといえば、例によって(?)開始早々のキック一発でケリがついたりと、比較的あっさりと決まってしまう勝負が多かったが、ようは試合時間の最大は15分間であり、かつその大半が数分以内に決してしまうという興業ということだ。そこで選手入場を派手に演出し、出囃子を長々と流し続けることになる。出囃子そのものは観客の気分も盛り上がるだろうし、否定するつもりはないが、ようは試合前の演出が過剰にすぎて間延びしてしまっている。そして、そうしてやっとこさはじまった試合ときたら、これがおおよそ“難解”なシロモノときているのだった。
 断っておくけれど、そのすべてがつまらないとまでは言わない。なかにはエキサイティングな展開もあった。目をみはった技が、いちどだけだったがあった。だが、──シロウト目からと断っておくが──繰り出されるパンチのうち、ある種の選手のそれはネコパンチにしかみえないレベルであったし、防御にも美しさがない。キックにしても偶然の要素があまりにも強すぎるようにみえた。なによりも最悪なのがグラウンドでの展開だ。相手を押さえ込んで関節技のひとつでも決まれば、それはもうたいへんな面白さになる。だが、押さえ込んだ相手に対して、決まって繰り出されるネコパンチの連続はなにか。あれはあれで技なのかも知れず、かつダメージを与えられるのだろうけれど、なんだかだだっ子同士の取っ組み合いをみせつけられているようであった(まぁ、いつものことですがね)。だいいち醜い。子どもがマネしたらどうするんだっていうぐらいに安直かつバカバカしい。で、突然に決してしまう試合。終わったとたんに抱き合う対戦者。感涙にむせぶ表情たっぷり。フェアプレイってことでしょうか。なんにせよ、試合が終われば“ノーサイド”ではあるけれど、格闘技という競技の性質上、あんなにあっさりと抱き合えるものだろうかという疑問も残る。

 とまァ、そんな具合で、延々と似たような場面の繰り返しだったわけなのだが、帰国前日のソウルの宿でテレビをつけてみたら、こんどは国際式ボクシングの中継があった。
 選手の名前も試合の背景もさっぱりわからず観戦していたが、黒人選手同士によるジュニアミドル級12回戦は十分に楽しめた。つけたときがちょうど1ラウンド目。青いトランクスと黒いトランクス。インターバルで青いほうの陣営がクローズアップされていることから、こちらが主役格なのだろうと思った。試合はその青のほうがやや優勢に展開。とはいえ両者はほとんど譲らず、それぞれに強烈なパンチが決まるシーンはあっても、ただのいちどのダウンもないのだ。情勢不利とみたのか、黒のほうが盛んにクリンチで逃げ、そのさいに抱きついたままレバーのあたりにネコパンチを打っていたのはいただけなかったけれども、9、10、11……ラウンドが進むとともに青の優勢が明らかになってくる。選手自身もそれを悟ってか、インターバルのさいの表情に明暗が浮かぶ。僅差ではあるが、黒にとっての最終ラウンドは相手を叩きのめすしか道はなさそうだ。

 最終12ラウンドも相互譲らずの展開。「こりゃぁ判定になるな」と、ビール片手にジャッジのマネごとなどをしつつ試合を見守っていたところ、残り30秒近くになって短距離から放たれたジャブとフックによって、青がはじめてのダウンを喫した。ダメージは深くなかったらしく、すぐにファイティングポーズを整える。このダウンが判定にどう影響するのか。そんなことを思った刹那、黒と向き合った青の右アゴのあたりを一発のフックがえぐった。再度のダウン。だがしかし、レフェリーはカウントをとらなかった。マットに伸びたまま呆然とした表情を浮かべる青。まさに試合終了間際で起きた一瞬の交錯。黒のKO勝ちだった。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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