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猫池罵詈雑言雑記帳
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 いまさらのように同じことを書くのもどうかと思わないでもないが、テレビニュースのアホさ加減に対し、あらためてアタマがクラクラしている。
 中央大学構内で起きた殺人事件は、なにより学内を舞台にした凶悪事件という点で特異であり、数日が過ぎたいまでも容疑者の身柄が確保されていないということもあり、それなりのニュースバリューがある事件ではあろう。しかし、これは事件当日から思ってきたことなのだが、テレビニュースのあのバカ騒ぎぶりはいったいなんなのだろう? 事件の概要を報道する必要はある。が、警察による捜査もまだはじまったばかりという段階で、わっざわざ大学構内にカメラを持ち込み、微に入り細に入り中継する必要がどこにあろうかと思うのだ。被害者の教室が建物のどこにあり、事件が起きたトイレが同じ階にある? 刺し傷が何十カ所? そんなモノをこと細かに伝えるその姿は、悪いけれど“嬉々として”いるように映った。ある局では、直前にサスペンスドラマを放映していたものだったが、現実の殺人事件報道もまた、その延長線上にすぎないお茶の間向けショウと化していたといっていい。さらに不思議でならないのが、そうしたショウ化こそしていないものの、いまなおニュースのトップに持ってくるNHKのセンスである。事件当日ならばまだわからないでもないけれど、日々トップで報道すべき事件なのだろうか? 言い換えれば、ほかに報道すべきことがらとどのような天秤にかけたがゆえにそうした番組構成をしているのかが理解の範疇を超えているのである。

 あの事件は被害者およびその遺族や学生ら当事者、さらに加害者とそれに関係するひとびとを除けば、テレビ画面の向こう側を飾るさまざまな事件にひとつにすぎないといえる。たしかに酷い事件であり、事件に至る背景に対する“興味”はあるにせよ、報道ショウをみせられている大半のひとびとにとっては半ば非現実の世界のできごとではないのか。繰り返すけれど、事件の報道そのものは必要である。あれだけの凶悪事件が報じられないとしたら、それは別の意味で大問題だからだ。しかし、連日のように後追い──しかも基本的に警察発表の広報かそのアレンジものである──してやまないことに疑問を感じざるをえないのである。

 カンのいいひとはお気づきだと思う。過剰とも思えるオウム真理教報道合戦や“白装束”ショウ、かつての三浦和義氏がらみの事件騒ぎ(当時と比較して、アメリカ合州国当局によっていいがかり的に事件を掘り返れた事件についてはだいぶ控えめであったようだが)……。オリンピックやサッカーW杯などスポーツイベントなどのさいにも一斉に騒ぎたてるマスメディアなのだが、そうしたエンタテイメントの代役としてこうしたできごとを利用しているとはいえよう。今回の過熱報道もほとんど同質のシロモノといっていい。

 となると、気になるのはその陰で握りつぶされたり無視されたりしたできごとの数々についてである。すると、やはり自創政権の行き詰まりと延命。ひとつはこれにつきるのではないか? また、憲法無視も甚だしいソマリア海域への自衛隊派遣と武力行使を認めるための法整備。ソマリア問題について、「しんぶん赤旗」は「麻生内閣 暴走」との見出しをつけて報道している(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-01-18/2009011801_01_0.html)が、まさに不信任内閣の暴走あるいは暴発という点で、これなどはトップニュースになるべき大事件の予兆であろう。次期政権と取り沙汰されている小沢一郎民主党代表は、国連のきめごとを楯に、アフガンへの自衛隊派兵をはじめとする軍拡路線を主張してやまないが、そんなことは一般的なテレビニュースの類ではほとんど報じられることはない(*注)。ソマリアとアフガニスタンの先には、ひょっとするとイランやイスラエルの問題がからんでくる可能性もある。海の向こうの新大統領が、さも救世主のごとくスター化され報道されてきているが、その彼とてこうした問題についての進展を示唆しているわけでもなければ、わが国との関わりという点でブッシュ政権との本質的な差があるかどうか知れたものではないのだ。さらに消費税増税問題があり、法人税削減要求という動きがあり、いまこの瞬間に包丁が振り回されていないだけの話で、広く国民ひとりひとりに関わっている問題だらけなのである。

「ぁあ、テレビをみているかぎりは平和だなァ……」
 きっと殺人事件も戦争も増税も貧困も自殺も、ありゃぁ画面のなかのつくりものなんでしょう。そんな麻痺した世界を仕立て上げる。送り手側が自覚していようといまいと、現実に流されては消えてゆくテレビニュースの数々からは、そんな意図が見え隠れしているとあらためて感じた。


*注:
 個人的に愛読している「新聞販売黒書」が、世論調査を使った大衆誘導と小沢民主党の正体についてスバっと論じている(1月13日)。世論調査に関しては拙ブログでも触れたことがあるが(「二者択一設問の狙い?の巻」)、筆者の黒薮哲哉氏も同じことを感じておられるようだ。

 今日の格差社会や貧困を招いた原因が小泉元首相が進めた構造改革・規制緩和にあることは、疑いの余地がないが、この「改革」を最初に提唱したのは小沢氏ではなかったか。しかし、自民党の「抵抗勢力」が改革の腰を上げないので、自民党を飛び出した。(中略)いわば小沢氏は、小泉氏よりも先に、構造改革・規制緩和を叫んでいるのだ。自民党よりも右よりである。読売は右翼と極右を比較して「どちらがいいのか?」と滑稽な質問をしているのである。(太字同ブログから引用)

 まさに然り。政治評論家の森田実氏をはじめ小沢民主の正体を掴んでいるひとは少なくないが、将来に禍根を残さぬためにも、民主党の動きを監視してゆく必要があろう。

*補足:
 今回とりあげた報道問題に関連して、1月15日づけ「東京新聞」朝刊のコラム「大波小波」が「ニュースの価値」と題して問題を提起している。
「この原稿を書いている現時点でのテレビにおける大きなニュースは、自民党の渡辺喜美元行政改革担当相の離党問題と、この初場所に進退をかける朝青龍の連勝だ。でもふと思う。これは本当に重要なニュースなのだろうか。」(同記事)
 同コラムは、こうした関心を集めやすいできごとを伝えることについては否定していないが、その陰でアフガンやパレスチナの問題などが「あっさりと外される」(同記事)事実に疑問を呈す。いわく、
「民意に名を借りた視聴率による市場原理」であり、「暴走」であり「危機」であるにも関わらず「テレビ報道にその自覚は薄い」。
 くしくも、このコラムが載った当日、社会面の主役は件の中央大殺人事件であった。テレビニュースでは全体の主役格だったけれども。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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