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猫池罵詈雑言雑記帳
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 竹島(韓国名・独島。以下、竹島)をめぐる韓国側の対応には、さすがにクビをかしげざるをえない。竹島をめぐっては古くから対立あるいはおもに韓国側からの示威行為が散発してきたが、ここにきて日韓間にしこりを残しかねない事態になりつつある。

 1日午前、日本から自民党の国会議員3名が金浦空港に到着したものの入国を拒否され、最終的に韓国への入国を断念せざるをえなくなった。メンバーは新藤義孝衆院議員(埼玉2区)を中心に稲田朋美衆院議員(福井1区)と佐藤正久参院議員(比例区)で、鬱陵島にある独島博物館などを視察するとともに、「(竹島をめぐる)韓国側の主張を知りたい」としていたものだ(*注)。
 ところが、民衆の抗議デモが実施されるなど韓国内世論の反発が一部で拡大、「身辺の安全確保が難しい」とした韓国当局がほのめかしのままに入国が拒否されてしまった。これは極めて異例の事態であろう。

 議員団が掲げる「日韓の主張には差があるので、話をする必要がある」というのは極めて正当な主張である。韓国側はいわばこれを門前払いしたわけで、いかに“国賓”の類でないとはいえ、話し合いの著口を求める他国の国会議員に対する対応としては問題が大きといわざるをえない。議員側は「入国が認められないなら外交問題になる」と語っていたというが、外交のカードとしてみた場合にも、韓国側は大きなビハインドを背負ったことを自覚すべきである。

 それでなくとも、竹島をめぐる韓国側の動きには空恐ろしさすら感じられる。これまでも一方的な上陸や建設物の設営などを繰り広げてきたが、6月16日には大韓航空機が役人やマスコミ関係者らを乗せて竹島上空をデモ飛行、不当極まる領空侵犯をしでかしたばかりだ(やや大袈裟にいえば、旧ソ連による大韓航空機撃墜事件すら思いだした)。この事件を受け、日本側は大韓航空の利用自粛を表明するなどの事態に発展しており、韓国側からも反発が起きている。しかし、ここで国際的なルール違反をしでかしたのは一方的に韓国側である。
 竹島は、韓国側が実効支配を続けているという見方もある。また、韓国当局の主張はもとより韓国国民が自国の領土だとする考えを日本人大衆がきちんと知ることも必要だ。しかし、親交のある両国間にあっていまなお領有問題が解決できていないのは厳然たる事実であり、にも拘わらず一方的な上陸の類を繰り広げているのは異常な事態ではないのか。件の自民党議員が日本海からではなく金浦経由で韓国に入国しようとしたのは、そうした“実行(効)支配”についての現実を見据えたうえでの正当な行動だったとみることも可能であろう。本心では強硬な上陸を求めるムキもあるかもしれないが、それにしたっていちおうはおとなの常識で他国に臨んだことは否定できない。ところがあの門前払いなのである。韓国側として、訪問者に対しそれだけの価値・役割を見出せないと判断したのかはわからないが、堂々と領有権を主張するあるいは現状を日本側に知らせる機会を自ら放棄したとみることもできるかもしれない。

 あいにく、鬱陵島や竹島を訪問したことはないが、玄関口にあたる浦項などで一般市民と竹島問題を語り合った経験はある。そのさいにはいくらか険しい視線にも遭遇したものだが、そのうちのひとり、学校で日本語を勉強しているという女子学生の話はこうだ。
「韓国人にとって独島(竹島)は大切なものです。ですが、ニュースなどで流されるような過激なひとがそれほどいるわけでもありません。日本のひとたちがどう思っているかはわかりませんが、じつはそれほど日本に対抗意識を持っているのでもないのです。独島についてわたしが思うのは、結局はおカネの問題ではないかということです。漁業とかですね。日本ではどうなのでしょうか……?」
 この話はきわめて庶民的な食堂で聞いたものだが、店に入ったとき「ケッ、イルボン(日本)は来るなよ」とでもいいたげにみえた店のおばちゃんも、こちらがフェリー乗り場でもらった鬱陵島の観光地図を開いていたら、
「あら、鬱陵島に行くのかい? 行くのはいいことだよ」
 といった風情で身ぶり手ぶりを交えてあれこれレクチャーしてくれたものだ。リンゴをむいてくれ、食事代もとってくれず、礼を言ってサイフをしまおうとしたら、「フェリーは風が強いから、もっと(カバンの)奥深くにしまいなさい」とアドバイスしてくれた(その足で鬱陵島に向かうと勘違いしていたのだが)。

 ほかにも軽い雑談レベルで話をしたこともあるが、めぐりあったひとびとが意外なほど冷静だったのが印象に残る。もちろん、こんなごく限られた経験だけでモノを断じようとまでは思わないが、韓国側にせよ日本側にせよ、じつは対立以前に事実やお互いを知らなさすぎるのではないかとは思った。一部のハネ返りはともかく、ヒザを突き合わせて話し合い、現在の対立を逆に友好の手立てとすることだって夢ではないのではないか。そのためにも今回のような視察希望も、韓国側としても有効に活かすべきだったのではないかと思うのだがいかがだろうか。

■注
 ちなみにいえば、議員3名のうち2名はいわば“極右”ともいえる人物。稲田氏は“あの”安倍のおぼっちゃんの子飼い的存在であり、従軍慰安婦問題や南京大虐殺、沖縄集団自決事件などをもっぱら旧軍事体制側の視点での主張を繰り返し、自国の戦争責任など戦後清算をはかる旨を発言するジャーナリストらに対し裁判をもって臨むなどの強行派としても知られる(言論人でありながら言論に対し言論で対抗しないというセンスの持ち主のようだ。どこかの大新聞社のように)。一方の佐藤氏は職業軍人あがりで、“あの”田母神俊雄氏との親交が深い。もとより、いかなる思想を持とうと自由というものだが、はたして今回の視察団メンバーとして相応しかったのかどうかについてはいくばくかの疑問が残る。韓国人からみれば、稲田氏などはまさに「一部のハネ返り」、もっといえば「オニチクショウ」の類であろう。同じ日本人としても十二分に恥ずかしい。だが、だからこそ今般の韓国側の対応が残念でならないのである。
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