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猫池罵詈雑言雑記帳
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 今日のテレビニュースは、まさに北朝鮮オンステージの様相であった。大半はNHKだったが、いつのまにやら“飛翔体”と命名がえされたこの“ミサイル”騒ぎをみていたら、これはもうその模様を伝えているNHKといい会見に応ずるわが国首脳といい、こういっては失礼だけれどもウレシくてウレシくて仕方がないといったふうにさせ思えた。主観というか印象だけでこんなことを言ってはいけないとは思うが、NHKのなかのキャスターによっては、重大有事の類の原稿を得意面々になって読み上げているという感じすらしたものである。
 そんななか、あるテレビ画面(テレビ朝日だったと思うが)に現れたコメントのひとつには、今回の事件が麻生政権の支持率を上げ、核武装論者をはじめとする改憲勢力を元気づけているに違いないといったものもあって、この騒ぎを冷静に分析している層が少なからずあることを思わせてくれた。しかし、大勢は北朝鮮およびその発射物そのものに対する言及に乏しく、そのかわりにわが国の自衛隊が保持している各種兵器の大雑把な紹介に割かれているという印象であったことに変わりはない。印象をごく単純化すれば、「まるでわが国“防衛システム”の展示会のごとし」であり、「有事報道の予行演習」ということである。

 今回の騒動の主役は、いうまでもなく国際世論の反対や疑念を振り切って「衛星」とやらを発射した北朝鮮政府である。相応の情報開示すら拒み、実弾搭載の疑惑を残したままの発射はとうてい許せることではないと考えるが、わが国政府がその暴挙に対して十分な対応をしているのかということについては大いに疑問がある。コンクリート屋あたりは「安保理違反」云々を強調し、親分であるアメリカ合州国になにやら頼み込むことを示唆していたが、果たしてこれはそんな範疇の問題だろうか。そもそも米政府からして大問題としているのだろうかと思うが、北朝鮮が主張するとおりに宇宙開発であったとして、この論理で切り崩せるかどうか。また、打ち上げられたのがどうやら爆弾の類ではないことになったものの軍事衛星の類である可能性があるなかで、ではアメリカ合州国やわが国が軍事目的の人工衛星を“好きなように”打ち上げている事実と照らし合わせて、あの国のやったことをどこまで暴挙として問題化しうるのかというふうにも感じられる。

 しかし、おそらくはそんなことはどうでもいいのではないか? 少なくとも本音の部分では、北朝鮮が謎めいた国であり、こうして横暴な行動を続けてくれるほうが助かるのではないか。ああいう脅威の国が近隣にあって、ときに具体的な行動を起こしてくれることがすなわち、わが国の軍備強化を正当化しやすいのであり、そのための世論の誘導をたやすくするだろうからだ。テレビのコメントにあったとおり、現政権に評価を与え(とはいえ、よくよくみれば評価にあたいする行動をとったという証拠もないが)タカ派を元気づけてゆくことになるのであろう。前回も記したとおり、ある層にとっては「北朝鮮サマサマ」なのである。
 わが国の政権があの国の金政権を先代にさかのぼって支えてきたことは、当ブログでもなんどか触れた。先代が亡くなり、金王朝に危機が訪れたさいにも多額の資金導入などをもって延命に手を貸してきたのである(*注)。金王朝が存続する限り北朝鮮が変化することはありえないし、すなわちわが国にとっての“脅威”であり続けてくれるのであろう。

 今回の騒動は、大々的に繰り広げられた広報合戦によって国民の重大関心事になり(無関心でいてもらっても困るのだが)、関心が集まったところで自衛隊のデモンストレーションに昇華することができた。いみじくも海賊対策とやらで海外に派遣されてた自衛艦の“任務成功”の報とともに。つまりはそういう事件であった。
 そんなさなか「日刊ベリタ」上に転載された安原和雄氏の[北朝鮮ロケットの「破壊命令」 真の標的は「血税と憲法9条」]は、まさに自分自身の所感と合致する内容の論評であった。ぜひご一読いただきたいと思う。


*注:
 拉致被害問題についても同様で、わが国政府は拉致の疑いが濃厚とされてきたなかで事実上なんら施策をとってこなかったことを忘れてはならない。近年になって若干の進展があったことから評価されるムキもあるのかもしれないが、あんなものは漁夫の利の類にすぎないのだ。ここまでの混迷を招いた一因はそうした危機感のなさにあると考えているが、誤解されるリスクをもってつけ加えると、今回の騒動をはじめとしてことあるごとに声明を発している拉致被害者およびご家族らの様子をみるにつけ、本来の目的や目標から正反対の方向に向かって全力疾走をしてしまっているような気さえしてきた。すべてがそうとまではいわないが、政府内部およびある層のなかには拉致問題がすんなりと解決しては困る連中が巣食っているのではないか。被害者および関係者のみなさんは、図らずも北朝鮮政府同様の“敵”である彼らに手を貸してしまっていることはないのだろうかと思うのだが……。

 それにしても。ある夕方18時(だったかな?)のNHKニュースの大半がこの問題に費やされたのはいいとして、もうひとつの“報道”というのがプロ野球とJリーグの試合結果だけだったというのには笑わせられた。マンガですよ、マンガ。

*4月6日朝追記:
「東京新聞」1面につぎのような囲み記事が掲載されていた。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009040690070520.html

「都心にPAC3 迎撃の危険説明なく」と題された記事は、北朝鮮のミサイル騒動にさいして配置された自衛隊の迎撃装置等に対する住民への説明が一切なかったことを報じるものだ。

[PAC3が発射された場合、周囲はどうなるのか。迎撃で破片が飛び散る範囲は、失敗の確率は、レーダー波の影響は−。都民への説明は、どこからもなかった。
 「区に対しては説明した」(防衛省)、「国が決めたこと。周知は考えていない」(新宿区、練馬区)と互いに放り出した。](リンク記事)

 この事態は、今回の騒動に北朝鮮を利用した有事予行演習としての意味合いを持たせていることが示唆されていると思うが、その真の狙いがカネ(軍事利権)であることも同時に臭わせているといっていいだろう。

[東北出身の自民党議員はPAC3の東北への常備を訴え、増田好平防衛事務次官は追加配備に意欲を示した。過剰反応が北朝鮮の思うつぼであることだけは確かだ。](リンク記事)

 こうした論評のあるなしは、まさにジャーナリズムとしての姿勢を問うていると思うのだが、この朝に流してみたテレビニュースの類では一切みられなかった(期待してもいないが)。ほかの新聞、とりわけYあたりはどうなのかな?
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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