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猫池罵詈雑言雑記帳
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 北朝鮮による“ミサイル発射”騒ぎが佳境を迎えつつあるようだ。あくまでシロウトの推測にすぎないが、これまでの報道やジャーナリストらによる分析をみると、それが人工衛星にせよ爆弾を積んだミサイルにせよ、発射が実施される可能性はきわめて高いのではないかとみている。仮に、これが一部で憂慮されているようにわが国を標的とした武器であるとすればとんでもない話であり、その可能性が払拭できない以上は徹底した外交手段をもって牽制してゆく必要があるし、それ相応の抗議をしてゆくべきである。

 それにしても。日々のテレビニュースなどをみていると、いまにも北朝鮮が実弾を発射するかのような過熱ぶりなのが気になる。たしかにひとつの危機ではあると思うが、その危機感があらぬ方向に向かっているようにみえるからだ。これが、近隣諸国との連携を含めて首脳同士による対話を強固に要求するなど正常な外交──たとえ相手が正常でないにせよ──が過熱してゆくというのなら進展に対する希望が持てるというものなのだが、現実には軍事面での対症療法的施策ばかりが先走ってはいないか? 相手が実弾を放つ可能性がある以上、こうした備えをしていくことそのものを否定するつもりはないとはいえ、なにか方向性を見誤っていないだろうかと思う。
 そんな見方をしてたところ、政府内部から「ミサイル発射」をうれしがっている発言がでたという報道が複数あった。それそのものは内部からも批判を受けているようだが、これはついついホンネがもれただけではないのだろうかという気もする。今回に限らず、うれしくてたまらないのだ。北朝鮮の迷走ぶりが。
 つまり、北朝鮮がああであるかぎり、わが国周辺での“有事ぼっ発”を常に臭わすことができるからだ。東西冷戦がいちおうは終息し、かつてほどの“脅威”がなくなった以上、軍備を増強する理由が乏しくなってきた。自衛隊しかり在日米軍しかり米軍への傀儡ぶりしかりである。なにしろ“仮想敵”がなくては国民に対して危機感を煽れないのだ。アメリカ合州国流“テロとの戦い”はリスクが大きすぎる(小沢一郎氏は、政権をとったあかつきには合流すると明言しているが)。そんなところに鎖国状態にあるあの国が、正体不明であるだけでなくこうして小出しに強硬な姿勢をとってくれれば、これはもう立派に危機のできあがりである。軍備を増強したい側。それでカネモウケをした側。あるいは憲法9条を撤廃したい側。それらは見事にリンクしていて、彼らにとっての頼みの綱がまさに金王朝北朝鮮なのではないのか。軍備増強を国民に追認させるために、またとない存在なのである。

 評論家の田中宇氏は、氏のサイト中「北朝鮮問題が変える東アジアの枠組み」で北朝鮮をめぐる関係諸国の思惑を推理しているが、このなかで氏は「以前から北朝鮮に無意味な譲歩を重ねてきた米政府の姿勢を見ると、米国はどうも北朝鮮に対して過激なことを好き勝手にやらせたいのではないかと思える」と記しており、アメリカ合州国が描くなんらかの思惑を臭わせている。これを冷戦の代替として、東アジア地域に仕掛けたワナがすなわち北朝鮮という見方は突飛すぎるだろうか?
 ここにきて北朝鮮が強硬な姿勢(「ミサイル発射」準備や開城工業団地をめぐる韓国側への対応など)をみせている理由のひとつには、アメリカと韓国とによる合同軍事演習に対する抗議の意味があるといわれているが、個人的には、この演習の実施そのものがワナである可能性があるとみている。かくのごとし演習をすれば(たとえそれが定例的なものであったとしても)、北朝鮮側からなんらかのリアクションがあるであろうことをアメリカ政府が見抜いていないワケはない。とすれば、まんまと利用されたのが韓国であり、シナリオどおりにエサに食らいついたのが北朝鮮だということになろう(あるいはもっと生臭い裏取引があった?)。そして“漁夫の利”を狙うかのごとくウロウロしているのがわが国ニッポンというわけだ。田中氏の指摘、
「日本政府は、きちんと分析していれば、現在の困窮を早期に把握できたはずだが、対米従属を1日でも長く続けるため、あえて米国が隠然と展開する策略を見ないようにして、国内マスコミも政府の意を受けてお門違いの報道しか行わなかった」
 はマトを得ているように思うが、ここでいう“対米従属”の真の理由に想像力を働かせてゆくと、さらに救いようのないわが祖国の姿がみえてくるようだ。

 はたして、北朝鮮側は、こちらが「ミサイル」を迎撃した場合にはさらなる軍事行動をとることを臭わせているらしい。仮に、そのとおりになったとしたら手後れなのだ。繰り返すが、相手がああである以上は軍事的手段による警戒はやむなしと考えることもできる。しかしそういう事態を招くまでになったこれまでの外交を抜本的に見直し、(件の拉致問題を含め)真の解決を目指す手立てを見据えていかなければ、やがてわが国の自滅にすらつながるとさえ思う。言い換えれば、北朝鮮が“脅威”である理由をいまいちど見つめ直すということである。


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