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猫池罵詈雑言雑記帳
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 帝国同士の争いというのは、そこでどちらのほうが悪いとかそういうレベルの見方をするよりも、むしろ“クソミソ一緒”ぐらいに捉えるほうが状況を冷静に分析できるのではないかと考えている。
 大雑把には東西の覇権争いであった冷戦は、いったんは解消したということにもされてきたが、ロシアとグルジアとをめぐるいざこざのなか、再びその存在がクローズアップされてきた。ロシアのメドベージェフ大統領はグルジアとの断交を宣言する一方、「望んでいない」とはしながらも「冷戦を恐れず」という姿勢を示して注目を浴びている。世界平和をめぐる事態が大きく転換するかのような動きともいえそうだが、これこそがアメリカ合州国の望む展開なのではないかという推論を述べてみたい。

 日本国内での報道が極めて限られていたこともあって認知されていないムキもあるが、コソボ紛争などを含めてロシアがからむ戦争と対立とは連綿と続いてきており、なぜいまになって「冷戦」などという言葉を持ち出したのかという疑問を持った。アメリカなどによるイラクやアフガニスタンでの一方的虐殺の陰に隠れているようにも感じるが、コソボ紛争ではロシアによる住民に対する虐殺行為が続けられてきたし、セルビアの自治州だったコソボ独立を支持するEUおよびアメリカとの対立の舞台でもあったのだ。今回の紛争では、コソボとは逆にロシア側がグルジアの自治州である南オセチアとアブハジアの独立を支持するという構図になっており、それぞれ舞台とされた地域の住民というよりも、むしろ周辺の大国の都合によって武力衝突が展開してきたという見方もできるだろう。
 今回のグルジアの場合、ロシア側の主張によればまずグルジア軍が南オセチア州にロケット弾攻撃などを仕掛けてきたとされるが、とうの南オセチア住民の多くは、グルジアではなく隣接する北オセチア共和国への編入を望んできたといわれている。ロシアによる独立承認を受けて歓喜する住民の姿がテレビニュースなどで報道されているのは、そういう背景による。むろん、一方では罪なき大勢のひとびとがその犠牲になっている。また、ロシアの狙いがエネルギーの覇権争いにあるという見方もできるが、表向きの動きはグルジアの自国内への武力行使があって、対するロシアが越境してまで応戦したというのが大筋だ。

 もちろんいかなる理由があれ、武力による解決などを望むのは言語道断ではあるが、今回のいざこざにあたって、欧米がこぞってロシアを非難しているということが、なんとも不思議な気がしてくる。アメリカ側からは「ロシアが無法者になりつつある」といったコメントがライス国務長官によって発せられているが、「おまえらにそんなことを言う資格があるのかよ?」というところであろう。クソミソ……というよりもヘドロのぶっかけあいのような争いである。方や今回のグルジアやコソボで。方やイラクやアフガンで。大儀もクソもない。やっていることは他国に干渉し、他民族の国に土足で踏み込んで虐殺と破壊とを繰り広げているだけではないか。わが国には「戦後」という言葉があるけれど、彼ら覇権国家にあっては「戦後」とは無縁だということがよくわかる。

 ところで、今回のグルジア侵攻について、その背後にアメリカ合州国があり、もっと具体的には、大統領選挙を控えてブッシュ共和党政権がグルジアをそそのかしたという説を評論家の田中宇氏が紹介している(http://tanakanews.com/080819georgia.htm)。
 すなわち、米ロの対立を再燃させることのより自国の軍需産業を活性化、そのための恰好の材料としてグルジアがいけにえにされたという筋書きである。しかも、具体的な戦闘開始の日づけまでが用意されていた可能性があるとうのである。敵をつくり、反戦派などの動きを封じるとともにより強硬なナショナリズムを構築するという狙いだ。比較的穏健派といわれるオバマ民主党候補に対するタカ派のマケイン。はたしてその数日後にはマケイン共和党候補のポイントが挽回したと伝えられたが、案外こうした見方が真相を捉えている可能性はある。

 アメリカ最大の公共事業が戦争であることはよく指摘されてきた。朝鮮戦争があり、ベトナム戦争があり、中東をめぐる戦争がある。さきの冷戦は文字どおりの冷戦ではあったが、あの国がいかに戦争に依存しているかがこれだけからもよくわかろうというものだ。むしろ、好むというよりも戦争なくしては国の経済が成り立たないのではないかとすら思いたくなる。ところが、イラクでは占領状態があまりに長引いた結果、とうのアメリカ側の疲弊が重症化し、具体的な撤退時期までが表明される事態になった。アフガンでは民主党側でさえ占領の続行が表明されているとはいえ、あまりに増大するコストに対して危機感を抱いているムキも少なくないハズだ(日本の自衛隊に対するアウトソーシング増大にはそうした背景があるとみている)。ところがそうした軍事行動から手を引くことは、自国の経済(より正確には国を牛耳っている軍事産業だが)状態が許さない。そこで“冷戦”の再登場と相成ったのではないか? ようはイラクにおけるような大規模な実戦と占領、すなわち浪費なくして常に軍需産業を活性化させるために、直接的な戦闘のない冷戦こそが都合のいい状態であると彼らが判断しているように考えてみたのである。現実の武力衝突はないのにそれを臭わせる。「ほら、ロシアがなにするかわからないでしょう? だから軍備増大!」というわけだ(実際問題、これもヘドロまみれ)。

 こうした状態について、評論家の森田実氏がわが国の状態とからめたうえで帝国主義と戦争産業の結びつきについて簡潔に解説しているのでぜひお読みいただきたい。

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C04525.HTML

「国内の経済危機からくる矛盾を国際間の戦争に転化するという古い帝国主義の亡霊が、再び動き出している。注意しなければならない。その動きに日本は引き込まれてはならない」(リンク記事)

 まさに然り。いま起きているのは遠い国のできごとではない。少なくともアメリカにべったりしている限りは。



*補足:
 リンクした田中宇氏コラムのなかでひとつ興味を惹いたのは以下のくだりである。

「ロシアが手ぐすね引いて待っていたことは事実だろう。だが歴史を見ると、日本軍が真珠湾攻撃をした時、米は手ぐすね引いて日本の攻撃を待ち、引っかかって日本が先制攻撃してきたので、戦略どおり「正当防衛」を掲げて反撃し、日本を潰した。戦争の時、悪いのは、先に国際法違反の攻撃を行った方である」

 先に国際法〜云々については異論があるけれど、こうして相手に対してギリギリまでストレスを与えたうえで先に手を出させるというのがまさにアメリカの遣り口なのである(こうした手続きを抜きにして攻撃した例も少なくないが)。これはアメリカ合州国成立以前の大侵略からの伝統とさえいえるだろう。しかし、アメリカ先住民やイラク、アフガンなどが一方的に侵略されているのに対して、日本やロシアのそれは帝国主義者同士の争いという点で両者の背景は大いに異なる。


*おまけ:
 大統領選の近いアメリカ合州国だが、共和党マケイン候補が指名した副大統領候補、サラ=ペイリンアラスカ州知事ってのが、これまたあの国の政治家にこそ相応しい人物であることをつい先ごろ知った。この女性知事が人工妊娠中絶に反対の立場を持っているというのは、おそらくはキリスト教の保守的といわれる層にあるからであろうし、宗教的立場を問わずにさまざまな考え方はあろう。しかし、銃規制反対という殺人道具擁護を公言する人物がこともあろうか知事を務め、かつ国の中枢に座りかねないというあたりがなんとも理解を範疇を超えている。ついでにいえば地球温暖化対策に消極的という姿勢の背景がいかなるものなのかという興味もわくが、こんな人物は極度の臆病者なのかあるいは天性の自己中心者といったところであろう。仮にマケイン勝利となった場合、アメリカ合州国の一部の層を除くすべてのひとびとにとっての奇禍になりかねん。ブッシュ現大統領も同類ではあるが。
 8月25日にはオバマ候補の暗殺を企てた4人組が逮捕されている。(民主党大会の会場で)「見晴らしの良い高台からライフルを使って、オバマを撃つつもりだった」(時事通信26日配信)と供述したといわれている。これが世界一の先進国・アメリカ合州国の側面である。その危険度・野蛮度・後進性ときたらどうだ? もっといえば“とんだ 恥さらし”だ。来る選挙というのは、あの国があくまで“世界一の野蛮国”であり続けるか否かの土俵際でもある。
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