航空トラブルが目立つような気がする。これまでにも小さな事故はけっして少なくなかったが、「あわや大事故」につながりかねない整備不良や故障、運航ミスが続発していると思っていたら、20日にはスペインで、24日にはキルギスでそれぞれ大事故が発生している。いずれも離陸時に起きた惨事である。
個人的に、飛行機の離陸時にはある種の快感と恐怖とがないまぜになっていると感じており、いざ飛び立つや、安定高度を超えるまではいつもドキドキしているのであった。もっとハッキリ書くならば、離陸直後はちょっと怖い。だから余計にイヤ〜な事故が続いているなぁとも思うわけで、事故原因の究明には大いに興味を持っているところだ。
個人的に、飛行機の離陸時にはある種の快感と恐怖とがないまぜになっていると感じており、いざ飛び立つや、安定高度を超えるまではいつもドキドキしているのであった。もっとハッキリ書くならば、離陸直後はちょっと怖い。だから余計にイヤ〜な事故が続いているなぁとも思うわけで、事故原因の究明には大いに興味を持っているところだ。
そんなさなかに「日刊ベリタ」に掲載された記事『「おろしてくれ!」と乗客が家族の携帯電話にメッセージ スペイン機事故に複数の証』はシロウトなりにあれこれ考えさせられるところがあった。
「あんたはそう言うけれど、飛行機ってのはクルマなんかに比べればずっと事故は少ないんだよ」
“旅行は汽車に限る”という類の話題のなかで、ある友人がそう言い切った。こちらが鉄道びいきなのは仕方ないとして、「ほら、飛行機は事故が怖いし」と軽口をたたいたのに応じてきたものだ。
「だいたい、飛行機事故なんてのは、機体の整備不良とかそういったエラーの結果がほとんど」
ようは飛行機という乗り物そのものが危険なのではなく、それを動かず側に問題があるというわけである。しかし、それはごくあたりまえのことで、飛行機に限らずクルマや鉄道などの事故の要因には人的エラーが多分に関係している。例外として考えられるケースに天候不良に基づく不測の事態があるとはいえ、いかに自然災害に誘発されたとしても、運行(航)判断を含めて人的な要素がないとはいえないだろう。それゆえ、このところたて続けて報じられてきた航空がらみのエラーに注目してきたのである。これは大事故が近くに起こるのではないか? そう思ってきた矢先の連続大事故であった。
リンク記事では、スペインでの事故もまた、人的災害の要素が大きい可能性が示唆されている。「飛行機が変だ、おろしてくれ!」と乗客が機体に異変を感じていたことなどが指摘され、整備不良がっても離陸せよという方針を航空会社が持っているという説も紹介されている。詳細はリンク記事をご覧いただきたいが、これら(の証言)がそのまま事実であろうとなかろうと、事故会社の経営が芳しい状況にないという点について注目していく必要はある。
そしてキルギスでの墜落。報道によれば、離陸直後に機内の減圧を示す警報が作動、空港に引き返すための旋回中に急降下し墜落、炎上したという。まだほぼ第一報の段階であり、事故原因の究明もなにもあったものではないとは思うが、これまでの事故や伝えられる状況から推測するに、ここでもまた整備不良という人的エラーがあった可能性が臭う。
ざっとみるだけでも、カンタス航空の連続トラブル(マニラ、シドニーなど/7月25日〜8月3日)、大韓航空の計器誤作動による代替着陸(千歳/7月17日)、ベトナム航空の成田着陸後の発火事故(7月30日)、全日空機のエンジントラブルによる緊急着陸(福島/8月10日)、全日空機のオイル漏れ(宮崎/8月16日)など、なかにはかなり際どい事件も起きている。マニラで起きたカンタス機の事故などは、一歩間違えば1985年に起きた日航機墜落事故に匹敵する惨事につながりかねなかったことも指摘されているが、そんななかで起きてしまったのが2件の大事故なのである。はたして、これらのトラブルは未然に防ぐことのできない性質を持つものだったのだろうか?
むろん、こうした事実をもってして「だから飛行機は危ない」などと単純化するつもりは一切ないが、どうも航空業界の一部にモラルの低下が蔓延しつつあるのではないかという気がしてならない。「日刊ベリタ」のリンク記事にある「会社は整備士に対し、たとえ準備ができてなくても離陸の許可をだすように圧力をかけていた」という事故会社の元パイロットの証言が仮に事実だとすれば、もちろんそれはとんでもないことではあるが、こうしたモラルの緩みが軽重の度合いは別としてあちらこちらにないとはいえず、広範なモラルの引き締めが必要なのではないだろうかと思うのである。
現在、航空業界は経営的に厳しい状況にあるといわれる。原油高に由来する運航コストの増大と旅客数の減少があり、国内・国際を問わず路線の再編を迫られている。そのなかには自由化に伴い開業したはいいけれど採算がとれずに撤退する路線みられ、これについてはまた別の機会に触れたいと思うが、ひとつのデータとして、今年の第4四半期における航空旅客便の座席数が、前年比で全体の7%にあたる5969万席を減らすという見方もあり(OAG/8月6日)、全体として先行きの見通しが明るいとはいえないに違いない。利用者としては、そうしたマイナス要因のしわ寄せが安全面に及ばないことを願うのみである。
■これも人災
話は変わるが、栃木県鹿沼市で起きた女性の水死事故。豪雨による冠水で乗っていた軽乗用車に閉じ込められ亡くなったという事件だが、ここで大きな問題とされているのは被害者が警察と消防にSOSの電話を入れていながら実際の救助がなされなかったというところである。多発する同種の通報があるなか現場が混乱、通報の誤認などが重なったことが伝えられているが、集中豪雨という異状事態のさなかだったとはいえ、亡くなったのは人災のほかならない。
報道によれば、現場はかつてから危険が指摘されておりながら事実上行政から放置されてきていたという。こうした市街地での洪水は、その背後に街づくりのミスあるいは災害に対する楽観が潜んでいると個人的に思っているが、それに加えて通報内容を誤認するなどは行政側の重大な責任があることを否定できないであろう。
今回の事件にさいして、十全な謝罪と補償がなされるとともに、ほかすべての行政が他山の石として自らの責任というものを自覚してほしいと思う。再三繰り返すように、国や自治体、さらに一部の企業でもやれ「テロ対策」がどうのなどとお題目を挙げているし、関連する(と強弁する)立法を急ぐムキもあるが、そんなものは立法やお題目云々以前の問題であって、今回のような日常の市民生活と隣り合わせにある災害にですら満足に対応できないという実態こそがなによりも改善されなければならない。もちろん(テロ云々にせよ)本当に必要であるならば法の整備もやむを得ないという見方もあるとは思うが、こうした実態をみせつけられるとそれ以前の問題という気がしてならない(テロについていえば、現行法の範疇ではダメなのかをきちんと検討し国民に開示する必要があるのだが、おそらくはできまい)。まさに人災の温床はそこここにある。
「あんたはそう言うけれど、飛行機ってのはクルマなんかに比べればずっと事故は少ないんだよ」
“旅行は汽車に限る”という類の話題のなかで、ある友人がそう言い切った。こちらが鉄道びいきなのは仕方ないとして、「ほら、飛行機は事故が怖いし」と軽口をたたいたのに応じてきたものだ。
「だいたい、飛行機事故なんてのは、機体の整備不良とかそういったエラーの結果がほとんど」
ようは飛行機という乗り物そのものが危険なのではなく、それを動かず側に問題があるというわけである。しかし、それはごくあたりまえのことで、飛行機に限らずクルマや鉄道などの事故の要因には人的エラーが多分に関係している。例外として考えられるケースに天候不良に基づく不測の事態があるとはいえ、いかに自然災害に誘発されたとしても、運行(航)判断を含めて人的な要素がないとはいえないだろう。それゆえ、このところたて続けて報じられてきた航空がらみのエラーに注目してきたのである。これは大事故が近くに起こるのではないか? そう思ってきた矢先の連続大事故であった。
リンク記事では、スペインでの事故もまた、人的災害の要素が大きい可能性が示唆されている。「飛行機が変だ、おろしてくれ!」と乗客が機体に異変を感じていたことなどが指摘され、整備不良がっても離陸せよという方針を航空会社が持っているという説も紹介されている。詳細はリンク記事をご覧いただきたいが、これら(の証言)がそのまま事実であろうとなかろうと、事故会社の経営が芳しい状況にないという点について注目していく必要はある。
そしてキルギスでの墜落。報道によれば、離陸直後に機内の減圧を示す警報が作動、空港に引き返すための旋回中に急降下し墜落、炎上したという。まだほぼ第一報の段階であり、事故原因の究明もなにもあったものではないとは思うが、これまでの事故や伝えられる状況から推測するに、ここでもまた整備不良という人的エラーがあった可能性が臭う。
ざっとみるだけでも、カンタス航空の連続トラブル(マニラ、シドニーなど/7月25日〜8月3日)、大韓航空の計器誤作動による代替着陸(千歳/7月17日)、ベトナム航空の成田着陸後の発火事故(7月30日)、全日空機のエンジントラブルによる緊急着陸(福島/8月10日)、全日空機のオイル漏れ(宮崎/8月16日)など、なかにはかなり際どい事件も起きている。マニラで起きたカンタス機の事故などは、一歩間違えば1985年に起きた日航機墜落事故に匹敵する惨事につながりかねなかったことも指摘されているが、そんななかで起きてしまったのが2件の大事故なのである。はたして、これらのトラブルは未然に防ぐことのできない性質を持つものだったのだろうか?
むろん、こうした事実をもってして「だから飛行機は危ない」などと単純化するつもりは一切ないが、どうも航空業界の一部にモラルの低下が蔓延しつつあるのではないかという気がしてならない。「日刊ベリタ」のリンク記事にある「会社は整備士に対し、たとえ準備ができてなくても離陸の許可をだすように圧力をかけていた」という事故会社の元パイロットの証言が仮に事実だとすれば、もちろんそれはとんでもないことではあるが、こうしたモラルの緩みが軽重の度合いは別としてあちらこちらにないとはいえず、広範なモラルの引き締めが必要なのではないだろうかと思うのである。
現在、航空業界は経営的に厳しい状況にあるといわれる。原油高に由来する運航コストの増大と旅客数の減少があり、国内・国際を問わず路線の再編を迫られている。そのなかには自由化に伴い開業したはいいけれど採算がとれずに撤退する路線みられ、これについてはまた別の機会に触れたいと思うが、ひとつのデータとして、今年の第4四半期における航空旅客便の座席数が、前年比で全体の7%にあたる5969万席を減らすという見方もあり(OAG/8月6日)、全体として先行きの見通しが明るいとはいえないに違いない。利用者としては、そうしたマイナス要因のしわ寄せが安全面に及ばないことを願うのみである。
■これも人災
話は変わるが、栃木県鹿沼市で起きた女性の水死事故。豪雨による冠水で乗っていた軽乗用車に閉じ込められ亡くなったという事件だが、ここで大きな問題とされているのは被害者が警察と消防にSOSの電話を入れていながら実際の救助がなされなかったというところである。多発する同種の通報があるなか現場が混乱、通報の誤認などが重なったことが伝えられているが、集中豪雨という異状事態のさなかだったとはいえ、亡くなったのは人災のほかならない。
報道によれば、現場はかつてから危険が指摘されておりながら事実上行政から放置されてきていたという。こうした市街地での洪水は、その背後に街づくりのミスあるいは災害に対する楽観が潜んでいると個人的に思っているが、それに加えて通報内容を誤認するなどは行政側の重大な責任があることを否定できないであろう。
今回の事件にさいして、十全な謝罪と補償がなされるとともに、ほかすべての行政が他山の石として自らの責任というものを自覚してほしいと思う。再三繰り返すように、国や自治体、さらに一部の企業でもやれ「テロ対策」がどうのなどとお題目を挙げているし、関連する(と強弁する)立法を急ぐムキもあるが、そんなものは立法やお題目云々以前の問題であって、今回のような日常の市民生活と隣り合わせにある災害にですら満足に対応できないという実態こそがなによりも改善されなければならない。もちろん(テロ云々にせよ)本当に必要であるならば法の整備もやむを得ないという見方もあるとは思うが、こうした実態をみせつけられるとそれ以前の問題という気がしてならない(テロについていえば、現行法の範疇ではダメなのかをきちんと検討し国民に開示する必要があるのだが、おそらくはできまい)。まさに人災の温床はそこここにある。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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