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猫池罵詈雑言雑記帳
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 参院選の詳細な数字が新聞等に掲載されているのであれこれチェックしてみているが、まず目を惹くのは投票率の乏しさであろう。自民劣勢のなか有権者の関心が高まっていたことが指摘され、事前投票の高さなどもあったが6割にも満たないとはねぇ。前回とくらべれば確かに上昇しているが(青森・群馬・三重・山口・福岡・大分・宮崎・鹿児島の各県では減少)、関心の高さがあったとしてもこのていどだとは驚きである。なかには投票先の見当たらない“無言の抗議”の類が含まれる可能性もあるけれど、たとえ1票(今回の場合は2票だが)だとしても権利を棄てることは結局は権力側に利することになってしまいかねない。無口は災いの元である。

 自民惨敗という副題がついた今回の結果だが、子細にみてゆくとそうとも言い切れない部分がある。比例区でみると、たとえば東京では前回の26・5%から26・1%とわずかに得票率を減らしているけれど、実数でみれば同じく146万3606票から153万9810票と7万6204票を増やしている一方で、民主の得票率は38・9%で前回のママなのである(実数では214万6755→229万6555)。同じ都市部でみると大阪でも近い現象がみられる。ここでは自民、民主ともに得票率を減らしているが、その度合いは民主のほうが深刻なまでの大きい(自民:24・5→23・1、民主:35・4→34・2)。反面、あのQマちゃんのお膝元である長崎では自民が4・3%も落としたなかで民主が7・5%伸ばしていたり、山梨や福島のように10%近くも民主が伸びた部分もあるが、全体を均してみると言われているほどの自民惨敗・民主大躍進なのかどうかいささかの疑問が湧いてくるのである。  


 比例区でかくのごとくの状況であるにも拘わらず、今回に限って自・民間のここまでの差が生じたのは、いうまでもなく選挙区での議席獲得の度合いが大きかったからであろう。比例区だけでみれば前回も民主が自民に対して圧勝しているのだが、当選者数で大きく及ばなかったという結果が、今回は逆転したということなのである。理由については子細に調べていってもシロウトの目には及ばない部分もあるのだと思うが、政権自らが選挙制度のマジックに陥ったという見方も不可能ではないだろう。
 そんなこんなでいちおうは自創政権に対して楔が打ち込まれた形ではあるのだが、すでにあちらこちらで論評されているように、民主の獲得票のなかには少なくない割合で民主支持ではなく自民不支持のさしあたりの受け皿にすぎない面があることに注意を払うべきである。
 前回も記したとおり、民主は有権者の錯覚あるいは幻想によって支えられている部分がある。いみじくもNHKのアナウンサーが「保守の強い山形県で民主が当選」のように口走ってしまったように、保守に対抗する勢力だと受取られている面がなきにしにもあらずなのである。しかし実際は自民の一派閥といっても差しつかえのない面を持つれっきとした保守政党であり、いかに主流と一線を画した民主的な議員も抱えているとはいっても、大勢としては本家とそう大きな違いがあるわけではない。ようは過当評価によって得たのが今回の大躍進なのである。

「日刊ベリタ」にリンクされていたブログ記事「リベラル21・民主党候補者の護憲度」には、憲法および自衛隊を含む集団的自衛権の行使という点について今回の選挙における民主党候補者の姿勢が洗い出されている。
 改憲の核心部分である9条について、選挙区では36人が護憲的立場(破棄または無回答は9人)と案外少なくないが、比例区に目を移すと護憲的立場が17人に対して破棄あるいは無回答者が18人となる。しかし、9条に拘わらず改憲を是とする割合は全体79人中34人(ほかに無回答14)にものぼる。9条撤廃を表明していない候補者(アンケート時)が具体的にどのような部分を改憲すべしと考えているのかはここからは読み取れない部分もあるが、これが民主党である。選挙区はとにかくとして、比例区は要注意といったところではないだろうか。もちろん、こうした実態を踏まえたうえで彼らに同調し票を投じるというのはいい。だが、錯覚あるいは単に「アンチ自民」というていどのスタンスで票を入れることについては、今後の課題のひとつといえるだろう。まぁ、そんなことわかっているという声も少なくないとは思うが……。

 とはいえ、現政権にしても国民に望まれている政権でないという点では民主とそう大差があるわけでもない。世論調査では不支持率が過半数を占めるおぼっちゃん内閣(しかし“おぼっちゃん”ではあるけれど、その正体は「
民主主義に公然と歯向かう、前時代的な危険な政治家 」@白川勝彦氏である)。そのうえ選挙では「自公ではダメだから」と圧倒的な敗北を喫した政権である。もちろんこの「ダメだから」にはおぼっちゃんを含む内閣に対する不信任も大いに含まれる。なのに政権を継続するとはどうしたことか? 果たして改憲に力を注ぐだの消費税を上げるだのとさっそく放言されている始末だが、すでに選挙という形で主権者が異義を結集しているのである。これをことごとく無視するとなれば、それはすでに民主国家とはいえず、前近代的な独裁国家(北朝鮮のようにネ)と大差がないということになってしまうだろう。あのアベという中年ぼっちゃんが、人智を遥かに超える鈍感な人物なのかどうかはわからないが、あそこまで厚顔無恥に耳目を閉じられるとは、逆の見方をすればうらやましいことだともいえる。もっとも、真に鈍感なのは、それでもなお選挙にも参加せず消極的であれ積極的であれ、自分のクビを絞める連中を支持してしまう大衆なのかもしれないが……。


*おまけ:
 いまひとつ指摘しておかなければならないのは共産の衰退であろう。
「しんぶん赤旗」などによれば、共産は選挙に向けて「5議席確保」をひとつの目標にしていたが、そのじつ内部では「3議席」という見通しがなされていたという情報も得ている。これに目標として東京選挙区の1議席を含めての4議席だが、選挙前から厳しい情勢にあって、事実上3議席というのが執行部での現実的な目標であったというのである。だとずれば、ずべてとはいわないがいくつかの選挙区で沖縄がそうだったように共闘がなぜできなかったのかということになってしまう。これにはもちろん双方の問題もあろうが、当選した川田龍平氏(東京)や残念な結果にはなってしまったが天木直人氏(比例:9条ネット)のような候補者はほかにもいたハズである。やや弁護をすれば、候補者を擁立し選挙戦を戦うということで党勢を維持しているという面もあるのではないかという気もするのだが、100あれば100の合致ではなくとも、積極的に共闘の道を探るべきではないのか? こんなモノ言いの仕方はよくないが、民主の特定候補者の支持に回り、貸しをつくることだってできなくもないだろう。このことはすなわち、民主内部でタカ派を抑制することにもつながるのではないかと思うのだが。また、そうしたある種の歩みよりの姿勢をみせることが、同時に有権者の目を向けさせることにもなると考える。つぎの選挙に向けての急務であろう。


*おまけ2:
 自民党内部にも、さすがに首相退陣を求める動きもあるという。まぁ、こんな状態でそれすらできないのであれば、もはや自民に民主的ななにを求めてもムダということの証明にはなるが、そのセンスたるや「(退陣しないと)次の選挙で振り子現象を期待するのは難しい」(石破茂・元防衛長官・衆院鳥取1区)なのだからなにをかいわんやというところだ。いつものことですがね。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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