自動車をはじめとする輸出産業の苦戦が連日のニュースにのぼっている。また、関連する企業における一方的クビ切りが広がりをみせており、景気悪化をさらに上塗りする状況をみせている。しかしである。
「大手16社 内部留保最高」……。12月24日づけ「東京新聞」朝刊1面は、トヨタ自動車やキヤノンなどをはじめとする大手製造業16社において、内部留保が空前の規模にのぼっていることを伝えた。内部留保とは、利益から配当金などを差し引いて表わされているが、該当16社だけでその合計額がおよそ33兆6000億円にのぼっているというのだ(08年9月)。
「大手16社 内部留保最高」……。12月24日づけ「東京新聞」朝刊1面は、トヨタ自動車やキヤノンなどをはじめとする大手製造業16社において、内部留保が空前の規模にのぼっていることを伝えた。内部留保とは、利益から配当金などを差し引いて表わされているが、該当16社だけでその合計額がおよそ33兆6000億円にのぼっているというのだ(08年9月)。
じつはこうした事実はかなり以前から「しんぶん赤旗」が伝えてきており、いまさら驚くような内容ではない。
※http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-06/2008120601_02_0.html
上にリンクしたのは最近での一例であり、不況に陥る以前のデータが主体になっている報道だが、今回の「東京新聞」の報道はそれをさらに上積みして伝えることとなった。「東京」の同記事によれば、
「過去の好景気による利益が、人件費に回らず企業内部にため込まれている」
であり、
「減益見通しにもかかわらず増配予想を変えていないのはソニー、パナソニック」
である。
会社の売上げと利益に貢献してきたハズの従業員に十分に報いてこなかったばかりか、いざ風向きが変わるやさっさとクビにすればいいというさなかのこの矛盾。背景のひとつにはいうまでもなく株主重視という企業の方針があるが、こんなものはまさに社会規範皆無のアブクゼニ経営といえよう。
そもそもが、派遣や請負いなどという格安な──ひとの弱味につけ込んだ──労働力にい頼って利益を膨らませてきたのである。いざ状況が悪化しそうになるや否や一方的にクビを切る動きに対して一部労働者が立ち上がっているが、「資本家の搾取と労働者」という一時はカビが生えたような扱いで過去のモノとされた資本主義の実態が、じつはなんら進歩していなかったということなのかもしれない(*注)。暴力団顔負けの悪辣ぶりである。
さらに、それだけでなく大企業に対する優遇減税をまかり通らせたがゆえの内部留保増大でもあることにも目を向けるべきだ。消費税をはじめとするわれわれ一般庶民に対する増税のうちのいくつかは、彼ら一部資本家に対する減税ぶんの穴埋めとなっているという実態があるからである。しかし、内部留保の肥大そのものは、株主ら“外馬ギャンブラー”からの疑念を招き、経営の根幹にすら悪影響を及ぼす要因をはらむともいわれる。したがって、減益や先々への見通しが開けないなかにあって増配などという事態を招いているのであろう。ようは国家を巻き込んだ八百長によって肥満し、ところが製造業として本来目を向けるべき消費を見極める能力に欠いていたということではないのか。わが国を代表するとさえいわれる“一流企業”の、これが実態のようである。
「かつては人員整理が起きると、その企業はアブナイと理解され株価が下がったものだが、現代ではリストラ敢行を受けて株価が上がる」
ある講演で斉藤貴男氏(ジャーナリスト)が発言していたが、こんな実態がまかり通っている事実について、われわれは冷徹な視線を向ける必要があろう。ごく限られた層を中心とするひとりよがりな連中によって市場が賭博場と化し、その“賭け状況”に一喜一憂する経営者と企業。愚かなり。企業としての社会的責任を顧みることがないばかりか、極論すれば社会の足を引っ張っているとさえ思う。
内部留保2兆8000億円、配当110円(維持)、人員削減1700人(判明分)──キヤノン
内部留保12兆3000億円、配当未定、人員削減5800人(同)──トヨタ自動車
内部留保33兆6000億円、人員削減4万0095人(同)──該当16社計(数字は「東京新聞」12月24日朝刊から引用)
「ふざけるな!」とはこのことだ。
*注:
ただし、ゆえに資本主義がダメということにはならない。現在の資本主義が方向を誤り、本来あるべき健全性を損ねているともいえるからだ。
※http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-06/2008120601_02_0.html
上にリンクしたのは最近での一例であり、不況に陥る以前のデータが主体になっている報道だが、今回の「東京新聞」の報道はそれをさらに上積みして伝えることとなった。「東京」の同記事によれば、
「過去の好景気による利益が、人件費に回らず企業内部にため込まれている」
であり、
「減益見通しにもかかわらず増配予想を変えていないのはソニー、パナソニック」
である。
会社の売上げと利益に貢献してきたハズの従業員に十分に報いてこなかったばかりか、いざ風向きが変わるやさっさとクビにすればいいというさなかのこの矛盾。背景のひとつにはいうまでもなく株主重視という企業の方針があるが、こんなものはまさに社会規範皆無のアブクゼニ経営といえよう。
そもそもが、派遣や請負いなどという格安な──ひとの弱味につけ込んだ──労働力にい頼って利益を膨らませてきたのである。いざ状況が悪化しそうになるや否や一方的にクビを切る動きに対して一部労働者が立ち上がっているが、「資本家の搾取と労働者」という一時はカビが生えたような扱いで過去のモノとされた資本主義の実態が、じつはなんら進歩していなかったということなのかもしれない(*注)。暴力団顔負けの悪辣ぶりである。
さらに、それだけでなく大企業に対する優遇減税をまかり通らせたがゆえの内部留保増大でもあることにも目を向けるべきだ。消費税をはじめとするわれわれ一般庶民に対する増税のうちのいくつかは、彼ら一部資本家に対する減税ぶんの穴埋めとなっているという実態があるからである。しかし、内部留保の肥大そのものは、株主ら“外馬ギャンブラー”からの疑念を招き、経営の根幹にすら悪影響を及ぼす要因をはらむともいわれる。したがって、減益や先々への見通しが開けないなかにあって増配などという事態を招いているのであろう。ようは国家を巻き込んだ八百長によって肥満し、ところが製造業として本来目を向けるべき消費を見極める能力に欠いていたということではないのか。わが国を代表するとさえいわれる“一流企業”の、これが実態のようである。
「かつては人員整理が起きると、その企業はアブナイと理解され株価が下がったものだが、現代ではリストラ敢行を受けて株価が上がる」
ある講演で斉藤貴男氏(ジャーナリスト)が発言していたが、こんな実態がまかり通っている事実について、われわれは冷徹な視線を向ける必要があろう。ごく限られた層を中心とするひとりよがりな連中によって市場が賭博場と化し、その“賭け状況”に一喜一憂する経営者と企業。愚かなり。企業としての社会的責任を顧みることがないばかりか、極論すれば社会の足を引っ張っているとさえ思う。
内部留保2兆8000億円、配当110円(維持)、人員削減1700人(判明分)──キヤノン
内部留保12兆3000億円、配当未定、人員削減5800人(同)──トヨタ自動車
内部留保33兆6000億円、人員削減4万0095人(同)──該当16社計(数字は「東京新聞」12月24日朝刊から引用)
「ふざけるな!」とはこのことだ。
*注:
ただし、ゆえに資本主義がダメということにはならない。現在の資本主義が方向を誤り、本来あるべき健全性を損ねているともいえるからだ。
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