“振り込め詐欺”なる犯罪が相変わらず起きており、テレビニュースなどで取り上げられる機会も多い。以前にも触れたことがあるけれど、個人的にはこれは詐欺事件などではなく脅迫事件であると考えているが、ここまで騒ぎが続くなかにあってなおも“詐欺”被害者が出てくるというのはいったいなんなのだろうという気もする。
なかには電話で受け渡し場所に呼び出されて数百万の現金を渡したところ、受取った相手がその場から駆け出した段になってやっとこさ異状に気づいたという事件もあった。この事件ではカネを渡した側が大声を出して通行人にアピールし、容疑者は無事に逮捕されたそうだけれど、数百万の現金をポンと用意し、それを身元の知れぬ相手に手渡してしまうあたり、これはもう一般的な詐欺事件でよくいわれるように、被害者のなかにはなるべくしてそうなったひとも少なくないのではないかとクビをかしげざるをえないのである。
なかには電話で受け渡し場所に呼び出されて数百万の現金を渡したところ、受取った相手がその場から駆け出した段になってやっとこさ異状に気づいたという事件もあった。この事件ではカネを渡した側が大声を出して通行人にアピールし、容疑者は無事に逮捕されたそうだけれど、数百万の現金をポンと用意し、それを身元の知れぬ相手に手渡してしまうあたり、これはもう一般的な詐欺事件でよくいわれるように、被害者のなかにはなるべくしてそうなったひとも少なくないのではないかとクビをかしげざるをえないのである。
ただ、そうはいっても犯行そのものものを止める必要はあるのであり、容疑者摘発を含めてより厳しい対応をしてゆくことも大切であろう。ごく単純には、摘発され犯罪が証明されたあかつきには一歩進んだ厳罰(仮に懲役刑であれば刑期を加算するなど)を施してもいいのではないかと思うし、現状で進められているように、被害者予備群に対する啓蒙活動を拡げてゆくことも重要な手段ではないかと考えている。
ところで、16日になって警視庁が新たな施策に打って出たという報道があった。
報道によれば、“振り込め詐欺事件”において、ATMからの現金の引出し役とみられる男10人の顔写真を警視庁が公開、これによって情報提供などを求めるとともに犯行を牽制する狙いも打ち出しているらしい。
公開された男たちの写真は、いずれもATMに設置された監視カメラによって撮影されたものと思われ、昨年1月から10月までの間に、“振り込め詐欺事件”にからんで東京都内のコンビニや銀行のATMから現金を繰り返し引き出すさいにカメラが捉えたものなのであろう。部内では彼らのことを“出し子”と呼んでいるようだが、なかには56回にわたって総額1530万円を引き出していた男もいるというから、おそらく警視庁内で厳しいマークを続けてきた人物なのに違いない。
しかし、テレビニュースに映し出された配布チラシに、彼らをさして「犯人」とハッキリと名指しされているところにまず違和感を覚えた。彼らは、たとえ限りなく犯罪の実行者であることが疑われるとしても、それが即“犯人”であるとは言い切れないのではないか? さらにいえば、摘発以前の段階での容疑を固めるにあたいするだけの“実績”を彼らが臭わせていたとしても、現時点では容疑者にすらなっておらず、いわんや“犯人”と決めつけてしまっていいのだろうかと思ったのだ。しかも、ここで提示されている資料は(おそらく)監視カメラによって隠し撮りされたにすぎないシロモノである。それを公開するからには、当然それ相応の捜査と根拠があってのことだろうけれど、こんな段階で犯人扱いとは、あえていえば冤罪を生み出す可能性も指摘しておかなければならないのではないだろうか。さらにいえば、こういう捜査にあたって、つまり容疑者不詳のまま逮捕状もとれない段階で、法的根拠は大丈夫なのだろうかという疑問も湧く。
なかには「中学の同級生に似ている」「交際していた男に似ている」といった“情報提供”も寄せられているというが、いかに現実の犯行が悪辣だったとしても、こんな見込み捜査に毛の生えたような手段をとざらるをえない警視庁とはなんなのだろうかと思う。さらに、こうした前例が積み重ねられ、やがて別の方向に利用されることはないのかという点についても、善良な一般市民として警戒の目を向けなければなるまい。
*補足:
念のために書き添えておくと、こうした犯罪の捜査や抑止に関して、警察がそれ相応の策を練るなどをして努力していることは認めている。問題は、今回の例が容疑者以前の段階で“犯人”と決めつけることについての違和感と、こうした手段が無辜の市民に及ぼすある種の影響力はどうかというところにある。公式に警察が“犯人”と銘打ったのだ。これは言葉のアヤで済まされる問題ではない。
ところで、16日になって警視庁が新たな施策に打って出たという報道があった。
報道によれば、“振り込め詐欺事件”において、ATMからの現金の引出し役とみられる男10人の顔写真を警視庁が公開、これによって情報提供などを求めるとともに犯行を牽制する狙いも打ち出しているらしい。
公開された男たちの写真は、いずれもATMに設置された監視カメラによって撮影されたものと思われ、昨年1月から10月までの間に、“振り込め詐欺事件”にからんで東京都内のコンビニや銀行のATMから現金を繰り返し引き出すさいにカメラが捉えたものなのであろう。部内では彼らのことを“出し子”と呼んでいるようだが、なかには56回にわたって総額1530万円を引き出していた男もいるというから、おそらく警視庁内で厳しいマークを続けてきた人物なのに違いない。
しかし、テレビニュースに映し出された配布チラシに、彼らをさして「犯人」とハッキリと名指しされているところにまず違和感を覚えた。彼らは、たとえ限りなく犯罪の実行者であることが疑われるとしても、それが即“犯人”であるとは言い切れないのではないか? さらにいえば、摘発以前の段階での容疑を固めるにあたいするだけの“実績”を彼らが臭わせていたとしても、現時点では容疑者にすらなっておらず、いわんや“犯人”と決めつけてしまっていいのだろうかと思ったのだ。しかも、ここで提示されている資料は(おそらく)監視カメラによって隠し撮りされたにすぎないシロモノである。それを公開するからには、当然それ相応の捜査と根拠があってのことだろうけれど、こんな段階で犯人扱いとは、あえていえば冤罪を生み出す可能性も指摘しておかなければならないのではないだろうか。さらにいえば、こういう捜査にあたって、つまり容疑者不詳のまま逮捕状もとれない段階で、法的根拠は大丈夫なのだろうかという疑問も湧く。
なかには「中学の同級生に似ている」「交際していた男に似ている」といった“情報提供”も寄せられているというが、いかに現実の犯行が悪辣だったとしても、こんな見込み捜査に毛の生えたような手段をとざらるをえない警視庁とはなんなのだろうかと思う。さらに、こうした前例が積み重ねられ、やがて別の方向に利用されることはないのかという点についても、善良な一般市民として警戒の目を向けなければなるまい。
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念のために書き添えておくと、こうした犯罪の捜査や抑止に関して、警察がそれ相応の策を練るなどをして努力していることは認めている。問題は、今回の例が容疑者以前の段階で“犯人”と決めつけることについての違和感と、こうした手段が無辜の市民に及ぼすある種の影響力はどうかというところにある。公式に警察が“犯人”と銘打ったのだ。これは言葉のアヤで済まされる問題ではない。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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