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猫池罵詈雑言雑記帳
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 年金問題や自衛隊スパイ活動の暴露をはじめとして、数々のスキャンダルなど逆風が取り沙汰され続けている現政権だが、「朝日新聞」が継続して実施している世論調査をみると、いまだ“高水準”の支持率を保持しているようだ。
http://www.asahi.com/politics/update/0625/TKY200706250371.html

 7月23・24日の実施ぶん(第7回連続世論調査)では、内閣支持率は31%。不支持率は48%で一見すると低迷しているようにも感じられるが、だれだけ“失態”の類が続出しているなか、異常なまでの高率だといっていいのではないだろうか。ここ3回(第5〜7回)の動向では、支持率は34→32→31%、不支持率は48→51→48%である。不支持率はけっして低いとはいえないが、現政権のどこに支持すべき要素があるのかさっぱり理解できない立場にある者の見方とすれば、これは驚くべき高支持率だ(もっとも、不支持5割、支持3割台で居座る政権というのはなんなんでしょうかねというところではあるが)。  



「朝日新聞」の同記事によれば、比例区を想定した設問、「いま投票するとしたら」では「民主は29→26→23%と続けて下がった。自民は23→23→24%で横ばい」だという。これは、誤差を勘案するとほぼ同率にあるといえる。民主の伸びの鈍さはさもありなんという感じはするが、自民の場合はこれに創価学会票が加わるため、実質は数%アップするとみて間違いないだろう(*注1)。もちろん現時点で態度を示していない浮動層もあるし、民主以外の野党支持層もあることから、与党にとって楽観できる状況でないことには違いない。しかし、与党側にとってこれだけのマイナス要素があるなかの数字である。野党側はもっともっと危機感を抱いて国会や参院選にあたらなければ極めて厳しい結果が待っているように感じられるのだがいかがなものだろうか。

 さて、今回この世論調査を取り上げたのは、参院選を迎えての勢力争いについて触れたいわけでも、毎度毎度の政権批判をしたいからではない。なぜかくのごとく高い支持率が保持されているのか? ここである。
 ごく大雑把に推論すれば、不支持側に立つための要素がきちんと報道されていないところにひとつの原因があるのではないか? リンクした「朝日」の見出しは『年金問題「怒り続く」が92%』であり、回答の傾向をみても年金問題についてはその理解度はいろいろあるにせよ問題視されていることがわかる。しかしそれは当然であろう。自分たちの生活設計に直接関わってくる問題であるし、新聞やテレビをはじめとするマスメディアがそれなりに大きく伝えているからだ。これで問題視しないのであれば、本物のアホか家畜人ということになってしまう。

 しかし、年金と同等かあるいはそれ以上に深く国民生活に関わってくる案件が山積みしているというのが現政権だ。その最大のものが改憲といえるが、改憲以前としてすでに先取りした法案が次々と強行採決されては成立ないし成立に向かっている。戦前型教育統制法の入口たる「教育三法」があり、アメリカ合州国という1外国の侵略戦争のアウトソーシング業務を合法化させる一環としての「イラク派兵延長」があり、このところ表面的にはナリを潜めているけれど、平成版治安維持法たる「共謀罪」だって控えている。こんなのはごく一部に過ぎないが、支持率3割台の政権が押し進めている実態がこれである。なのだが、こうしたことはテレビや新聞で十分に報じられているだろうか? あるいはネット上の「ニュースサイト」(ヤフーなどに表示されるヘッドラインを含む。ようはだれの目にも止まりやすい媒体をここではさす)ではどうか? たとえば北海道を舞台に明らかになった食品擬装事件はこれでもかというほど連日ヘッドラインを賑わせているのにくらべて、そのほかの案件についての露出具合はどうだろうか(*注2)。
 このブログでも取り上げた自衛隊による国民監視についてのニュースなど、一部の例外を除いてはすでに大半のマスメディアに無視されている状態にすら思えるし、それは目に止まりやすい媒体になればなるほど顕著な傾向だ。また、当ブログではまだ取り上げていないが、日本青年会議所が製作した事実上の靖国宣伝および戦争賛美のアニメ(DVD『誇り』)を文部科学省が教育事業に採択していた問題(これは20日になって青年会議所側が辞退している)は、ごく一部の夕刊紙やネットニュースなどを除いては丸っきり黙殺されているといっていい。
 もうちょっと例を挙げれば、改憲に直接的に関係している「集団的自衛権」の解釈について、おぼっちゃんの私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)では、応戦を可能にするため、「集団的自衛権の行使を認めていない政府の憲法解釈を見直すべきだとする意見が大勢を占めた」というのだが、これがアメリカ合州国の侵略戦争において被侵略側の反撃に対する応戦が「集団的自衛権」だというのだからまっこと恐れ入る(まぁ、なれあいの“御用知識人”らによる出来レース的会合ですからにゃぁ)。だが、現憲法下で首相の機関がすでに憲法反故を“共謀”していることに関して、十分につっこんで取り上げた報道はごく限られている。

 つまりは材料不足なのだ。年金問題の不満や不安をほかのできごとでガス抜きさせ、いやむしろほかの重要案件を年金問題で目くらましさせている可能性すらあるが、コトの核心にできるだけ近寄らせないようにする。にも関わらず50%近い不支持率があるという見方もできるが、これが伝えるべきことを少なくともいまていど以上に取り上げるだけでどれほどの変化をするのか、そうなったときの内閣支持率はどうなるのか。
 そんなことを考えてゆくと、じつは一連の世論調査に現れる数字というのは事実であるには違いないが、多分に仕組まれた内容ではないのかという以前から取り沙汰されている疑念に結びついてゆく。たとえば自民と民主とを拮抗されるにはどうしたらいいか? いわゆる「二大政党制」を目論む側としては、いかにして世論を仕向け操るかという問題があり、そのためのツールのひとつして、日々の報道のあり方を捉える。世論調査というのは、その効果を計る方法であり、結果をひとつひとつ検証しながらつぎの一手を打つ。もちろん事実は事実として厳然とあるし、ウソを伝えるわけにはいかないにせよ、回答を客観的事実としてある方向に誘導することは可能であろう。「読売」や「産経」のようにあからさまに恣意的な内容にするまでもなく、露出の度合い(頻度や位置、見出しのつけかた・・・いろいろある)をはじめとして受け手の印象を違えることなどメディアのプロにかかればいかにも容易いことだからだ。日々の関心事を誘導するのである。

 ちょっと新聞やテレビをみているだけでも目まぐるしく情勢が動く現代にあって、なにに対して突っ込んでゆくかということはにわかには判断しきれない問題ではあるけれど、ごく大雑把にでもいい、メディアがなにを伝え、なにを無視しているのかを日々検証してゆく必要がある。


*注1:
 しかし、このプラスα効果があるために、自民の首根っこが押え込められているという見方もできる。ただし民主的な立場からではなく単に狂暴化させる力として。そして、そのプラスα集団が仮に民主に寝返ったらどうなるか? もちろん民主が受け入れるかどうかという問題はあるにせよ、長年の政権党=自民の基盤はそこまで脆弱なものとなっている。個人崇拝をベースに持つ集団に支えられ操られる哀れなる自民党。かつての自民には、個人的に意見の相容れない部分が多々あったにせよ、それでも評価せざるをえない一面もあった。しかしいまや……。
 心ある議員や党員よ、そろそろ我慢の限界になっているんじゃありませんか?


*注2:
 もちろんこの食品擬装は大問題だし、さらに拡がりをみせる可能性がなきにしにもあらずで重要事件のひとつではあるけれど、国政選挙を目前に控え、国政に関わる重要なできごとをさしおいてまで大きく取り上げる必要があるのかどうかについては疑問がある。ただし、事件を起こしたミートホープ社をめぐる従業員解雇問題や、一部で提起されつつある安売りについての是非などについては個人的に興味を惹く問題ではある。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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