いすみ鉄道は、大原と上総中野とを結ぶ26.8キロの非電化路線。国鉄時代は木原線を名乗っていたが、これは大原と木更津とを結ぶ計画があったため。房総半島核心部をの横断による外房と内房との交通需要は乏しく計画は頓挫、相方の久留里線も上総亀山で行き止まりになってしまったにも拘わらず、どういうワケか路線にその痕跡を残すこととなったのであった。そうして本来の相方と結ばれることはなかったのだが、上総中野では小湊鉄道と接続し、内房線の五井とを結ぶ横断ルートの半分を受け持つ。ともに非電化単線の細道であり、首都圏で生っ粋のローカル線の旅が味わえる貴重な存在なのである。
とはいえ、国鉄末期に関東で唯一「第1次廃止対象路線」にリストアップされたほどの閑散路線であり、JRから経営を引継いだ新会社もその経営は多難を極めていた。今世紀に入ってからも廃止が取り沙汰され存続が危ぶまれるほどの厳しい状況だったのである。
ところが、その状況下にあって社長を公募するなどのユニークな施策を開始、オリジナル商品の開発や鉄道をからめた各種イベントを主催するなど、積極的な経営に乗り出したのであった。これが奏効したのか、廃止寸前にあった鉄路をどうにか守り抜くことに成功。そうした流れのなか、昨年末にはJR西日本から国鉄型気動車キハ52を譲り受け、今年のGWを期に「観光急行列車」として定期運転をはじめたのである。
今回の取材は、そのキハ52乗車を軸に同線のある1日を切り取ってみようというものだったのだが、ひとことでまとめれば、とにかくひとのぬくもりに満ちた鉄道だったということになる。
起点の大原駅では「いらっしゃいませ」と明るい肉声と笑顔とで迎えられた。発車時刻が近づくころ、できたての駅弁が駅舎内に用意された。車内では車掌の肉声による細やかな案内。途中の国吉では観光停車があり、乗客がめいめいに駅構内の散策を楽しむ。発車時には駅舎からスタッフが手をふっての見送り。大多喜から乗継いだ一般車でも、「よかったら写真でもどうぞ」とみどころで運転士が声をかけてくれる。上総中野で降りるさいには運転士も乗客もお互いに「ありがとうございました」。それだけでなく、沿線の車窓にも列車に手をふる市民の姿がそこここでみられた。まさに郷土の鉄道ここにありといった感じだ。
かように素晴らしく変身したいすみ鉄道。友人ともども大満足の小旅行となったが、それだけに悪目立ちしたのがJR東日本のしょぼさであった。あまり文句ばかり言うのも気が引けるけれど、JR大原駅のツマラナさといったらどうか。駅舎にもホームにも、駅員の姿をこれっぽちもみけかることがなかった(乗ってきた列車到着時、駅舎のなかに引っ込んだまま精算業務に追われていたようにもみえたが、あるいは精算の行列は自動精算機が相手だったのかもしれん)。もちろん下車客を出迎えるのが自動改札だったというはこのさい措くとしても、せっかくある出札窓口は「自販機で買え」といった類の書き置きをくっつけて締切られたまま……。あれじゃ無人駅と変わりゃしない。ところが、ガラス戸1枚隔てたいすみ鉄道の駅舎を訪うと、すでに述べたように積極的な歓待が待っていたのである。片や廃止寸前にまで追い込まれていた小さな鉄道会社。片やわが国の代表する鉄道会社にして1部上場企業である。大企業ほど接客がなっていない(例外はいちおうあるが)というのは世の常かもしれないが、東日本旅客鉄道株式会社のどうしようもなさがことさらに引き立った大原駅でありいすみ鉄道の旅であったことは否定のしようがない。
ちなみに、いすみ鉄道にはJR東日本からの出向社員も多いらしい。ところが現場レベルでみられたあの格差とは、ようは経営者の姿勢の問題なのではないか。ここはひとつ、社長はもとより、経営サイドの面々はいすみ鉄道にこぞって教えを請うなりしてみたらいかがか?
とはいえ、国鉄末期に関東で唯一「第1次廃止対象路線」にリストアップされたほどの閑散路線であり、JRから経営を引継いだ新会社もその経営は多難を極めていた。今世紀に入ってからも廃止が取り沙汰され存続が危ぶまれるほどの厳しい状況だったのである。
ところが、その状況下にあって社長を公募するなどのユニークな施策を開始、オリジナル商品の開発や鉄道をからめた各種イベントを主催するなど、積極的な経営に乗り出したのであった。これが奏効したのか、廃止寸前にあった鉄路をどうにか守り抜くことに成功。そうした流れのなか、昨年末にはJR西日本から国鉄型気動車キハ52を譲り受け、今年のGWを期に「観光急行列車」として定期運転をはじめたのである。
今回の取材は、そのキハ52乗車を軸に同線のある1日を切り取ってみようというものだったのだが、ひとことでまとめれば、とにかくひとのぬくもりに満ちた鉄道だったということになる。
起点の大原駅では「いらっしゃいませ」と明るい肉声と笑顔とで迎えられた。発車時刻が近づくころ、できたての駅弁が駅舎内に用意された。車内では車掌の肉声による細やかな案内。途中の国吉では観光停車があり、乗客がめいめいに駅構内の散策を楽しむ。発車時には駅舎からスタッフが手をふっての見送り。大多喜から乗継いだ一般車でも、「よかったら写真でもどうぞ」とみどころで運転士が声をかけてくれる。上総中野で降りるさいには運転士も乗客もお互いに「ありがとうございました」。それだけでなく、沿線の車窓にも列車に手をふる市民の姿がそこここでみられた。まさに郷土の鉄道ここにありといった感じだ。
かように素晴らしく変身したいすみ鉄道。友人ともども大満足の小旅行となったが、それだけに悪目立ちしたのがJR東日本のしょぼさであった。あまり文句ばかり言うのも気が引けるけれど、JR大原駅のツマラナさといったらどうか。駅舎にもホームにも、駅員の姿をこれっぽちもみけかることがなかった(乗ってきた列車到着時、駅舎のなかに引っ込んだまま精算業務に追われていたようにもみえたが、あるいは精算の行列は自動精算機が相手だったのかもしれん)。もちろん下車客を出迎えるのが自動改札だったというはこのさい措くとしても、せっかくある出札窓口は「自販機で買え」といった類の書き置きをくっつけて締切られたまま……。あれじゃ無人駅と変わりゃしない。ところが、ガラス戸1枚隔てたいすみ鉄道の駅舎を訪うと、すでに述べたように積極的な歓待が待っていたのである。片や廃止寸前にまで追い込まれていた小さな鉄道会社。片やわが国の代表する鉄道会社にして1部上場企業である。大企業ほど接客がなっていない(例外はいちおうあるが)というのは世の常かもしれないが、東日本旅客鉄道株式会社のどうしようもなさがことさらに引き立った大原駅でありいすみ鉄道の旅であったことは否定のしようがない。
ちなみに、いすみ鉄道にはJR東日本からの出向社員も多いらしい。ところが現場レベルでみられたあの格差とは、ようは経営者の姿勢の問題なのではないか。ここはひとつ、社長はもとより、経営サイドの面々はいすみ鉄道にこぞって教えを請うなりしてみたらいかがか?
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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